フランスの空飛ぶ水上タクシーがスタートアップに教えてくれること

The SeaBubbles water taxi prototype is presented in the harbour of Saint-Tropez, France August 18, 2017. Picture taken August 18, 2017. REUTERS/Philippe Laurenson? - RTS1D2SQ
The SeaBubble wants to become a fast taxi service for the waterways of major cities.Image: REUTERS/Philippe Laurenson
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フランス人ヨットマンのアラン・テボーは、2009年にセーリングの世界最速記録を破ったボートの設計を、主要都市の水路を走るクリーンで高速なタクシーサービスに活用したいと考えている。

SeaBubbleは民間投資家の支援を獲得した。テボーは9月末までに5,000万〜1億ユーロを調達できると見込んでいる。

「スタートアップ国家」の実現を目指す、企業寄りのフランス大統領エマニュエル・マクロンは、経済相時代にこの構想を後押ししたことさえある。現在も計画を支持しているかについてコメントを求めたが、大統領府から回答はなかった。

SeaBubblesは、規制面で特有の障壁に直面している。なかでも、セーヌ川の制限速度を引き上げるようパリ当局を説得することが課題だ。

しかし他のスタートアップと同じく、構想が軌道に乗り、急成長が必要になったときに、行政の官僚主義によって会社の成長が妨げられることを彼は懸念している。

「アンダース(ブリングダル)と私のような二羽の海鳥にとって、障害だらけの道です」と、スウェーデンのウィンドサーフィン王者である共同経営者について語った。「あまりに複雑になれば……一番簡単なところへ行きます」

SeaBubblesが車2台をリースする契約を取りまとめるのに2カ月、弁護士が会社を登記するのに1カ月かかったという。後者は、ほかの国なら数時間で済んだはずだと彼は話した。

SeaBubblesの試作機は、高速走行時に脚で水面から浮き上がることでバッテリーを長持ちさせる。パリ市長のアンヌ・イダルゴは6月、セーヌ川を試乗してこの構想を支持した。

しかし、パリでBubbleが運航できる可能性があるのは、セーヌ川の制限速度が引き上げられ、水面から浮上できる速度を出せるようになった場合に限られる。この要請は今のところ当局に拒否されている。イダルゴ市長がこの計画についてどう考えているか、パリの速度制限を変更すべきだと考えているかを含め、コメントを求めたが市長室から回答はなかった。

国営投資銀行から初期資金を得たものの、政府補助金20万ユーロを求める申請が2度却下されたことには意気消沈したという。広報担当者は、「事業としての実証性」がある企業にしか資金を提供できないと述べた。

テボーによると、世界の「約5」都市がSeaBubbleを公共交通システムの一部にできるか検討することに関心を示しているが、都市名は明かさなかった。

「資金はたっぷりある」

国営投資銀行Bpifranceは、2016年に1億9,100万ユーロを投資し、活況を呈するスタートアップ業界を牽引してきた。

また、民間の取り組みとして、パリにあるスタートアップ向け巨大キャンパス「Station F」がある。34,000平方メートル(366,000平方フィート)の施設は、億万長者のザビエ・ニエルによる2億5,000万ユーロの投資を受け、6月末に開業した。

企業寄りの大統領として自らを位置づけるマクロンが今年選挙で選ばれた後、投資家の信頼感が高まったことも追い風となった。

Image: REUTERS/Philippe Laurenson

ベンチャー投資を追跡するCB Insightsによると、現在のペースなら2017年の取引件数は年末までに700件を超え、2016年から約40%増える見通しだ。今年上半期の投資額は約20億3,000万ドルで、2016年通年の21億ドルに迫った。CB Insightsによると、これによりフランスは英国に次ぐ、資金調達額で世界第2位のテック系スタートアップ市場となった。

投資家によれば、スタートアップの足かせとなっているのは資金面の懸念ではなく、官僚主義と労働法だ。従業員を保護するための制度だが、事業の立ち上げ期には煩雑で、企業にとって費用もかさむことがある。

SeaBubblesにも出資したベンチャーキャピタルファンド、Partech Venturesのパートナー、ロマン・ラヴォーは「お金の問題ではありません。資金はたっぷり、たっぷり、たっぷりあります」と語った。

採用と解雇

世界経済フォーラムの今年の競争力報告書では、ビジネスの高度化、技術力、イノベーションへの対応力に基づき、フランスは21位にランクされた。

一方、「政府規制の負担」では138カ国中115位、2015年のデータに基づく採用・解雇慣行では129位だった。

パリを拠点とするデジタル保険スタートアップAlanの共同創業者であるシャルル・ゴランタンは、「フランスで会社を設立するのは、より複雑です」と語った。

投資家の不満の上位には、厳しい労働法が挙がる。フランスに拠点を置く従業員50人以上の企業は、従業員代表委員会を設置し、労働組合の選挙を実施し、労働者との定期的な協議や所定の手続きを行わなければならない。人員整理や解雇には費用がかかることがある。

マクロンは制度改革を約束している。

「ユニコーン」、つまり企業価値が10億ドル以上の企業となったフランスのスタートアップはごくわずかだ。

Criteo(CRTO.O)は、現在ナスダック証券取引所に上場しているフランスのスタートアップで、企業価値は現在34億ドルだ。

「フランスでは今でも、会社を立ち上げると『すばらしいことだが、大きなリスクを取っている』と言われます」と、同社の最高経営責任者ジャン=バティスト・リュデルは語った。

「シリコンバレーは50年の歴史があります。フランスの(スタートアップ)エコシステムが競争できるようになるには、少なくとも10〜15年かかるでしょう」

それでもCriteoはパリに本社を置き続けている。リュデルは、事業を育てた国への愛着に加え、優秀なエンジニアを輩出し、スタートアップ業界が発展しつつあり、生活水準も高いことから、フランスにとどまっている。

Partechのラヴォーは「毎週、パリに移住したいというアメリカ人から履歴書が届きます。これほど関心が高まったのを見たことがありません」と語った。

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