この企業は廃水をワインに変えている

Boxes with grapes are seen at a vineyard during the traditional Champagne wine harvest in Ay, France, September 22, 2016. REUTERS/Benoit Tessier
A winemaker in Tijuana is using reclaimed water to irrigate their crops, helping the area's water shortages.Image: REUTERS/Benoit Tessier
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イタリア人ワイン醸造家のカミッロ・マゴーニ氏は、メキシコ国境の町ティフアナにあるラ・モリタ処理施設の敷地で再生水を使い、青々と茂る800本のブドウの木を育てている。そこで造られる赤ワインは、1本200ドルで販売できるかもしれないと、彼は冗談めかして語る。

実験が成功すれば、処理済み廃水を乾燥したバハ・カリフォルニア半島を通ってティフアナ南方のバジェ・デ・グアダルーペまで運び、同地域の高級ブドウ畑を灌漑することが、乏しい水を近隣の町と奪い合うワイン生産者にとって選択肢となる可能性がある。

「カベルネ・ソーヴィニヨンのような味です。まったく違いはありません」と、バハのワイン産業で50年以上働いてきたマゴーニ氏は語った。「私たちが使っている水はとてもきれいで、ほとんど水晶のように澄んでいます。」

廃水をワインに変えるマゴーニ氏のプロジェクトは、この地域の水不足の解決策を見つける助けになるかもしれないと、同氏は語った。「今後も続けて、業界関係者の関心があるかどうかを見ていきます……」と付け加えた。

シンガポールなど一部の国では、すでにハイテクシステムによって「トイレから蛇口へ」と水が再生され、飲料水や産業用水として利用されている。一方、イスラエルでは廃水の多くが灌漑に再利用されている。

一方、カリフォルニア州オレンジ郡では、下水の排水から回収した水を1日に数百万ガロン、帯水層に注入している。そこで水は自然にろ過されてから飲用される。

専門家によると、地域全体では水が豊富であるにもかかわらず深刻な不足に苦しむ人々が多いラテンアメリカ諸国では、水の再利用の可能性がなかなか認識されてこなかった。再利用の大半は非公式だという。

メキシコ、チリ、ブラジルでは、状況が少しずつ変わりつつある。世界の取水量の約90%を合わせて占める産業と農業が、ますます価値の高まる水資源をめぐって水を必要とする都市と競合するなか、廃水は資産と見なされるようになっている。

「技術者には、『水がなくなりつつある。新たな供給源が必要だ』と言う傾向があります」と、世界銀行の水管理専門家ディエゴ・ロドリゲス氏は語った。

「水源から水を取り、処理し、使い、排出する。これは非常に直線的な考え方です。循環型の考え方を始めれば、再利用の価値をより重視するようになります。」

ビジネスの機会

ただし、水を再利用するには、まず回収する必要がある。

世界銀行によると、ラテンアメリカで下水道に接続しているのは半数にすぎず、処理される廃水も約30%にとどまる。リマのような都市では排水の多くが海に流され、ほかの都市では老朽化したネットワークや非効率な処理施設への対応に苦慮している。

国連によると、世界の廃水の80%は未処理であり、2030年には世界の水供給が需要に対して40%不足すると予測されている。

ラテンアメリカでは、一部の製造業や鉱業の企業が、自社の安定した水供給を確保するため、水の再利用計画を推進している。それにより、地域の水資源への圧力も軽減される。

近年、干ばつに見舞われたサンパウロでは、アクアポロ施設がブラジルの巨大都市の一部から出る下水を、近隣企業向けの工業用水に変えている。その生産量は、50万人が消費する水に相当する。

「水不足がある場所で再利用プロジェクトは実現します」と、アクアポロを運営するBRKアンビエンタルの産業運営責任者、ラファエル・ロッシ氏は語った。「産業が水を消費するために住民が水不足になるのは、理にかなっていません。」

専門家によると、水の再生利用は海水淡水化より最大7倍安く、過剰に利用されている帯水層、河川、湖から水を取るより持続可能性が高い。また、水は異なる清浄度基準に合わせて処理できる。

廃水を飲用可能にする際の法的・政策的な障壁に加え、この考えを受け入れにくくする心理的な障壁もあることを踏まえると、適切なインセンティブを設け、産業や農業向けの再利用計画への投資を促すほうが容易かもしれない。

チリでは、バルパライソから太平洋に流される廃水の一部を近隣のワイン生産者や農家に回す計画により、水の消費量と供給量の差を縮め、沿岸の汚染も減らせる可能性があると、フンダシオン・チレのサステナビリティセンター所長ウルリケ・ブロシェク氏は語った。

「代替策と比べて、投資費用も処理費用も非常に低いです」と同氏は語った。「チリではまだ再利用の文化が育っていません。これを不利な点と見ることも、機会と見ることもできます。」

その価値はいくらか

水の再利用を収益化するのは依然として難しいと、国際かんがい排水委員会のメキシコ支部副会長、ハイメ・コジャド氏は語った。

同氏は、メキシコシティの北にあるメスキタル渓谷を例に挙げた。広大な農地が、首都から大量に流れてくる未処理廃水によって灌漑され、肥料も与えられている。

しかし農家は、巨大なアトトニルコ処理施設がメキシコシティの下水浄化に着手すれば、水の価格が急上昇し、首都と水を奪い合うことになるのではないかと懸念している。首都では帯水層の枯渇により、広範囲で地盤沈下が起きている。

また、水がきれいになれば、より多くの肥料を使わなければならなくなるのではないかとも懸念している。

「水の価値は農業より都市のほうがはるかに高い。しかし、メスキタル渓谷の人々は100年間その水を使ってきており、権利もあります」とコジャド氏は語った。「水の再利用は常に経済の問題です。」

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