中国は労働年齢人口の縮小を受け、定年年齢の引き上げを計画している。
しかし、この案は若年層にも高齢層にも不評だ。
既存の年金制度は大幅な財源不足に陥っており、現役世代の拠出金に頼って高齢世代への給付を賄っている。
定年年齢の引き上げは、出生率や育児体制に悪影響を及ぼす可能性がある。
中国の定年年齢は世界でも特に低く、着実に高齢化が進む同国にとって大きな問題となりつつある。
公式の定年年齢は男性が60歳だ。管理職の女性は55歳、ブルーカラーの女性労働者は50歳で退職できる。他の多くの国では65歳で労働市場を離れるのが一般的だが、中国の定年年齢はそれより低く、男女で異なる制度が1951年以来続いている。当時、中国の平均寿命は50歳未満だった(現在は77歳)。
今後、退職を迎える人が増えるなか、中国の年金制度は財源が大幅に不足している。現在のように早期退職が続けば、制度を維持する費用は負担しきれないほど膨らむ。昨年、中国の第14次5カ年計画では、年金問題への対処方針が示され、定年年齢の引き上げも盛り込まれた。
過去にこの案が持ち上がった際には、若年層の反発を招いた。自分たちの就労機会が遅れることを懸念する若者だけでなく、年金給付を待ち望む高齢者にも不評だ。しかし、労働年齢人口が縮小するなか、経験豊かな労働者をできるだけ長く職場にとどめ、社会保障制度への拠出を続けてもらおうとするのは、中国にとって理にかなっている。
中国の年金問題
中国は年金運営を改革し、個人による老後資産形成も促し始めている。昨日(4月21日)、中国政府は、個人が義務的な拠出に加えて年間約1,800ドルまで拠出できるようになると発表した。ただし、開始時期は明らかになっていない。現時点では政府の資金援助が不可欠だ。
年金制度の財源が不足している一因は、地方政府が現役世代の拠出金を、以前の世代への給付に充てていることにある。国家公務員の以前の世代は自ら拠出する必要がなかったが、地方政府は将来の給付に備えて資金を積み立てず、現役世代の拠出金を給付に充てている。企業による従業員年金への拠出率はすでに高く設定されており、2020年には主要な公的年金基金が初の年間赤字を計上した。政府がパンデミック対策の一環として企業の拠出額を減らすことを認めた後のことだった。
こうした制度上の不足に加え、中国の急速な高齢化を示す証拠も増えており、定年年齢をめぐる議論の緊急性が高まっている。中国は変更の時期をまだ示していないが、変更は「段階的」かつ自主的に進めるとしている。まず地域ごとに試行する可能性が高い。3月には、上海に隣接する沿海部の江蘇省が、企業と従業員の双方が合意した場合に、労働者が自主的に退職を遅らせるよう促す試験的プログラムを開始した(中国語記事)。国営の経済紙『中国経済週刊』(中国語記事)によると、他の省でも昨年、さまざまな業種の従業員との会合で世論を探り、独自の試行に向けた規則を現在策定している省も複数ある。
中国が男女の定年年齢を統一する意向かどうかも不明だ。現行制度は女性の職業人生を短くし、制度への拠出年数も少なくなるため、退職後に受け取れる年金額を減らしている。
中国の育児をめぐる課題
定年年齢を引き上げるなら、中国に必要なのは年金制度の改善だけではない。退職した労働者は、子どもたちにとって安全で無料の保育を担う重要な存在だ。つまり、定年の延期は、中国が掲げるもう一つの目標、すなわち若い女性により多くの子どもを持ってもらうことを思いがけず妨げる可能性がある。
「定年年齢の変更には強い抵抗があります」と、キングス・カレッジ・ロンドンの社会学者で国際開発学の上級講師を務めるイェ・リウ氏は言う。「人々は早く退職したいのです。主な理由の一つは孫の世話をすることです。……一人っ子世代の女性は、育児にあたり自分の親や義理の親の支援に大きく頼っています。」



