鉱業・金属企業は、デジタル化と脱炭素化を支えられるよう、変化する労働力に適応する必要があります。
人材の発掘・定着に関する従来の方法は、新たなスキルセットや価値観を持つ従業員に対応できるよう、見直す必要があります。
新たな報告書は、アクセンチュアと世界経済フォーラムによるもので、今後必要となるスキルと、その人材をどこから、どのように獲得するかを明らかにしています。
鉱業・金属企業は、ますます高度化するテクノロジーを導入し、低炭素社会への移行や継続する地政学的な課題に合わせて事業を適応させるにつれて、異なる事業運営モデルへと移行します。こうしたモデルでは、人工知能(AI)の専門家、気候変動科学者、公共政策の専門家など、新たなスキルセットと経験を持つ従業員が必要になります。
世界経済フォーラムの鉱業・金属の未来の仕事タスクフォースによる「グローバル人材イノベーション・イニシアチブ」は、業界で今後生じる可能性の高いスキルギャップを評価し、その解消に必要なことを詳しく検討しました。調査結果は、今後予想される周期的なスキル不足に備え、鉱業・金属業界が連携できる機会があることを示しています。
このイニシアチブは、これからの新たな人材には、従業員価値提案(EVP)の見直しと、従来とは異なるキャリア形成の道筋が必要になると指摘しました。
「Youth Insight」の調査によると、Z世代は鉱業を比較的否定的に捉えている可能性があります。社会・環境問題はZ世代の価値観の中心にあります。「Gen Z Purpose Study」によると、88%がこうした問題を重視し、企業には懸念への対応に大きな役割を果たす力があると考えています「Gen Z Purpose Study」。
ほかの調査では、競争力のある給与よりも、社会や環境に変化をもたらせることが重視されるようになっています。「Monster」の調査では、Z世代の4分の3が給与よりも仕事の意義を優先するとわかりました。
LinkedInによる定量調査では、将来の労働者が変化をもたらすために業界で働くことを強く望んでいると明らかになりました。

EVPは地域によって異なりますが、従来型の報酬・福利厚生パッケージは、次世代にとってますます魅力を失うと考えられます。意義ある仕事、強い帰属意識、従業員のウェルビーイングへの真摯な注力を提供できない企業は、次世代の人材を惹きつけるのに苦労するでしょう。
企業は将来の人材をどのように獲得するのか?
鉱業・金属企業は、将来の人材のキャリア形成が直線的ではないという考え方にも適応する必要があります。できるだけ早い段階、場合によっては高校生の時点から人材候補と関わり、次のような多角的な人材獲得アプローチを用いる必要があります。
1. 外部から採用する
鉱業・金属企業は今後、隣接業界から人材を採用したり、買収によって新たなスキルや知識を獲得したりする必要性が高まります。他業界から人材を惹きつけ、買収で加わった従業員を定着させるには、労働力モデルに柔軟性を組み込むことも必要です。たとえば、以前は「変更できない」とされていた交代勤務制度を、個々のニーズに応じて柔軟に運用できるようにすることが重要です。
2. 社内で育成する
人材の供給が不足する場合、鉱業・金属企業は社内人材の育成、スキル向上、再訓練に向けた道筋を整備せざるを得ません。そのためには、技術認定の提供にとどまらず、生涯学習を中核的な能力として定着させ、可能な限り多くのスキル向上の機会を活用する必要があります。また、大学と連携して、共通のスキルや情熱を持つ人々がつながり、業界リーダーの話を聞ける人材コミュニティを設けること、業界の課題をテーマにハッカソンを開催すること、環境保全や地域活動を通じて候補者の動機に働きかけることなどにより、社外から人材を育成することもできます。
3. 外部人材を融通する
需要が変動する場合、組織内の別部門や、シェアリングエコノミー型の仕組みを通じて業界の人材プールからスキルを融通できます。航空会社が、事前認証を受け、資格を有し、安全確認済みの人材を共通のプールから融通するように、鉱業・金属業界も、需要が変動する希少スキルの人材バンクを構築できます。そのためには、業界全体で連携し、人材市場の状況を把握するとともに、スキルや認定要件について合意する必要があります。
5. ボット(自動化)
専門的な機械作業や反復作業は自動化に適しており、なくなる可能性が高いでしょう。ほかの職務は自動化によって拡張され、AIが人間に洞察を提供して意思決定を支え、より付加価値の高い仕事に取り組めるようになります。また、自動化によって新たな職務が生まれ、分析スキルを持つ労働者への需要が高まります。
5. 出戻り人材
鉱業・金属企業は、退職者や元従業員が新たな職務やアドバイザーとして戻りやすくすることで、同窓人材コミュニティの人材を活用できます。こうした人材にも、シェアリングエコノミー型の解決策があります。ある鉱山の操業休止期間を複数の組織間で調整すれば、人材は一つの鉱業・金属企業内で垂直的に働くのではなく、業界を横断して働けるようになります。
企業はどのように人材を惹きつけ、定着させることができるのか?
こうした大きく異なる未来の働き方に備えるため、鉱業・金属企業は3つのステップを踏む必要があります。

組織レベルでキャリア形成の道筋を変革する:従来型の資格を持たない人にも道を開き、高校段階からキャリアに関する働きかけを始め、仕事の意義と柔軟性を重視した新たな従業員価値提案をつくることなどが含まれます。
人材・リーダーシップの構造モデルを再設計する:柔軟な勤務モデル、動的なシフト編成、可能な場合のリモートワークを取り入れ、リアルタイムのスキル体系に基づいて大規模な社内人材の流動性を支える人材マーケットプレイスを構築することなどが含まれます。
業界レベルで人材を育成し、配置する:希少人材を惹きつけるために他業界と競い合うコンソーシアムを組み、同業他社と連携して、学習や人材に関するシェアリングエコノミー型モデルを開発することなどが含まれます。
多くの組織にとって、こうした変革にはリーダーの考え方の転換と、組織文化の進化が必要です。これが自社にどう影響するかを理解する第一歩として、次の報告書をお読みください。 鉱業・金属業界における未来の人材の変革。


