要点
初の遺伝子組み換え(GM)サーモンが、長年の反対や遅延を経て、ついにカナダのスーパーの店頭に並んだ。このサーモンはFDAなどの規制当局から安全性が認められているが、GM食品全般に反対する団体からの反発は続いている。
店頭に並ぶGMサーモン
環境保護団体から25年間にわたって反対され、さまざまな論争を経て、遺伝子組み換え(GM)サーモンがついに店頭に並んだ。カナダ市場でのことだ。AquaBounty Technologiesは約5トンの「AquAdvantage Salmon」を、昨年カナダで承認されて以来、同国で販売している。この魚は2015年末にFDAから承認されたものの、切り身の表示をめぐる対立で、米国での販売は停滞している。
マサチューセッツ州メイナードに本社を置く同社が、GM大西洋サケを市場に送り出している。このサーモンには、成長を速める2つの遺伝子が追加されている。成長を促すマスノスケの成長ホルモン遺伝子と、その遺伝子を常に「オン」の状態に保つゲンゲ由来の遺伝子だ。こうした改変の結果、遺伝子操作されたAquAdvantage Salmonは、一般的なサーモンの2倍の速さで成長し、餌の量を20~25%減らせる。
AquAdvantage Salmonは、世界で初めて販売されるGM動物だ。そのため、この製品には環境保護団体から強い反対が寄せられている。表示をめぐる問題に加え、反対派は、養殖槽から逃げ出した場合、天然個体群に汚染のリスクをもたらすことを懸念している。しかし、この魚は不妊化されており、FDAと米国海洋大気庁は施設を視察し、封じ込め対策は適切だと判断した。
GM食品をめぐる論争
GM食品への激しい反対は意外ではない。2016年に20人の科学者が執筆し、1,000件を超える研究、公聴会やウェビナーでの80人の証言、一般から寄せられた700件の意見を基にした包括的な分析では、GM作物は食べても安全で環境にも害を与えないと結論づけられたが、世間にはなお納得していない人が多い。一方、インドの農家はGMマスタードの栽培を始めており、科学者たちは「スーパー小麦」の安全性
を証明しようとしている。GM代理母鶏は、希少な家禽種を絶滅から救える可能性に期待して試験が進められている。また、最近話題になっている珍しい遺伝子組み換え生物(GMO)の例には、Impossible Foodsの植物由来バーガーもある。FDAで最近問題となったのは、GMであることではなく、アレルゲンとなる可能性だ。
AquAdvantage Salmonのような製品にとって、本当の突破口となるのは時間の経過と、消費者の記憶の薄れかもしれない。サーモンがカナダで売れ続ければ、ほかの魚種も市場の店頭に並ぶ可能性がある。

