職場には、意欲や活気にあふれ、前向きに見える人がいる一方、そうでない人もいます。
従業員のエンゲージメントは、仕事への満足度や自分が評価されているという感覚など、さまざまな要因に左右されます。
バーミンガム大学でマネジメントを教えるレウェマム・ンディバレマ氏は、雇用主がエンゲージメントを高めるための5つの方法を明らかにしました。
職業を問わず、仕事に活気と情熱を持つ同僚がいる一方で、退屈そうで関心を失っているように見える同僚もいることに気づいたことがあるでしょう。こうした違いは「従業員エンゲージメント」と呼ばれ、情熱を持つ講師から熱意あふれる客室乗務員まで、あらゆる人に見られます。
仕事へのエンゲージメントは、次のように説明されています。「活力、献身、没頭を特徴とする、前向きな動機づけの心理状態」です。この状態にある従業員は、心身ともにしなやかで、熱意を持ち、活動に喜んで没頭しているとされます。疲れを感じることもありますが、それでも達成感を得られます。
一部の従業員は前向きにエンゲージしているのに、そうでない人もいるのはなぜでしょうか。これは、「仕事の要求度・資源モデル」理論で説明できます。この理論では、「資源」を持つことが、人をエンゲージさせる原動力だとされます。こうした資源は、必ずしも金銭や福利厚生に関係するものではなく、従業員が仕事の目標を達成し、個人として成長し、ストレスを軽減するのに役立つものであれば、何でも当てはまります。
私の最近の研究では、研究者の従業員エンゲージメントを調べ、雇用主がエンゲージメントを高めるために試せる具体策を特定しました。企業の経営者が検討すべき5つのポイントを紹介します。
1. 組織からの支援。従業員を信頼し、組織内で新たな重要な役割を担ってもらうことで、その貢献を評価することは、従業員が仕事にエンゲージするうえで欠かせません。たとえば昇進は、従業員が報われたと感じる方法の一つですが、上層部だけでなく同僚からも認められる必要があります。
実際には、創造的なアイデアや大きな変革につながるアイデアへの称賛を内々にとどめず、ほかの従業員にも伝えるということです。組織が従業員の健康と幸福を気遣うときにも、従業員は自分が大切にされていると感じます。その結果、より懸命に働こうという意欲が生まれます。会社から大切にされていると感じる人は、会社を大切にするようになります。
2. 建設的なフィードバック。仕事を改善するために何をすべきか、明確な指針を示すことで、目標達成の方法への理解が深まります。また、ストレスを抑えながら、より懸命に働く意欲を促します。
3. 公平性。従業員が、物質的な報酬とそれを得るための手続きの両方を公平だと感じると、公平性そのものが資源になります。努力の度合いを調整することで、どれほど報われるかを見極められるからです。これが、より懸命に働く動機になります。
4. 仕事の特性。仕事の設計は、自分の仕事をどの程度自分でコントロールできると従業員が感じるか、また目標を達成できる可能性に影響します。役割や要件が明確であれば、自律性が得られ、意欲を持って仕事にエンゲージする理由にもなります。
5. 研修と能力開発。適切な研修を従業員に提供することで、業務の成果を高めるスキルを身につけられます。それにより、前向きさや自信が増し、気後れも減って、十分にエンゲージした状態へと近づきます。
個人にもたらされる恩恵
私の研究では、雇用主には左右できない、従業員エンゲージメントに関わる要因もいくつか明らかになりました。これらは、従業員自身が持つ個人的な資源に左右されます。
その一つが、仕事をすること自体に満足感を覚える従業員の「内発的動機づけ」です。給与や名声といった外的な恩恵ではなく、仕事そのものに満足を感じる人は、外的報酬に動機づけられる人より、仕事にエンゲージした状態を経験しやすくなります。また、前向きな感情は思考の幅を広げることが明らかになっています。さらに、回復力を高め、従業員の楽観的な見方を育み、自尊心を高めることにもつながります。
また、仕事でのエンゲージメントは有給の仕事に限られるものではありません。仕事にエンゲージした状態は、さまざまな場面で生まれ、恩恵をもたらします。課題に取り組む学生、新しい曲を作ろうとする音楽家、そして初めてよちよち歩きをしようとする幼児も、仕事へのエンゲージメントに後押しされる活動の例です。
従業員が前向きにエンゲージすると仕事のパフォーマンスが向上し、組織にも恩恵があります。しかし、さらに大きな恩恵は、その人の心身の健康に及び、真の人間の可能性を解き放つ道を開くことです。



