自閉スペクトラム症。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、言葉でのコミュニケーションや他者への注意、ストレスや不安のコントロールに苦労することがある。こうした困難は、子どもの社会生活や学校での成功に影響を及ぼす可能性がある。
ロボット工学のスタートアップ企業LuxAIの研究チームは今回、自閉症の子どもが重要な社会的スキルを身につけられるよう設計されたロボット、QTrobotを開発した。研究チームは、QTrobotの研究の結果を、ロボットと人間の対話的コミュニケーションに関するシンポジウム「RO-MAN 2018」で8月28日に発表する予定だ。
「キューティー」
QTrobotの身長は2フィートを少し超え、人型の胴体と、人の顔がある位置に画面を備えている。このロボットは見る、聞く、話すだけでなく、画面に表情を映し出したり、体で身振りをしたりして、言葉を使わずに意思を伝えることもできる。
QTrobotの研究では、LuxAIの研究者らは4歳から14歳までのASDと診断された子ども15人を募った。子どもたちは、QTrobotと人間を相手に、それぞれ5分未満のインタビューを受けた。
各セッションでは、インタビュアーがまず子どもに名前と自分自身についての3つの質問を尋ねた。次に短い物語を聞かせ、それが気に入ったかどうかを尋ねた。最後に、インタビュアーが4つの身振り(例えば右腕を上げる動作)をするのを見て、まねるよう子どもに求めた。
人間対機械。
研究者らは、これらのインタビューをもとに2つの問いへの答えを探った。
子どもたちは、人間に対するときと同じようにロボットに注意を向け、まねをしただろうか。ロボットは、手をひらひらさせるなど、子どもの反復的または常同的な行動を減らすのに役立っただろうか。
答えを確かめるため、研究者らは子どもがインタビュアーを見た回数を数え、それぞれの視線の持続時間を測定した。また、子どもがインタビュアーの身振りを適切にまねた回数と、反復的または常同的な行動をした回数、およびその反復回数も数えた。
子どもたちは人間よりもロボットを全体として長く見つめ、まねをした回数も人間の場合と同程度だったことが分かった。また、ロボットとやり取りしているときには、反復的または常同的な行動が少なかった。
目新しさだけ?
研究者らは論文で、今回の結果はQTrobotがASDの子どもの社会的スキルの発達に役立つ可能性を示していると述べている。ただし、インタビュー時間が短かったことが結果に影響した可能性もある。より長い時間がたてば、子どもたちはロボットに興味を失ったかもしれない。
また研究者らは、QTロボットの利用が、ソーシャルスキル教室や認知行動療法など、効果が実証された介入と同じくらいASDの子どもに有益かどうか、まだ確信を持てていない。QTrobotの可能性を本当に見極めるには、より長期的な研究が必要だとしつつ、現時点ではロボットがASDと診断された子どもの人間とやり取りする能力を向上させる有効な方法となる可能性があるとしている。


