より包摂的なリーダーになるには

Wharton Dean Erika James and AT&T’s Corey Anthony speak with Wharton’s Stephanie Creary about inclusive leadership during a time of crisis.
Wharton Dean Erika James and AT&T’s Corey Anthony speak with Wharton’s Stephanie Creary about inclusive leadership during a time of crisis.Image: Unsplash/Natalie Pedigo
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  • 包摂的なリーダーは、従業員との信頼を築き、信頼に足る行動を示した人を評価しなければなりません。

  • しかし、COVID-19によって仕事がオンラインに移った今、どうすれば個人的な関係を育めるのでしょうか。

  • 真の変化は、組織が、そうした善意をすべて「実践に移す」ための仕組みやプロセスの構築に取り組むときに生まれます。

  • 危機の時代における包摂的リーダーシップについて、ウォートン校の学部長エリカ・ジェームズ氏とAT&Tのコーリー・アンソニー氏が、ウォートン校のステファニー・クリーリー氏と語ります。

職場における多様性、公平性、包摂性(DEI)への関心が再び高まり、今年はどの管理職にとっても議題がそれだけで埋まるほどでした。

しかし、今は2020年です。新型コロナウイルスのパンデミックにより、従業員の健康と安全を守りながら、増え続ける優先課題の中でDEIを最上位に保とうとするリーダーには、さらに大きな重圧がのしかかっています。

「どちらも消耗の激しいことですし、この道を進み続けるために使える蓄えにも限りがあります」と、ウォートン校学部長のエリカ・ジェームズ氏は述べました。

今年初め、警察に殺害された黒人のジョージ・フロイド氏とブレオナ・テイラー氏の死をきっかけに、人種的・社会的正義を求める機運が高まりました。しかし、競合する懸念や疲労感が広がる中、ここ数カ月でその勢いは弱まっています。それでもジェームズ氏は、ウイルスが制御下に置かれれば、より強い形で機運が戻ると期待しています。

「今は、パンデミックに伴うあらゆる影響にも対処しながら、人種や人種的正義という難題に向き合うために必要な気力を奮い起こすのは、本当に難しいと思います」と彼女は述べました。

ジェームズ氏は、ライブ配信されたLeading Diversity@Whartonで講演しました。これは、ウォートン校の経営学教授であるステファニー・クリーリー氏が主催する継続的な講演シリーズで、同氏は多様性とアイデンティティを研究しています。AT&Tで人事担当上級副社長兼最高多様性責任者を務めるコーリー・アンソニー氏も、「危機の時代における包摂的リーダーシップ」と題した対談に参加しました。(このページ上部でポッドキャストを聴くか、下の討論動画をご覧ください。)

アンソニー氏は、一時的な出来事と運動の違いを指摘しました。殺害事件とその後に世界各地で起きた抗議活動は、非常に感情を揺さぶるものでしたが、感情は次第に収まると同氏は述べました。真の変化は、組織が、そうした善意をすべて「実践に移す」ための仕組みやプロセスの構築に取り組むときに生まれます。

「あなたは何を犠牲にしていますか。それが、何かが一時的な出来事にとどまるのか、運動になるのかの違いです」とアンソニー氏は述べました。「組織として、あるいは個人として、自分が何を犠牲にしたかを明確にできないなら、それは一時的な出来事に終わる可能性が高く、おそらく運動にはならないでしょう。」

包摂的リーダーシップ:信頼が鍵

以前はエモリー大学ゴイズエタ・ビジネススクールの学部長を務めたジェームズ氏は、キャンパスがオンライン化された後の7月にウォートン校に着任しました。着任から2カ月たってようやくキャンパスを見学できましたが、同僚と対面で会ったのは今もほんの数人だけです。

組織内で信頼を築き、信頼に足る行動を示した人を評価する必要があると、ジェームズ氏は指摘しました。しかし、COVID-19危機によってすべてがオンラインに移った今、どうすれば個人的な関係を築けるのでしょうか。

彼女は「迅速な信頼」に頼りました。これは、知らない人の信頼性や能力について疑念をいったん保留することだと、彼女は定義しています。

多くの質問をしてフィードバックを伝えることは、人々を導く助けになりますが、それでも信頼は欠かせません。ジェームズ氏は信頼を構成する3つの要素を挙げました。

  • 能力 — 採用された仕事をきちんとやり遂げる人として、信頼されますか。

  • コミュニケーション — 率直で、透明性があり、慎重に情報を扱う人として、信頼されますか。

  • 約束の履行 — 人々があなたを頼れるよう、約束を最後まで果たす人として、信頼されますか。

アンソニー氏は、他者への信頼が包摂的リーダーシップの一部であるのと同様に、自分自身への信頼も欠かせないと述べました。「それがなければ、チームには伝わります」と同氏は語りました。

自身をソクラテス式に学ぶ人だと語るアンソニー氏は、包摂的なリーダーは多くの質問をすべきだとも指摘しました。「質問をすることで、役職上の権限ではなく、自分自身の力を使う段階に進めます。チームに問いかけることは、チームを巻き込み、関与を促す方法です」と同氏は述べました。

パンデミックによって、AT&Tですでに進んでいたイノベーションが加速し、フロイド氏の死によって同社の多様性への取り組みも加速したと、アンソニー氏は述べました。同社は創業以来初めて、経営幹部から最前線の従業員まで、従業員構成の人口統計データを公開しました。幹部は従業員の声を聞くため各地を訪れ、DEIに取り組むための行動計画も共有しました。

あなたは何を犠牲にしていますか。それが、何かが一時的な出来事にとどまるのか、運動になるのかの違いです。

「多様な人材を擁し、包摂的な職場環境を整えなければ、企業として成功できないことを、社内の全員に理解してもらいたいのです。これは事業上の必須事項でなければなりません」と同氏は述べました。

クリーリー氏は、DEIへの取り組みについて他の人に責任を持たせるため、飴とむちのどちらの手法を使っているか、リーダーたちに尋ねました。アンソニー氏は、二分法的な考え方を避けるようにしていると述べ、その考えに異を唱えました。同社はDEIを人事評価の一部にしており、従業員は改善に向けて動機づけられる一方、取り組まなければ不利益も受けます。特にリーダーにとって、DEIに関する期待は「交渉の余地がありません」。

「飴とむちだとは考えていません。時にはむちとして使う飴だと考えています」と同氏は述べました。

ジェームズ氏によると、ウォートン校に着任した時点で、多くの教授が人種について話し合うために授業を新設または改編し、すでに率先して取り組んでいました。取り組みが続き、発展できる安全な場を提供することが、最も効果的な「飴」だと彼女は考えています。「私が目にしている取り組みを、教員がさらに進められるよう、報奨を与えたり動機づけたりする方法はあります」と彼女は述べました。

変化を起こす人々

クリーリー氏は、学生たちが多様性、公平性、包摂性という難しいテーマについて話し合いたいと考えていることに刺激を受けると述べました。学生たちは、構造的な人種差別を解消し、より公正な世界をつくることに貢献したいと考えています。

「学生たちは、インターンシップや将来の職務で変化を起こす人になりたいと、とても、とても、とても強く望んでいます」とクリーリー氏は述べました。

クリーリー氏はジェームズ氏とアンソニー氏に、次世代のビジネスリーダーへの助言を求めました。ジェームズ氏は、学生たちに雇用主を慎重に選ぶよう勧めました。

「自分の価値観にすでに合致している企業を選べば、道のりはずっと楽になるでしょう。自分の専門性をどこで生かすかを選ぶことは、何にも劣らず重要です」と彼女は述べました。

新人社員一人では大きな変革を起こす力はなく、すぐに挫折してしまうでしょう。しかし、多様性への取り組みを明確に示している組織に加われば、DEIを推進する「クリティカルマス」の一員になれます、と彼女は述べました。

蓄えを満たして、また始めるのです。世界の注目が集まっている今、私たちには責任があります。

アンソニー氏は学生たちに、自分たちが闘っているもの、つまり不寛容そのものにならないよう注意を促しました。これは、人々が自分たちを外部から隔て、自分とは大きく異なる信念を持つ人々を締め出すときに生じる逆説です。

「自分のエコーチェンバーの外に出てください」と同氏は学生たちに警告しました。「自分と同じように考え、感じ、信じている情報源からばかり情報や見方を得るのをやめてください。それは有害です。」

真に包摂的でありたいなら、意見の合わない人も含め、すべての人に共感する必要があるとアンソニー氏は述べました。「共感がなければ、どんな組織でも、どんな立場でも、効果的にリーダーシップを発揮することはできません。エコーチェンバーの中にいては、適切な共感を育むこともできません」と同氏は語りました。

フロイド氏の死後の対応では、アンソニー氏も自らの助言を実践しなければなりませんでした。黒人のアメリカ人が背負う重荷を本当に理解していない人々の反応に、当初は苛立ちを覚えました。その後、人種的正義についての学びの段階は人それぞれだと気づきました。そして、こう決めました。「誰もが関心を寄せているという事実を受け止め、この機会を学びに生かすのです。」

アンソニー氏は最高多様性責任者(CDO)としての立場を生かし、個別ではなく、数百人の従業員と一度にビデオで対話しました。また、要点だけを尋ねる前に、まず自分で問題について学ぶよう人々に促しました。

ジェームズ氏も同じような苛立ちを感じたことを振り返りました。しかし、生涯にわたって教育に携わってきた彼女は、フロイド氏の死が、できるだけ多くの人々と気まずい話題について率直に話し合う、またとない学びの機会を生んだと気づきました。

「蓄えを満たして、また始めるのです」とジェームズ氏は述べました。「世界の注目が集まっている今、私たちには責任があります。」

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