友人のほうが自分より友達が多いと感じたことはありませんか?
近年、FacebookやInstagramのようなソーシャルメディアアプリが普及し、友人と自分の「友達」の数を比べることがかつてないほど簡単になっています。
自分のソーシャルネットワークが他の人と比べてどうなのか気になることがあるなら、Personality & Social Psychology Bulletinに掲載された私たちの最新研究が示すように、そう感じているのはあなただけではありません。さらに、友人のほうが自分より友達が多いと思い込むことは、たとえ明らかに事実でなくても、健康に悪影響を及ぼす可能性があることが分かりました。
人と比べるのは人間の性
心理学の数十年にわたる研究から、社会的比較は人間に根本的に備わった傾向であることが示されています。私たちは自分の能力や社会的地位、さらには自分自身の感情を評価し理解するために、他者と自分を比べます。
社会的に比較するとき、人はたいてい自分のほうが優れている、少なくとも平均以上だと考えます。つまり、自分の能力に過信し、健康、魅力、知性について、自分を平均以上と評価することがよくあります。
ところが、人が友人より劣っていると考えがちな領域が少なくとも一つあります。それは感情面での経験です。
ハーバード大学医学大学院の同僚、アレックス・ジョーダンによる先行研究では、次のことが分かりました。人は、友人がうつやストレスなどの否定的な感情を経験する頻度を過小評価し、幸福感や誇り、希望などの肯定的な感情を経験する頻度を過大評価しています。
後者の傾向の理由の一つは、人が他者の社会的つながりの強さも一般に過大評価することです。なにしろ、社会的につながっていることは、幸福を予測する最も重要な要因の一つです。したがって、友人よりうまくいっていないという思い込みが、社会への帰属意識にも及ぶのか、また、こうした思い込みがどのように生じるのかを理解することが重要です。

ソーシャルメディアの台頭
ソーシャルメディアによって、自分と友人のつながりの強さを比べずにいることが、ずっと難しくなっています。
2004年のFacebook誕生以来、10億人を超える人々がFacebookアカウントを作成し、現在、そのウェブサイトは世界で最も多く訪問されています。米国人は毎月、Facebookに約560億分を費やしています。
この時間の一部は他の人とのメッセージのやり取りに使われますが、一般的な利用者はFacebook上で過ごす時間の大半を、投稿せずに他の人を眺めることに費やします。これは「ROM専」と呼ばれることもあります。言い換えれば、人はソーシャルメディア上で、友人の生活に関する情報を集めることに大半の時間を費やしています。
また、ソーシャルメディアの投稿は、最もポジティブな自分の姿を見せることに主眼が置かれています。Twitter、Instagram、Snapchat、LinkedInが広く利用されるなか、友人の成果を知るのを避けるのはほぼ不可能です。その結果、そうした情報を基準にして、自分の生活を友人の生活と比べることもほぼ避けられません。
他の人のほうが友達が多いと思い込む
人々が友人の社会生活について抱く思い込みと、それが幸福に及ぼす影響を調べるため、私たちは大学1年生を対象に調査を行いました。調査は、カナダのバンクーバーにある大規模な公立大学、ブリティッシュコロンビア大学で、学生が大学生活へ移行する時期に実施しました。
計1,488人が参加した類似の2つの研究で、重要な質問を2つ尋ねました。大学に友達は何人いますか?また、他の1年生には友達が何人いると思いますか?さらに、過去7日間に自分と友人が大学で新しい友達と交流した時間の割合も推定してもらいました。
驚くほど多くの学生が、友人のほうが自分より友達が多く、交流に費やす時間も長いと考えていました。
最初の研究では、1年生の48%が友人のほうが友達が多いと考えた一方、逆に自分のほうが多いと考えたのはわずか31%でした。
2つ目の研究では、その差がさらに顕著でした。自分より他の1年生のほうが友達が多いと考えた学生は、逆に自分のほうが多いと考えた学生の2倍以上に上りました。割合は55%対26%でした。また学生は、大学で新しい友達と交流する時間について、友人は24%と考えたのに対し、自分については20%と見積もりました。
こうした思い込みが幸福を損なう仕組み
2つ目の研究では、学生に幸福度と孤独感についても報告してもらいました。幸福度と孤独感を測るため、「私の生活環境はすばらしい」や「自分は孤独な人間だと思う」といった文への賛否を尋ねました。
友人のほうが社会的にうまくいっていると考えた学生は、自分のほうが友達が多いと考えた学生に比べ、生活満足度が低く、孤独感が強いと報告しました。
重要なのは、学生の友達の数を考慮した後も、こうした結果が変わらなかったことです。つまり、友達が平均より多い学生であっても、友人のほうが自分より友達が多いと思うことは、幸福を損なっていました。
では、なぜ私たちはこのように考えるのでしょうか?
私たちの研究は、社会活動が人目に触れる性質を持つため、人は友人のほうが自分より社会的にうまくいっていると思い込むことがあると示しています。
友人との食事や勉強などの社会活動は、人目につきやすい公共の場で行われることが多いため、学生は友人の生活でそうした活動が起こる頻度を過大評価している可能性があります。
ソーシャルメディアも一因です。私たちが今年初めに発表した研究では、Facebookで友人の社交的な写真を見た後、1年生が大学に自分の居場所がないと感じる可能性が高まりました。
大学以外で、こうした感情や思い込みがどの程度一般的なのかを調べるデータは、まだ集めていません。しかし、新しい街に引っ越したり、新しい仕事を始めたりするときに孤独を感じる人が多いことを考えると、こうした社会的な誤認は、新しい社会環境に移るたびに起こる可能性があります。
明るい兆し
私たちの研究では、こうした認識が時間とともに変化することを示す証拠が見つかりました。学生の一部に4~5か月後に同じ質問をして追跡調査したところ、重要な発見が2つありました。
学年が進むと、他の学生のほうが自分より友達が多いと考える学生は減りました。この結果は、他者のほうが社交的だと見る傾向は時間とともに変化しうることを示しています。友人のことをよく知るようになり、実際には自分より友達が多いわけではないと気づくためかもしれません。
また、こうした思い込みは、ほどほどであれば必ずしも悪いものではない可能性を示す証拠も見つかりました。当初、他の学生のほうが自分より友達が少し多いと考えていた学生は、後日調査した際に、実際に自分の友達を増やしていました。このことは、友人に少し遅れを取っているものの、望みがないほどではないと感じる人は、新たな友情を築こうとする意欲が高まる可能性を示しています。友達が増えれば、他の人のほうが自分より友達が多いと考える可能性は低くなります。
周りの誰もが自分より人とのつながりが強いと感じたことがあるなら、同じように感じている人はほかにもいるでしょう。ただ、その気持ちを、新しい同僚に声をかけたり、しばらく会っていない友人と昼食を取ったりする動機にできれば、その思い込みが必ず幸福を損なうわけではありません。むしろ、人とのつながりを深める助けになるかもしれません。
