フロリダ州の退職者コミュニティ、ザ・ビレッジズは、その規模を名前からは想像しにくい。面積40平方マイルのこの地域には、道路が750マイルにわたって延び、独立したダウンタウンが3つあり、人口は高齢者12万5,000人に上る。カリフォルニア州パロアルトのほぼ2倍の人口だ。2013年と2014年、米国国勢調査局は、同地を米国で最も急速に成長している都市に選んだ。
米国の自動車スタートアップ、Voyageが、戸口から戸口まで送迎する自動運転タクシーサービスの実証実験の場として選んだのは、このゲート付きの街だ。同社が発表したのは先週水曜日(1月10日)。住民はアプリをタップして車を呼び出せる。車はレベル4の自動運転、つまり安全上重要な運転機能をすべて自動化した状態で走行するが、緊急時に備えて安全運転者が同乗する。サービス開始に先立ち、Voyageは自動運転車向けに道路レベルの情報を提供するCARMERAと提携し、ザ・ビレッジズの道路網750マイルすべてを地図化した。CARMERAはナビゲーションを支援するため、リアルタイムの地図更新情報も車両に提供する。

Voyageにとって、車両の試験場所としてこれ以上ない環境だ。ザ・ビレッジズが、走行距離を重ねるのに十分な広さと変化に富んだ空間を提供するからというだけではない。ゲートで囲まれたコミュニティは、自動運転車が特異な状況やまれな状況に遭遇するのを防ぐうえで重要な、管理された環境を提供する。住民もまた、自動運転によって高齢者の移動の自由が広がる可能性が以前から期待されていることから、自動運転の主要な利用対象者だ。最低年齢が55歳のこの急成長する高齢者コミュニティで、Voyageの車は、加齢による制約で運転できない住民に、より大きな自由をもたらす。
フロリダらしい晴天も、実証実験の追い風になる。自動運転技術が大きく進歩したにもかかわらず、自動運転車は今も、雪の中では周囲を「見る」のに苦労する。車が周囲の状況を地図化するために使うカメラやセンサーは、雪片によって誤作動することがあり、ナビゲーションに頼る道路標示も雪に覆われる。サンシャイン・ステートでは、Voyageのサービスを通年で中断しなければならない天候上の理由はほとんどないだろう。
Voyageによると、これは実環境における自動運転車の導入として、面積規模で世界最大となる。同実証実験に先立ち、同社はより小規模な導入を成功させており、サンノゼにある、同じくザ・ビレッジズという名の、住民4,000人の退職者コミュニティで自動運転車を運用した。また、シリーズAのベンチャーキャピタル資金調達により、同社によれば、2017年の資金調達総額は2,000万ドルを超えた。
