観光システムは壊れている――今こそカスタマイズを

A cruise ship passes in the Giudecca Canal in Venice.
A cruise ship passes in the Giudecca Canal in Venice.Image: REUTERS/Manuel Silvestri
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私たちは知らず知らずのうちに、金の卵を産むガチョウを殺しているのだろうか。観光客が訪れたいと願う地域社会は、観光による圧力をますます強く受けている。基本的に、責任を負うべき特定の個人はいない。人々は旅をしたいと思う。それを誰が責められるだろうか。ホテル経営者は客室を提供できて満足だ。それが彼らの仕事だからだ。飲食業者や博物館は、地元客から得る収入を補う追加の支出を歓迎する。政策立案者は雇用が生まれることを喜び、訪問者が公共サービスや公共空間を利用することを受け入れている。

地元住民が不満を訴えず、仕事が将来性のあるキャリアにつながり、サービス提供者が健全な利益を上げ、地域の生態系が損なわれないのであれば、すべてうまくいく。残念ながら、今日ではそのどれも当てはまらない。

時代遅れのシステム

なぜ観光システムは壊れているのか。若い世代には想像しにくいかもしれないが、観光システムは、インターネットのない時代に、完全に不透明な形で築かれた。旅行者は、航空券や宿泊施設、旅程のほかの要素をどう比較し、予約できただろうか。もちろん、答えは「できなかった」だ。旅行会社や旅行代理店が代わりに手配していた。

そこで、旅行者が事情を把握できなかったため、私たちは彼らが信頼を寄せられるよう、グローバルブランドを作り上げた。世界規模の旅行業界ブランド、ホスピタリティブランド、航空会社ブランドである。不透明な市場で信頼性、信用、安定性を築く手段として、これらはすべて理にかなっていた。観光施設さえグローバルブランドになった(ディズニー、マダム・タッソー、グッゲンハイム、ザ・ダンジョンズ)。あらゆるグローバルブランドが、観光地のブランドを席巻している。

さらに、多くの政府は、不透明なシステムのもとで消費者を保護するため、顧客に誤解を招く情報が提供されたことを証明できる場合、旅行会社や旅行代理店に法的責任を負わせる法律を制定した。その結果、旅行業界は情報を標準化する仕組みを作った。一般的な星評価制度のように、提供内容を客観的な基準で説明する事実に基づく仕組みだ。たとえば、ビーチからxメートルのホテル、客室面積はy平方メートル、年間平均の日照時間がz時間の観光地、といった具合である。こうしたパッケージ商品を扱うシステムでは、消費者は提供内容をパッケージ(ブランド)と価格だけで比較するようになった。こうして、観光地が事実上重要性を失う、旅行の商品化が進んだ。

使い捨てにされる観光地

私たちは、観光地が使い捨てのガジェット、つまり公共財になってしまうシステムを作った。旅行業界はそうせざるを得なかったのであり、彼らだけを責めることはできない。航空会社は特に気にかけていないし、その必要もない。人々を移動させるのが彼らの仕事だからだ。今日のオンライン予約サイトも気にかけていない。単なる仲介業者だからだ。その間、旅行者は主に価格で提供内容を比較し、利益や賃金の低下、補償されない社会的・生態学的影響の拡大という悪循環を続かせている。私たちが作り上げた時代遅れで複雑な商品化のシステムのせいで、深刻なオーバーツーリズムに直面する観光地でさえ、価格に上乗せすることが難しい。

では、システムのどの部分が問題を気にかけるべきだろうか。ホスピタリティ業界はそうすべきだ。オンラインレビューの仕組みが広がり、Airbnbやブティックホテルの成功が示すように、世界的なホスピタリティブランドの標準化は重要性を失いつつある。いまや、地域ならではの体験にサービスをどう組み込んでいるかも評価の基準になっている。また、旅行業界も問題を気にかけるべきだ。どこでも買えるものではない、本当に価値を高める体験を専門化して販売し始めなければ、その存在意義を完全に失うだろう。今日、持続可能な観光地に必要なのは、均質化ではなく、地域に合わせてカスタマイズされた本物らしさだ。つまり、誰もが問題を気にかけるべきである。

地域社会の評判

それでも残念ながら、今日も旅行は標準化された、供給主導の商品と見なされ続けている。大規模な広告からは、多くの観光地が、見込み客は誰なのか、どんな体験を求めているのかをまったく把握していない、あるいは調べる手間をかけたことがないことがうかがえる。観光地のブランド(あるいはそのロゴやスローガン)は、地域社会の評判を実際に築くためではなく、航空座席やホテルの客室をさらに売るためだけに使われ続けている。

しかし、オーバーツーリズムをめぐる議論を受け、見方に変化が生じているようだ。多くの地域社会が、旅行会社主導の大規模団体旅行に異議を唱え始めている。クルーズ船が寄港してシステムに衝撃を与えること、あるいは政府が格安航空会社に公的資金を提供し、空港への交差補助によって需要を過剰に刺激することに対してだ。同時に、地域社会は観光そのものに反対しているわけではなさそうだ。おそらく求めているのはパートナーシップ、すなわち、すべての関係者が短期的な利益だけでなく、長期的な評判の安定にも同じように関心を寄せる、評判を守るための連携である。

かつて、あらゆる企業は事業を営む地域社会での評判を気にかけていた。地域市場での信頼が事業を支えていたからだ。グローバル化によって世界共通のプレーヤーが生まれ、私たちはこのことを忘れてしまった。しかし、観光関連企業は、長期的な成功が地域社会に大きく左右される以上、今も評判を気にかけるべきだ。魅力的で持続可能な観光地がなければ、観光は成り立たない。

創造力あふれる地域社会

私たちが注力すべきなのは、創造力あふれる地域社会を築くことだ。つまり、アイデンティティ、歴史、帰属意識を共有する人々と企業の集まりである。創造力あふれる地域社会は、何が地域を結びつけているのか、仲間意識や目的意識の源は何かを明確に理解している。独自性があり、意義深く、本物らしく、一貫性があり、記憶に残る評判を築くために、独創的で、創造的、革新的、人を引きつけ、鼓舞する取り組みを通じて、そのアイデンティティを打ち出し、強めていく。そして、その地域社会がどのようなものかを世界に示す。

創造力あふれる地域社会は際立った存在となり、ある人々には抗いがたい魅力を持つ観光地になる一方、別の人々には魅力のない場所となる。その違いを踏まえ、観光地は適切な観光商品の市場の組み合わせ、つまり対象を絞った旅行体験を定められる。こうした体験を最善の形で提供するため、観光システムの適切な構成要素を選ぶこともできる。これにより、観光地がシステムの犠牲になるのではなく、主導権を取り戻す地域連携が可能になる。そのうえで観光地は、あらゆる人にすべてを提供するマスメディア広告から離れ、観光システム内の地域連携を通じた、対象を絞ったコンテンツマーケティングへと移行できる。

長期的には、こうしたシステムはすべての人に利益をもたらす。観光客にはより満足度の高い体験が提供され、地域社会への観光の影響はより持続可能になり、観光サービス提供者はより健全な利益率を確保できる(体験をよりきめ細かくカスタマイズすれば、価格に上乗せできるため)。その結果、観光システムで働く人々にとって、より良く、やりがいのある仕事も生まれる。

観光地とは地域社会であり、地図上の名前にとどまらず、観光システムの中心に据えられるべき存在である。

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