今日、Facebookで友人と何を共有したか考えてみてほしい。「ストレス」や「失敗」といった感情だろうか。それとも「喜び」「愛」「興奮」だろうか。ソーシャルメディアに投稿するたび、私たちは気分の痕跡を残している。
私たちの感情は価値ある商品であり、多くの企業が、感情分析と呼ばれる手法で感情を識別する自動化ツールを開発している。
最近、流出した報告書が明らかにしたところによると、Facebookは若者が傷つきやすい状態にあるとき、それを特定できるという。ただし同社は、その分析を使ってユーザーに広告を配信したことはないと主張している。Facebookはまた、2014年に行った実験についても謝罪した。この「感情の伝染」に関する実験では、「ポジティブ」または「ネガティブ」な感情を含む投稿がユーザーのフィードから取り除かれた。
テキストから感情を検出する能力が、ソーシャルメディア企業や広告主にとって大きな関心事であるのは明らかだ。では、感情分析はどのように機能し、何に役立つのか。また、どんな危険があるのだろうか。
感情分析はどのように機能するのか?
Facebook独自のアルゴリズムの詳細は公開されていないが、感情分析の手法のほとんどは、教師あり学習と教師なし学習の2つに分類される。
教師あり学習の手法では、ラベル付きデータを用いる。つまり、ポジティブまたはネガティブな感情を含むものとして、人手で分類された投稿を使う。
次に、統計的手法を用いてモデルを訓練し、あらかじめ特定された単語やフレーズ(たとえば「ストレスを感じている」や「リラックスしている」)の有無に基づいて、新たな投稿を自動で分類する。
一方、教師なし学習の手法では、単語ごとのスコアをまとめた辞書を作成することが多い。そのような辞書の一つは、共同研究者たちが開発したもので、人々にさまざまな単語の幸福度を1から9で評価してもらい、その結果を平均した。たとえば「虹」は8.06、「役に立たない」は2.52だった。
投稿に含まれるすべての単語を調べれば、フレーズ全体の感情をスコア化できる。たとえば「私の母はいつも『人生はチョコレートの箱のようなもの』と言っていた」という投稿の平均スコアは、この辞書によると平均を上回る6.02で、ポジティブな感情を表していることがうかがえる。
感情分析は何に使われるのか?
マーケターは感情分析をますます活用し、トレンドを調査して、商品の推薦に役立てている。
新しい携帯電話が発売されたとしよう。その製品についてのソーシャルメディア投稿を感情分析すれば、企業は製品の評価について、価値あるリアルタイムの情報を得られるかもしれない。
感情分析には、さらに幅広い用途がある。研究者たちは最近、ドナルド・トランプ大統領の就任後100日間にわたるTwitter上の感情の動きを追跡し、さらに、市場取引を行うボットを開発した。トランプ氏が特定の企業について肯定的または否定的なツイートをすると、ボットが取引を行う。
科学者は、ほかのテキストに見られる感情の傾向も追跡できる。たとえば私たちは、感情分析を用いて、1,000本を超える映画の脚本から感情の起伏を調べた。2013年のディズニー映画『アナと雪の女王』の起伏を下に示す。

多くの映画には似たパターンが見られる。緊張と解放が規則的に高まり、落ち込むのを繰り返した後、物語の80%ほどのところで特に大きく落ち込む(希望はすべて失われた!)。そして最後に解決を迎え、ハッピーエンドとなる。小説にも同様の分析を適用した結果、物語の大半は6つの基本的なストーリー展開のいずれかに当てはまることがわかった。
感情分析は、まだそれほどうまくできない
感情分析はソーシャルメディアの投稿を大量に収集することが多いため、重大な倫理的懸念を引き起こす。そして、この問題をめぐる議論は始まったばかりだ。それでも、言語と意味は複雑であり、分析には誤りが生じやすい。
「フォースとともにあらんことを」というフレーズを例にとろう。私たちの辞書を使った分析では、スコアは5.35となる。『スター・ウォーズ』のファンにとって、もちろん非常にポジティブなフレーズだが、「フォース」という単語の評価が平均を下回る4.0のため、テストでは控えめなスコアになった。
この単語を単独で評価するなら理解できるが、文脈に照らすと納得しにくい。
したがって、Facebookの感情分析能力の妥当性には、ある程度懐疑的になるのも当然だ。Facebookで何かを「めちゃくちゃ最高」と表現した場合、くだけた肯定表現であるにもかかわらず、その人の感情状態が誤って分類される可能性は十分にある。
感情分析が機能する場合としない場合を理解するには、特定の結果を左右する単語を調べることが重要だ。
そのために、私たちは「単語シフト」図を使う。下に示した『アナと雪の女王』の図は、脚本のクライマックスがハッピーエンドより悲しくなった要因を示している。「悲しみ」や「恐怖」への言及が増え、奇妙なことに「美しい」も増えている。

期待と警告
感情分析は強力なツールだが、まだ発展途上の科学であり、慎重に使わなければならない。
科学者は、特定のアルゴリズムがなぜそのような結果を出すのかを理解できるよう、その内部を詳しく調べるためのツールを開発しなければならない。これは、さまざまな手法の問題を診断し、さらに重要なこととして、この分野の可能性と限界を人々に伝える唯一の方法だ。
感情分析の研究は、主に大規模な公開データセット、とりわけソーシャルメディアのデータを基盤としてきた。知らぬ間にデータを提供している私たちは、それが何に、どのように使われうるのか、また使われえないのかを理解することが重要だ。
