今年の誕生日、同僚たちが手の込んだサプライズを企画してくれた。出勤すると、数十人の同僚が私の格好をして、トレードマークのネルシャツと野球帽、そしてしかめっ面を身につけていた。
この逸話から分かることは二つある。一つ目は、同僚たちが本当に思いやり深く、風変わりだということ。二つ目は、私のいつもの不機嫌そうな態度が職場であまりにも目立ち、私という人間の特徴になっているということだ。
このことを少し恥ずかしく思う自分もいる。結局のところ、私も多くの若手社員と同じように、良い仕事に就き、それを続けるには懸命に働き、どんなときも礼儀正しくするべきだと教えられて育った。いつも笑顔で出勤するよう努めるべきだという考えを最初に誰が口にしたのかは覚えていないが、若者、とりわけ女性が幼いころから教え込まれる数々の社会規範に、まさによく合致しているように感じる。
何年もの間、感情に正直でいることは家に置いておくべきものだという考えを受け入れていた。だが、キャリアを積むにつれて自信もつき、本当の気持ちを押し殺すのは疲れるうえに必要のないことだと気づき始めた。もちろん、職場で人に無礼にしたり意地悪をしたりすべきだと言っているわけではない。しかし、企業に広がるポジティブ信仰には、どこか不穏なものを感じる。
雇用主は、笑顔の社員でいっぱいの部屋を見て、生産性が高く、成功している職場の証しだと思うかもしれない。だが研究によると、実際の気持ち以上に感じよく、陽気に振る舞うよう社員に強いると、感情の消耗から仕事への意欲の喪失まで、さまざまな悪影響につながりうる。とりわけ女性は、常に幸せそうに見せるべきだという期待に苦しんでいる。
2017年の今、無理に笑顔で耐える必要はない。まず、ミュンヘン工科大学の研究者たちは、女性は明るく振る舞いすぎると管理職に昇進しにくいことを明らかにした。(女性が職場で日々直面する理不尽な板挟みの、また一つの好例だ。)また、悲観的な見方は生産性を高め、ミスを減らし、コミュニケーション能力を向上させることも研究で示されている。つまり、世界中の不機嫌な労働者よ、団結せよ。
職場の生産性という専制
最近、上司があなたや同僚の幸福を異常なほど気にかけているように感じるなら、その感覚はおそらく正しい。英国の社会学者で経済学者でもあるウィリアム・デイヴィスが著書『幸福産業』で明らかにしているように、職場のポジティブさへの現代の執着は比較的新しい現象であり、そのきっかけは、労働者の生産性と幸福を結びつける研究だった。この文脈では、従業員の満足度を高めようとすることは、労働者にも管理職にも利益をもたらすように思える。だがデイヴィスによると、企業の幸福促進策はすぐに裏目に出ることがある。
「職場で幸福を促進する理由は、これまでも主に生産性にありました」と彼は指摘する。「雇用主は従業員の士気や気分を高めるさまざまな方法を探します。それがうまくいかなければ、幸せそうに振る舞う方法を教えます。これは、楽観主義や自信がほとんど道徳的義務とみなされる米国で、より顕著だと思います。ただし、米国に限ったことではありません。」
職場によっては、士気を高める取り組みとして、オフィス勤務の社員に金曜日のアイスクリームを無料で提供することから、早朝シフトのバリスタに陽気さを装うよう指示することまで、あらゆるものが考えられる。こうした浅薄で人を操るような幸福への道筋が、長期的に効果をもたらす可能性はまずない。だが、在宅勤務を容易にする技術を提供するといった、より洗練された善意の取り組みでさえ、仕事と私生活の重要な区別を曖昧にしかねない。
「雇用主が、従業員が仕事以外で直面する問題に心から共感し理解を示し、従業員にも仕事の外に生活があると認識すれば、良いバランスを実現できると思います」とデイヴィスは言う。「雇用主はあらゆることを生産性の問題に還元するのを避け、仕事と生活の区分を尊重すべきです。」
また研究によると、長期間にわたり幸福を装うことを強いられると、うつ病から心血管疾患まで、身体的・精神的な健康問題を引き起こす可能性がある。『感情の機敏さ 』の著者で、 ハーバード大学医学大学院の心理学者でもあるスーザン・デイヴィッドは、毎朝ただ笑顔を作ることの危険性について繰り返し語ってきた。ネガティブな感情と闘ったり、それを抑え込んだりしても、幸福にはなれないと彼女は言う。「幸せになることに意識を集中する人は、実際には時間がたつにつれて、幸せでなくなります」と、デイヴィッドは最近語った。「誤解のないように言うと、私は幸福に反対しているわけではありません。幸福は目標として得るものではなく、自分自身に正直に向き合うことの副産物として訪れる、ということです。」
一方、フランクフルト・アム・マイン大学の労働・組織心理学部門の責任者ディーター・ツァプフは、顧客に本当の感情を隠すことを強いられているカスタマーサービス従業員に、何千回もの聞き取り調査を行ってきた。感情を絶えず偽ると、苛立ちや燃え尽き、さらにはうつ病につながりうることを明らかにした。
「こうした偽りの感情を『感情的不協和』と呼びます」と、ツァプフは国際医学誌『BMJ』で指摘した。「ストレスを測る際、実際に顧客と過ごす時間の長さは、従業員が感情的不協和を示さなければならない時間の長さに比べれば、関係がないことが分かりました。」
同様に、2011年に『Academy of Management Journal 』に掲載された研究は、職場で笑顔を作ると気分が悪化し、仕事から距離を置くようになる可能性があると結論づけた。その研究はさらに、ネガティブな感情を抑えようとした女性は、男性よりもさらに気分が悪くなったと指摘している。『ニューヨーク・タイムズ』によると、研究者たちはその理由として文化的規範を挙げた。つまり、「女性はより感情を表現するよう社会化されているため……感情を隠すことが、より大きな負担を生む可能性がある」という。
不機嫌に生きても、気分は悪くない
その一方で、不機嫌さそのものを受け入れる理由もたくさんある。実際、ポジティブさが生産性を高めることはあっても、苛立ちや皮肉にも多くの利点があると研究は示唆している。
一つには、少し気分が落ち込んでいると、注意力が高まり、考え方が細部に向きやすくなる人もいるようだ。ジョセフ・フォーガスはニューサウスウェールズ大学の心理学教授で、感情が認知に及ぼす影響を専門としている。彼の研究によると、幸福度が下がると、コミュニケーション能力や批判的思考力が高まることがある。(個人的な話をすれば、編集者兼ライターとして、これらは日々の仕事で大いに役立つ能力だ。不機嫌なジャーナリストに、もう一つ追い風が吹いた。)
フォーガスによると、苛立ちと注意力の結びつきには進化上の根拠がある。
「ネガティブな気分は軽い警報のように働き、未知で慣れない、問題をはらむかもしれない状況に直面していると知らせます。そのため、無意識のうちに、より注意深く集中した思考様式が生まれます」と彼は言う。つまり、軽いネガティブな気分は、周囲をよく観察し、細部により注意を払うことにつながる。
フォーガスは、「軽度のネガティブな気分」という自身の定義について、「日常生活で誰もが何度も経験する、ごく普通の日々の気分の変動――周囲で起きていることに応じた、感情の調子のわずかな変化」と理解すべきだと述べる。こうした気分の変化は、さまざまなありふれたことがきっかけで起こる。彼は天気を例に挙げた。職場で私の不機嫌さはたいてい締め切りのようなストレス要因への反応だが、軽率にもツイッターの肥だめをのぞくだけで、微妙に感情が変わることにも気づいた。
フォーガスの研究は、2007年にカリフォルニア大学サンタバーバラ校の心理学者2人が行った実験とも一致する。その研究は、怒りが分析的な情報処理を促し、怒っている人は中立的な気分の人より、弱い論拠と強い論拠を見分けやすいと結論づけた。研究者たちは、苛立ちが情報を効果的かつ分析的に処理する方法を促すためだと示唆した。
同じくらい興味深いのが、不機嫌さが創造性に与える可能性のある影響だ。もちろん、楽観主義と創造性を結びつける研究は数多くある。だが研究者たちは、怒りが型にはまらない思考を促す可能性も明らかにしつつある。少なくとも、アムステルダム大学の労働・組織心理学部門の助教マタイス・バースはそう考えている。
バースは2009年、学生ボランティアのグループを怒らせたうえで、特別なゲームを使って創造性を測る研究を行った。怒りを感じたチームはより多くのアイデアを出し、何よりも、そのアイデアはより独創的だった。
「怒りは創造性を高めます(ただし、少量の場合に限るかもしれません)」とバースは説明する。「怒りには刺激を与え、活力を引き出す働きがあるからです。」
ただしバースは、怒りがもたらす創造性の高まりが持続するとは限らないとも指摘する。「怒りを感じることは比較的消耗します。そのため、怒った人は最初こそ創造的なアイデアを多く生み出しますが、やがて成果は頭打ちになります。」
人を喜ばせるための笑顔
私にとって、不機嫌さをめぐる最後の論点は、いつもジェンダーに関わってきた。権力ある地位に不機嫌な男性はたくさんいる。ジェフ・ベゾスが思い浮かぶ。だが、頂点に立つ女性は――そこまで上り詰められたとしても――きわどい綱渡りを強いられる。押しが強い、あるいは意地悪だと思われれば、たちまち失脚しかねない。たとえば、ニューヨーク・タイムズ紙の元編集主幹ジル・エイブラムソンは最近、レナ・ダナムに、自分が怖いと思われることがあると語った。その理由は、彼女が……率直だからだという。野心を隠さないことや、従来の礼儀作法に従わないことは、女性社員にはほとんど許されない特権だ。
南フロリダ大学の社会学教授メリッサ・スローンは、女性が外に見せる感情を調整せざるを得ないと感じる状況について、複数の研究を行ってきた。スローンの研究によると、本当の気持ちを抑える女性は、結局、幸福感が大きく損なわれることが多い。この結果は、そうした女性社員が対人サービス業で働いている場合や、有色人種の女性である場合に、さらに起こりやすい。
周囲の人に特定の気持ちを抱かせるため、女性(時には男性も)が感情を調整するのに力を費やさなければならない状況は、「感情労働」と呼ばれる。文化と市場の交差を研究するボストン大学の社会学准教授アシュリー・ミアーズによると、この言葉はもともと社会学者アーリー・ホックシールドが、1970年代に客室乗務員に求められた感情管理の訓練を研究するなかで作り出したものだ。この概念は、企業が女性の感情や他者を気遣うとされる性質を利用して利益を得る仕組みを検討する。
ミアーズによると、感情労働は当初、サービス業の女性に関連して研究されたが、程度の差こそあれ、あらゆる職業の女性に当てはまる。違いは、ホワイトカラーの職業では、従業員が従うべき台本が比較的少ない傾向にあることだ。むしろミアーズは、「これは自分で方向づける感情労働です。女性であることの二重労働と呼んでもいいでしょう。女性らしさによって、一つの仕事が二つになるのです」と言う。
へそ曲がりの抵抗
企業の支配者に感情面の健康を左右されたり、会社の利益のために感情を操られたりしなければ、すべての労働者が恩恵を受ける。とりわけ女性にはそうだ。しかし、職場で感情に正直でいられるという点で、私は本当に恵まれた側なのだとも分かっている。
メリッサ・スローンと同じく、ミアーズは感情労働の負担が労働者階級の人々により重くのしかかる傾向があるとすぐに指摘する。「専門職の女性は、サービス業で働く女性より、ずっと容易に不機嫌でいられるでしょう。その一因は、専門職に就いていることによる階級上の特権です。」
それでも、家父長制を正面から打ち負かせないのなら、せめて一歩踏み出してへそ曲がりな自分を貫こう。かつての上司たちが何をほのめかしたとしても、長時間、口角を無理に上げたところで、仕事がうまくなったり、速くなったりしたことは一度もないのだから。


