アデコグループCEOのアラン・ドゥエーズが、2022年の働き方を取り巻く最も顕著な潮流をいくつか示しました。
人材不足や職場における社会的保護から、グリーン移行、リーダーシップの説明責任など、幅広い領域を取り上げています。
本記事は、アデコグループCEOのアラン・ドゥエーズが執筆し、2021年12月に初めて掲載されました。
世界各地で、労働者が「大再評価」の一環として仕事を辞めています。企業は柔軟な働き方の取り決めを再評価しています。さらに、より環境に配慮した未来への移行も進んでいます。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、労働市場、政策、規制に体系的な影響を及ぼしました。週4日勤務が実現可能かどうかについても議論されています。
2021年末が間近に迫るなか、私はこの1年を振り返っています。この12か月、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続くなか、リーダーや組織は適応を続けてきました。企業のリーダーたちは、職場や企業文化、従業員に深く関わる課題に取り組んできました。人材不足から定着、従業員エンゲージメントまで、検討すべきほぼすべての課題への解決策として、スキルへの投資を組み込む必要があることは明らかです。特に「大再評価」への対応では、その重要性が際立ちます。
課題や先行きの不透明さがあるなか、アデコグループの同僚たちが示した決意は本当に称賛に値します。そのことに心から感謝したいと思います。
来年は、多くの職場の潮流が前面に出てくるなかで、統合が進む年になると考えています。経済回復、柔軟な働き方、グリーン移行、持続可能で包摂的なビジネスモデル、デジタル変革などです。
2021年が終わるにあたり、来年の職場を形作る重要な潮流に目を向けたいと思います。
1. 人材不足が最前線の課題に。
2022年を迎えるにあたり、人材不足は、働く世界全体を見通すうえでの重要な視点の一つです。
理由は多岐にわたります。自動化やデジタル化への移行、グリーン移行、十分な労働条件の不足、職場での訓練課程よりも高等教育を重視する動き、教育と職場のニーズの不一致など、以前から続く要因がこの問題に影響しています。ほかにも要因はあります。
しかし、過去24か月の出来事もこの問題を悪化させました。各国による国境閉鎖が人材の移動を妨げ、多くの国で、早期退職して労働力から離れる人が不釣り合いに多く見られました。さらに、ウイルスそのものも人々の健康や、職場に戻る能力または意欲に影響し、人材不足の一因となりました。これが、在宅とオフィスを組み合わせたハイブリッド型の働き方が2022年以降も定着する理由の一つです。
サプライチェーンと人材不足の危機は、来年の経済見通しにも影響するでしょう。OECDの最新の経済見通しによると、世界経済の回復は続いているものの、その勢いは弱まり、ますます不均衡になっています。OECDの報告書は、世界経済の成長率が今年は5.6%、2022年は4.5%に回復した後、2023年には3.2%に落ち着くと予測しています。必要な対策は何でしょうか。長期的な失業率の上昇を避けるには、世界で最も裕福な国々が速やかにリスキリングとスキルアップに投資する必要があります。
2. グリーン移行が具体化する
グリーン移行が始まっており、より持続可能な未来への移行は世界各地の経済に影響を及ぼします。2021年の議論ではグリーンスキルが中心となりましたが、人々にとって公正な形で移行を実現する方法は、包括的に取り上げられませんでした。結成された連携の大半も、表明されたコミットメントの大半も、資金調達以外の「どう実現するか」には触れていませんでした。
2022年には、社会と環境を別々の柱と捉えるのではなく、両者を一体として考える必要があります。気候変動の緩和と適応に人間中心のアプローチを取り、人々への投資を優先する時です。そうすることで、これからのグリーン移行を公正で包摂的なものにできます。
雇用主がまず取り組むべきなのは、一貫性のある人材戦略をまとめることです。その第一歩は、今後2~5年に組織が必要とするスキルを評価することです。たとえばアデコグループは、自動車業界の主要企業を支援し、電動化の進展に備えて、整備の専門家からソフトウェアエンジニアまで、労働者のスキル向上と再習得を後押ししています。
3. デジタル変革とハイブリッドな働き方が、今後も企業を変えていく
デジタル変革を成功させるには、重要な要素が二つあります。一つ目は、産業や企業そのものの変革と、それがスキルに及ぼす影響です(前述した生産や製造の例など)。二つ目は、デジタル化が組織文化に与える影響です(デジタルやリモートでの採用、オンボーディング、リーダーシップなど)。
あらゆる産業が「スマート産業」へと変わり、デジタル変革はすべての企業に等しく影響しています。デジタル変革について語ることと、実際に変化を実行することは別です。変革を促す適切なツール、技術、インフラを整えるだけでなく、それらを管理し、活用するための適切な人材とスキルも必要です。最高人事責任者や人材パートナーは、将来必要となるスキルを定め、組織の将来への備えを整えるうえで重要な役割を果たします。調査によると、現在、HRリーダーの68%は働くことの未来に向けた戦略を持っていません。しかし、労働者はそれを望んでいます。私たちの調査では、労働者の66%が今後も雇用され続けるには新たなスキルを身につける必要があると考えている一方、非管理職のうち、自社がスキルやキャリア開発に投資していると感じているのはわずか37%でした。
働き方の変革は、多くのリーダーにとってこれまでも難題であり、今後もそうでしょう。しかし、後戻りはできません。より柔軟でハイブリッドな職場環境への移行は、今後も続きます。柔軟な働き方への移行を支える適切な方針があれば、長期的な導入によって生産性が高まり、仕事と生活のバランスが改善し、これまで見過ごされていた人材層にも機会が開かれ、人材不足の解消につながります。デジタルへの移行と柔軟な働き方への移行には、包摂性、公平性、収益性を確保するための支援が欠かせません。組織全体を巻き込むことが重要です。
4. 人材定着の難しさは世界各地で深刻化し続ける
企業と従業員の関係は、根本的な変化を遂げています。今年、私たちは皆、「大再評価」を目の当たりにしました。労働者は仕事において何が大切かを見直しており、米国など一部の国では、記録的な数の人々が仕事を辞める事態につながっています。従業員が優位に立つのは、ここ数年で初めてのことです。
前述したように、この動きは人材不足をさらに深刻化させています。パンデミック以前から、高齢化する労働力、スキルのミスマッチ、労働移動の制約など、さまざまな要因による人材不足がすでに見られていました。
しかし、この潮流はその後も拡大しており、入社祝い金や職場の特典を用意するだけでは解決できないほど深刻です。労働者とリーダーの間には隔たりがあり、多くの労働者が自分の職務やキャリアの見通しに意欲を失い、失望しています。この傾向は米国で特に顕著です。データによると、この動きが始まった7月だけで、米国人400万人が仕事を辞めました。その後の数か月も、この数は異常に高い水準にとどまりました。
来年は、職場における労働者の力が強まる年になるでしょう。企業は、スキルアップやリスキリングを通じて労働者のキャリア開発を優先し、柔軟な勤務時間やハイブリッドな働き方を認める必要があります。同様に、労働者がより充実した福利厚生と仕事と生活のより良いバランスを求めるなか、医療とウェルビーイングが働く世界の中心的な課題となるでしょう。この潮流は広がっていくと私は見ています。米国から他の国々へと。
私にとって、これは企業の共感力の問題です。雇用主やリーダーは、労働者に機会と目的意識を提供するために、そのニーズに耳を傾け、理解しなければなりません。
5. 職場における公平性と社会的保護。
パンデミックを受けて、多くの人にとって包摂、公平、公正が重要な焦点となるでしょう。労働者一人ひとりの状況は異なります。リーダーとして、同等の成果を得るために各人が必要とする具体的な資源と機会を配分する必要があります。説明しましょう。
私はさらに一歩進めて、平等だけでなく公平性について語りたいと思います。これは、一人ひとりの状況が異なることを認識し、同等の成果に到達するために必要な具体的な資源と機会を各人に配分する必要があるという考え方です。平等とは、誰もが同じ資源や機会を与えられることを意味するだけで、それぞれの出発点やニーズ、状況の違いは考慮されません。
職場における女性の状況を考えてみてください。パンデミックが女性に不釣り合いな影響を与えたことは明らかです。平等に向けて何十年も懸命に積み重ねてきた進歩が、損なわれました。女性が家族の世話をするために労働市場から離れざるを得なかったためです。ILOによると、新型コロナウイルス感染症からの回復期に再び就業する女性は、男性より少ないとデータが示しています。
特にパンデミックの間、労働者にとって社会的保護が重要であることが分かりました。しかし残念ながら、すべての労働者が平等に保護を受けられるわけではありません。社会として、特にインフォーマル労働者や自営業者が社会的保護を受けられるよう、より確実にすべきです。たとえば、プラットフォーム労働の分野が該当します。
不平等は、世界各地の国や地域の間にある格差も意味します。国や地域間の不平等は広く存在します。パンデミックの間、労働者が自分の働く環境を自ら選ぶようになるのを目にしました。一部の人にとっては、小さな町への移住を意味しました。そうした小さな町は、特典で人々を呼び込んだのです。来年は、大都市と小さな町の間、あるいは各国の異なる地域間で、この経済的な均衡の変化が表面化するでしょう。
最後に、不平等と包摂には、対面で働く人(オフィス勤務者や現場の最前線で働く人)とリモート勤務者の間の違いも含まれます。リモート勤務者には、対面で働く人と比べてどのような利点があるのでしょうか。その逆はどうでしょうか。リーダーは、柔軟な勤務時間のもとで、チームの運営をどう両立させるのでしょうか。たとえば、最前線で働く人はあまりに頻繁に不利な立場に置かれます。そして、まさにそうした場面で「大再評価」が起きているのです。
6. リーダーシップの透明性と説明責任。
新たな法律、投資家連合、労働者の力などを背景に、今後、リーダーや企業にとって透明性と説明責任が不可欠になります。この新たな時代には、企業の共感力が大きな役割を果たすでしょう。リーダーが従業員をより深く理解し、思いやりを示すことは、大きな違いを生みます。
2022年は説明責任の年になるでしょう。「Black Lives Matter」やCOP26、世論を大きく変えるその他の動きを受け、各国も企業も、自らの知見や公約をどのように実現するかによって評価されます。
企業が空約束をし、行動に移さないことは、もはや許されません。データによると、HRリーダーの36%が、事業リーダーにダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の成果に対する責任を負わせることに苦労していると回答しています。審判の時が訪れ、労働者は現場での変化を求めています。
アデコグループは、こうした潮流に対応し、すべての人にとって未来が機能するよう、組織や個人を支援する準備ができています。最後になりますが、皆さまとご家族に素晴らしい年末休暇をお過ごしいただけるよう、この機会にお祈り申し上げます。2022年が幸せで健康に恵まれ、生産性の高い一年になりますように。



