パンデミック以前から、従業員の87%は、将来の労働市場で求められる認知、対人関係、リーダーシップのソフトスキルを身につけていませんでした。
パンデミック後のハイブリッドな職場では、デジタルでのやり取りが当たり前になるにつれ、ますます重要となる一連のデジタル時代のソフトスキルが求められます。
リーダーを含むあらゆる階層の従業員が、ハイブリッドワークの「ニューノーマル」によりよく備えるため、これらのスキルを習得すべきです。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった時点で、労働者のほぼ10人に9人(87%)は、認知、対人関係、リーダーシップのソフトスキルを将来の労働市場に向けて身につけていませんでした。パンデミックがエンデミックへと移行する今、新たなハイブリッドな職場が生まれています。
このニューノーマルは、すでに存在していたソフトスキルに関する知識の格差を再定義し、将来の仕事にどのようなスキルが必要かを再考するきっかけとなっています。
ソフトスキルとは、私たちが互いに関わる方法を形作るもので、一般に、リーダーシップ、チームづくり、コミュニケーション、問題解決のほか、認知面や社会情動面のスキルを含みます。現在、これらはデジタルリテラシーの一部とは見なされていません。
しかし、デジタルツールなしにハイブリッドな職場で互いに関わることは不可能です。そのため、デジタルでのやり取りが当たり前になるにつれ、重要性がますます高まる新たなデジタル時代のソフトスキルが台頭しています。こうした新しいスキルを早く習得するほど、将来のハイブリッドワークによりよく備えられます。
ハイブリッドな職場のリーダーシップに不可欠なデジタル時代のソフトスキル
まずはデジタルリーダーシップについて考えてみましょう。そのためには、まずリーダーシップの意味について認識を共有する必要があります。リーダーはビジョンを示し、他の人々が最高の力を発揮できるよう鼓舞します。つまり、デジタルで働く場合、成果の評価、鼓舞する方法、ビジョンの提示が変わるのかを考える必要があります。
リーダーが人々を鼓舞するには、相手を理解し、信頼関係を築かなければなりません。私は状況対応型リーダーシップを大いに支持しています。相手が力を発揮するために何を必要としているかを共感的に見極める方法です。
ハイブリッドな働き方では、相手を理解し、信頼関係を築くのが難しいことがあります。従来型のリーダーは、チーム会議を増やせば問題を解決できると考えるかもしれません。しかし、マルチタスクが最も一般的で、注意力が貴重なハイブリッドな職場では、これはデジタルリーダーが犯し得る最大の過ちです。
最善の方法は、適切な人々と会議をするよう意図を明確にし、会議の数を減らして、事前に自由に議論できる議題を設定することです。こうすればハイブリッドチームの会議をより効果的にでき、デジタルリーダーは信頼関係を築くための個別面談に時間を割けるようになります。
デジタルリーダーは、ハイブリッドな職場では人々がいつ、どのように働いているかを把握できません。そのため、働き方の優先事項は時間から測定可能な成果へと移ります。データリテラシーとビジネスインテリジェンスがいっそう重要になり、デジタルリーダーには、最新のデジタル管理の動向に適応し、それを把握できる幅広いデジタル知識が求められます。
効果的なコミュニケーションも、人々を鼓舞し、チームをビジョンに向けてまとめるうえで欠かせません。ハイブリッドワークによって最も大きな影響を受けるソフトスキルは、おそらくコミュニケーションです。オンラインプラットフォームを介するため、非言語的な振る舞いが大幅に減るからです。
その結果、デジタル環境で明確に意思を伝えるのは、言葉と表情に限られるため、はるかに難しくなります。交渉で使われるミラーリングやリフレーミングの手法を表情と組み合わせて習得することは、デジタルコミュニケーションの改善に大いに役立ちます。
コミュニケーションの鍵となるデジタルプラットフォームの選択
ハイブリッドチームのコミュニケーションを促進するうえで、プラットフォームの選択は非常に重要です。最新ツールの動向を把握することも、幅広いデジタル知識の一部として求められます。
私は、ビデオ会議にはJitsiが気に入っています。機能が豊富で導入も簡単なオープンソースソフトウェアです。ビデオ会議に加え、社内コミュニケーションのツールも進化しています。
会社がメールだけで連絡を取り合っているとしましょう。それでは、最新ツールであるSlack、Discord、Microsoft Teamsなどを活用できていません。こうしたツールを使えば、専用のテキストやビデオ会議のチャンネルを設け、よい知らせや文化的な出来事、お祝い、その他の経験を共有する活動ができます。
こうした専用ツールの代わりにソーシャルメディアを使う文化が組織にあると想像してみてください。その場合、会社の文化がサイバーセキュリティ上のリスクを生み、個人と仕事の明確な境界を保てなくなります。この2つはデジタルリテラシーの重要な要素であり、健全なハイブリッドな職場環境をつくるために欠かせない知識です。
デジタルリーダーシップはチームリーダーや管理職だけに関係すると考える人もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。セルフリーダーシップはハイブリッドな職場で以前にも増して重要となり、そのあり方も変化しています。対面で働く環境とは異なり、チームメンバーの仕事を促したり、日課を整えたりする人はいません。
デジタル環境でのセルフリーダーシップとは、チームに溶け込む方法を常に考えることでもあります。内向的な人には特に難しいかもしれませんが、孤立を避け、キャリアの成長を支えるために大切です。
デジタル時代のソフトスキルには経験を通じた学習が必要
デジタルリーダーシップを習得するには、組織や個人がリーダーシップの場面を再現すべきです。デジタル時代のソフトスキルには、指導型ではなく、経験を通じた学習が必要だからです。スキル習得を目的としたデジタルボランティア、オンラインメンタリング、オンラインでの職場体験プログラムなどが、スキルを伸ばすために検討できる方法です。
ハイブリッドな職場は、チームづくり、問題解決、協働のスキルにも影響します。ハイブリッド環境では、偶然の出会いはめったに起きません。デジタルリーダーシップと同様、こうしたスキルを習得するにも意識的な取り組みが必要です。同時または非同期で交流できるデジタル活動を企画したり、見つけたりすることが大切です。
企業のデジタル化は数十年にわたり進んできました。しかし、新たなハイブリッドな職場への移行は最近の傾向であり、人々との関わり方や、キャリアの成長と転換に求められるソフトスキルを変えています。
こうした新しいデジタル時代のソフトスキルを学ぶことは、変化に対するレジリエンスを高め、仕事で活躍するうえで不可欠です。デジタル時代のソフトスキルの動向を把握し続けるには、人間を中心に据えた継続的な経験学習プログラムに参加するのが最善です。
デジタル時代のソフトスキルを備えた人材を育成すれば、業界の変化に迅速に適応し、より高い成果を上げられます。そのため、こうした研修機会に取り組むことは企業にとって大きな利益になります。


