デジタルスキル:企業と政策立案者は労働市場における将来の需要にどう対応できるか

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  • 人工知能、モノのインターネット、クラウドコンピューティングなどのデジタル技術は、仕事の世界と従来の職種を変えつつあります。

  • 企業も、デジタルスキルへの依存を強める労働市場において、これらの新たな潮流に合わせて自らも進化し、変化に遅れないようにする必要があります。

  • 「すべての人のためのデジタルスキルの機会」報告書では、企業と個人が技術によってもたらされる機会をどのように活かせるかが示されています。

人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、クラウドコンピューティングなどのデジタル技術は、仕事の世界を根本から変えつつあります。

ビジネスのデジタル化は、私たちがどこでどのように働くか、そして将来どのような仕事をするかに影響を与えています。従来の役割の中には、自動化に取って代わられて完全に消滅するものもあります。一方で、AIと機械学習を組み合わせて使うことで、人間の生産性や洞察力を高めるものもあります。

将来の仕事の中には、まだ生まれていないものもありますが、デジタル技術が職場に与えている影響を示す証拠はすでに数多くあります。

「すべての人のためのデジタルスキルの機会」は、Randstadと経済協力開発機構(OECD)による新しい報告書です。過去10年間にオンラインで掲載された4億件を超える求人情報を分析し、労働市場で最も需要の高い職種とスキルを明らかにしています。

デジタルスキルへの需要は高まっている

報告書の対象となった10か国において、オンラインで掲載された全求人のうち、デジタルスキルを必要とする職種は6~12%を占めており、この割合は着実に増加しています。

デジタル関連の求人は、オンラインで掲載された全求人のうち、今や大きな割合を占めています。Image: Randstad

データを概観すると、例えば米国におけるデジタル関連職種の求人件数は、2018年から2021年にかけて24%増加しており、その中でもデータエンジニアの求人件数は116%増加が際立っています。

デジタルな職場への流れは、雇用主と従業員の双方に豊かな機会をもたらしますが、その過程で対処し克服すべき明らかな課題もあります。

企業の経営者は、優秀な人材の採用と定着をめぐって激しい競争に直面するでしょう。デジタル技術およびスキルに関連する労働市場の動向を把握することが極めて重要になります。

一方で、規制当局と政府は、将来の労働市場で活躍するために必要なデジタルスキルを労働力が身につけられるよう支援に投資する必要があります。その際には、最も重要な能力と、それを必要とする職種を特定することが求められます。教育制度も、学校、専門学校、大学から、デジタル対応の人材が育つよう適応していく必要があるでしょう。

オンライン求人情報の分析により、デジタルスキルが重要な役割を果たす分野が少なくとも5つ特定されました。

1. 高度なデータ分析

機械学習やビッグデータ分析などの高度なデータスキルは、10年前と比べて求人情報で格段に多く言及されるようになり、より広範な職務や業務の要件として挙げられるようになっています。これらのスキルへの需要は労働市場全体に浸透しつつあり、米国における平均的なスキルへの需要と比べて15.5倍の速さで、さまざまな分野や職種に広がっています。

2. サイバーセキュリティ

サイバー攻撃のリスクが高まっていることから、サイバーセキュリティ人材を募集する求人が増えています。しかも、サイバーセキュリティの知識は、管理職からアナリストに至るまで、さまざまな職種で求められています。

3. プログラミング

企業におけるクラウドやその他のデジタル技術の導入は、あらゆる分野でプログラミングスキルへの需要を急増させています。JavaScriptやPythonといった特定のスクリプト言語やソフトウェア開発の原則への需要の高まりも、雇用のあらゆる領域で見られます。

4. 自動化とIoT

スマートホーム製品やウェアラブル技術のメーカーが、自動化およびIoTに関するスキルの必要性を高めています。IoTの導入が新たな事業分野に広がるにつれ、コンピュータ支援エンジニアリングソフトウェアに関する知識への需要も増え続けるでしょう。

5. デジタルビジネスおよび営業スキル

ソーシャルメディアスキルへの需要は急速に拡大していますが、ウェブ解析やオンラインマーケティングなどの他のデジタルスキルも、求められている多くのデジタル職種の中核となっています。

現在の労働力を再構築する必要がある

AIとIoTの時代に成功するためには、企業、雇用主、従業員が、幅広いリスキリングの取り組みと働き方の変革に投資する必要があります。労働者は、衰退する職種から、デジタルな職場の中核にある新しく成長する仕事へと移行しなければならないでしょう。

移行プロセスの重要な部分は、衰退する職種と新たに生まれる職種を把握し、前者から後者へ労働者を移行させることです。今回の新しい報告書では、オンライン求人情報に含まれる詳細な情報を活用し、衰退する職種から労働市場で成長している職種へ至る道筋を示しています。

例えば、以下の図は、ある職種から別の職種へ移るために必要となるスキルを示しています。

広告営業担当者がデジタルマーケティング専門家へ移行するための再教育の優先事項トップ10。Image: Randstad

キャリアの移行によっては他より容易なものもありますが、職場における技術変化の速さにより、組織は従業員のキャリア期間全体にわたるリスキリングおよびアップスキリングの戦略を見いだす必要があります。

政策立案者、教育者、企業は、個人のスキル開発を支援し、必要に応じてキャリアの移行も支援していく必要があります。

例えば、短期間で目的を絞った研修課程やマイクロクレデンシャルは、成人のニーズに合わせた学習機会を提供できます。再教育の際に多くの人が直面し得る時間的および経済的な障壁を認識することが重要です。

世界経済フォーラムは仕事の未来について何をしているのでしょうか?

人材を惹きつけ、つなぎとめるためには、企業は社員に机と給与以上のものを提供する必要があります。従業員は今や、自らの価値観に沿った意味のある仕事を含め、より全人的なキャリア体験を期待しています。また、健康を保ち、大切な人々と時間を過ごせるような勤務スケジュールも求めています。

デジタル技術によって可能となり、パンデミック期間中に定着したリモートワークの慣行は、今後も進化を続けるでしょう。企業も、デジタルスキルへの依存を強める労働市場において、これらの新たな潮流に合わせて自らも進化し、変化に遅れないようにする必要があります。

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