メキシコのプログレサ・プログラムを子どもの頃に経験した人々は、平均教育年数が1.4年増加した。中等教育を一部でも受ける可能性は、女子で30ポイント、男子で18ポイント高かった。
現在、世界80か国以上で条件付き現金給付(CCT)プログラムが実施されている。これは、低所得世帯が特定の行動をとることを条件に現金を給付する制度である。こうしたプログラムの研究では、教育や健康面で短期的にプラスの効果が確認されることが多い一方、長期的な影響や世代間に及ぶ影響を示す証拠は限られている。
「条件付き現金給付は次世代の経済状況を改善するか?」(NBERワーキングペーパー第24303号)で、スーザン・W・パーカー氏とトム・フォーグル氏は、最もよく知られたCCTの一つであるメキシコのプログレサ・プログラムを研究している。プログレサは1997年、同国の農村部で導入された。子どもの就学と、家族の定期健診のための保健診療所への訪問を条件に、低所得世帯へ現金を給付する。現在、このプログラムは都市部と農村部の両方で600万世帯、つまりメキシコ全世帯のおよそ4分の1を対象としている。
研究者たちは、2010年のメキシコ人口・住宅センサスのデータを用い、二つの出生コホートに属する人々を比較した。一方は12歳になる前にプログレサの対象となり、プログラムの影響を受けた若い世代で、もう一方はやや年上の世代である。後者は、プログラムが地域で導入された時点ですでに対象年齢を超えていた。
研究者たちは、プログラムの対象となった子どもに大きな教育面の効果があったことを確認した。プログラムが利用可能になった時点で12歳未満だった人々は、平均して年上のコホートより1.4学年分多く教育を修了した。12歳未満で少女としてプログレサの対象となった女性は、中等教育を一部でも受ける可能性が30ポイント高く、男性では18ポイント高かった。子どもの頃にプログラムの対象となったことで、高校教育を一部でも修了する確率も10~15ポイント上昇した。研究者たちは、「推定された教育への影響は、プログレサとともに成長する子どもたちの教育達成度が著しく高まったことを示している」と結論づけている。
教育面で大きな効果があったことを踏まえれば驚くことではないが、プログラムの対象となったコホートでは、労働市場の成果も改善した。子どもの頃にプログレサの対象となった女性は、労働参加率が7~11ポイント上昇し、月収も30~40ドル増加した。男性への効果はより小さかったが、それでも意味のあるものだった。プログレサの影響を受けたコホートの男性は、対象外だった年上のコホートより、週平均で3時間多く働いた。また、正式な労働市場や非農業職に就く可能性も高かった。男性の収入への影響はプラスだったものの、統計的に有意ではなかった。しかし研究者たちは、男性労働者の産業別平均収入には有意な効果があり、その額は月40~50ドル程度だったと報告している。
プログレサの対象となったことで、住宅環境と耐久消費財の所有状況も改善した。
女性が子どもの頃にプログレサの対象となったことで得た経済的利益は、少なくとも部分的には「機会を求めた移住」の効果によるものと考えられる。子どもの頃にプログラムの対象となった女性は、移住し、都市部に住む可能性が高かった。
研究者たちは、「これらの結果は、CCTとそれに伴う教育面の向上が、次世代に重要な経済的影響をもたらすことを示唆している」と結論づけている。



