雇用主が採用候補者を選ぶ際、AIスキルがまもなく経験に匹敵する可能性があります。
Microsoft、LinkedIn、PwCの調査は、AIによって人材像がいかに急速に変化しているかを明らかにし、求職者が成功するためにどう適応する必要があるかを示唆しています。
世界経済フォーラムの「Good Work Alliance」と「Education 4.0」フレームワークは、AIを効果的かつ責任ある形で導入するとともに、教育制度を通じて次世代の労働者にAIスキルの訓練を提供することに重点を置いています。
求職者を選ぶ際、AIの適性がまもなく経験に匹敵する可能性があります。これは、MicrosoftとLinkedInによる生成AIの台頭に伴う労働・採用動向に関する新たな国際調査が示すものです。この調査は、近年すでに大きな変化を遂げた労働市場が再び変化するなかで、AIを使いこなす人材が増えることも予測しています。
「2024 Work Trend Index Annual Report」は、31カ国の31,000人を対象とした調査、LinkedInの採用動向、Microsoft 365の生産性データ、フォーチュン500企業との調査に基づいています。
生成AIは求職者に優位性をもたらす可能性がある
調査によると、回答者の4分の3が職場で生成AIを利用しており、その大半(78%)は自分のAIツールを職場に持ち込んでいます。特に中小企業でその傾向が見られます。
回答者の3分の2超(68%)が、仕事のペースと量の増加への対応に苦労しています。AIは単純作業を肩代わりし、こうした負担への対処を助けるツールとして活用されています。
しかし、職場でAIを活用する人の多くは、それによって自分が取って代わられやすい存在に見られるのではないかと恐れ(53%)、AIに仕事を奪われることを懸念しています(45%)。
しかし、実際には逆のことが起こる可能性があるようです。
過去8年間で、AI技術職の採用は323%増加しました。企業は今、ChatGPTやCopilotのような生成AIツールを活用するスキルを持つ、非技術職の人材にも目を向けています。
調査対象となった企業幹部の3分の2は、AIスキルのない候補者を採用しないと答えています。また、経験豊富でもAIスキルのない候補者より、経験が浅くてもAIスキルのある候補者を採用したいと答えた人は、ほぼ4分の3に上りました。
AI専門スキルには賃金プレミアムが付く
この傾向は、PwCの「2024 AI Jobs Barometer」の調査結果とも一致しています。同調査によると、AI専門スキルを必要とする仕事は、全職種を合わせた場合の3.5倍の速さで増えています。AIの専門知識を持つ人材への需要は、ChatGPTなどの生成AIモデルが登場するずっと前の2016年から、指数関数的に増加し続けています。
さらに、15カ国の求人広告5億件を分析したPwCの調査によると、AI専門職の賃金は平均で最大25%高くなっています。技術者の賃金プレミアムは特に高い一方、弁護士、営業・マーケティングマネージャー、会計士などの専門職でも、AIスキルは賃金に反映されています。
このことは、職種や業界を問わずAIスキルが必要とされていることをさらに裏付けています。LinkedInでスキルや適性にAIを加えた職種の上位3つは、コンテンツライター、グラフィックデザイナー、マーケティングマネージャーといったクリエイティブ職です。そのすぐ後には起業家やビジネス職が続き、さらに、上位に入ると予想しやすいウェブ開発者やソフトウェア開発者も名を連ねています。
AIを使いこなす人材の台頭
労働者は、キャリアの展望を広げるうえでAIが果たす役割を明確に理解しています。
MicrosoftとLinkedInの「2024 Work Trend Index」の調査回答者の4分の3超が、労働市場で競争力を保つにはAIスキルが必要になると考えていました。また、AIの知識は、より早い昇進(69%)や仕事の機会の拡大(79%)につながるとも見ています。
人々は実際に行動を起こしています。LinkedIn Learningの非技術職向けAI講座の受講者数は、過去6カ月で160%増加しました。
この調査は、正式な学習を通じた場合も、職場でAIツールを使うだけの場合も、AIのスキルアップによって「AIを使いこなす人」が増える可能性があると予測しています。
AIを使いこなす人とは、AI活用の先端を行く人たちです。職場で週に数回AIを使い、仕事の負担を軽減し、創造性を高め、最も重要な業務に集中することに役立てています。AIの活用によって、仕事への意欲や満足感も高まります。
AIを使いこなすには?
調査結果が示すとおりなら、キャリアをさらに伸ばすにはAIを使いこなすことが有効です。では、使いこなす人にはどのような習慣があるのでしょうか。「2024 Work Trend Index」によると、次のような習慣があります。
AIのさまざまな使い方を試す:使いこなす人がそうする可能性は、他の調査回答者より3分の2超高くなっています。
常に「AIはどう役立つだろう?」と自問する:使いこなす人は、新しい仕事に取りかかる前にAIがどう貢献できるかを探るために立ち止まる可能性が約50%高くなっています。最初から完璧な回答が得られなくても試し続ける可能性も高く(+30%)、例えば新しいプロンプトを調べることがあります(+56%)。
一日の始まりと終わりにAIを活用する:使いこなす人の10人に9人は、AIツールを使って一日を始め、翌日の準備をしています。
AIで働き方を見直し、時間を節約する:使いこなす人は、会議の内容の確認、情報分析、ビジュアルコンテンツの制作、アイデア出し、さらには顧客とのやり取りなど、幅広い業務にAIを使う傾向が他の回答者よりかなり高くなっています。
AIで業務プロセスを見直す:使いこなす人は、自分の働き方を再編するだけにとどまりません。AIツールを使って組織全体の業務プロセスやワークフローを再設計する可能性も66%高くなっています。
AI時代に向けた企業と教育の準備
PwCによると、「AIの影響を受ける職種」と同社が呼ぶ職種のスキルセットは、AIとの関連性が低い職種より25%速く変化しています。こうした習慣の一部でも、あるいはすべてでも取り入れることで、人々の将来のキャリア形成を大きく後押しできるでしょう。
しかし、この調査結果は、AI主導の仕事の世界に向けて現在の労働力と次世代を準備するため、組織や教育制度が大幅な取り組みを進める必要があることも意味しています。
より強靱で、生産的、公平かつ人間中心の職場づくりを目指す世界経済フォーラムの使命の一環として、Good Work AllianceはAIの効果的かつ責任ある導入に重点を置いています。Education 4.0フレームワークは、教育・訓練制度を通じてAIスキルを教えるとともに、より良い学習のためにAIを活用することを目指しています。


