旅行・観光セクターは、世界の排出量の約11%を占めると推定されています。
調査によると、旅行者の71%がより持続可能な旅行をしたいと考えていますが、消費者の意図と行動の間には依然として大きな隔たりがあります。
意図と現実の間に立ちはだかる障壁と、業界により好循環で持続可能なサイクルを生み出す方法を紹介します。
COP27の開幕にあたり、世界の気候・環境課題に取り組む緊急性とその規模が、再び重要な議題となっています。世界の排出量の約11%を占め、今後その割合は増加すると予想される旅行・観光(T&T)セクターは、世界の気候目標の達成に重要な役割を果たします。
こうした状況を受け、政府や投資家は、より厳格な排出基準、環境配慮型の税制優遇措置、ESG関連投資の拡大を通じて、同セクターに排出削減と持続可能性の向上を強く求めています。さらに、より持続可能な旅行を選びたいと考える消費者も増えています。
これを受け、多くの旅行会社、航空会社などは、持続可能性の向上と温室効果ガス排出量の最小化を重要な事業目標に掲げています。しかし、これらの目標を達成し、より持続可能な未来へ移行するには、T&T企業は、より持続可能な旅行の選択を可能にする商品を開発する必要があります。
高まる持続可能な旅行への需要
近年の研究や調査結果から、旅行者が持続可能な旅行をますます重視していることが示されており、持続可能な旅行商品には機会があります。同時に、Booking.comの調査では、世界の旅行者の5人に4人が、持続可能な旅行を優先事項と考えていることが分かりました。71%がより持続可能な旅行をする意向を示し、78%は少なくとも年に1回、持続可能性に配慮した宿泊施設に滞在したいと回答しました。
特に環境については、Expediaの調査の回答者の69%が環境負荷を減らしたいと答え、75%がより環境に優しい交通手段を利用したいと回答しました。
しかし、旅行者の環境に優しく持続可能な商品への関心や需要が高まっているように見える一方で、持続可能な旅行商品の利用が同じように加速しているとは、現時点では言い難い状況です。持続可能な商品はまだ比較的新しく、実際の購買行動に関する調査は限られています。さらに最近の調査では、企業の持続可能性に関する取り組みや商品について、より透明性が高く、分かりやすく、簡単にアクセスできることを旅行者が望んでいると分かりました。
持続可能な消費行動を妨げる障壁
さらに、業界関係者へのインタビューと現在進めている調査を通じて、消費者が表明する意図と実際の行動との隔たりを説明する、さまざまな障壁が明らかになりました。
これらの障壁は、主に次の6つに分類できます。
1)入手可能性の低さ - 入手可能性に関する障壁の中心にあるのは、 企業の商品ラインアップに、持続可能な代替商品がないことです。これには、持続可能な商品の選択肢全般が限られていることに加え、従来型の商品と競争できる持続可能な商品が少ないことも含まれます。
2)認知不足 - この障壁は、T&Tにおける持続可能性の課題、その解決に役立つ持続可能な行動、そして提供されている持続可能な商品について、旅行者の認知が不足していることを指します。
3)信頼性の低さ - 信頼性の低さとは、企業が自社商品の持続可能性について主張する内容に対し、消費者がより確かな裏付けと情報を求めていることを指します。透明性、一貫性のある報告、認証、検証済みの表示といった商品に関する要素は、いずれも信頼性の向上につながります。
4)価格プレミアム - 一般に、持続可能な旅行の選択肢は従来型の選択肢より高価と見なされています。より持続可能な商品に上乗せ料金を払う意思は顧客層によって異なり、常に変化しているため、価格が高いことで代替商品を購入しない顧客も少なくありません。
5)煩雑な購入体験 - 購入手続きが面倒で直感的でない場合、顧客は持続可能な商品の購入をためらいがちです。
6)報奨・評価の不足 - この障壁は、顧客が身体的・精神的な努力の両面で報われたと感じられるようにする必要性を指します。この分野のツールは、持続可能性に向けた取り組みをソーシャルメディアで発信しやすくしたり、実際の場で認知を示したりするのに役立ちます。
言行の隔たりへの対応
こうした言行の隔たりに対処する持続可能な商品を提供できる企業は、顧客のニーズによりよく応えられるでしょう。その結果、持続可能な商品の購入増加が企業業績の向上につながり、こうした選択肢へのさらなる投資を促す好循環が生まれます。さらに、持続可能な商品の供給が増えれば、旅行者が持続可能な行動を取りやすくなり、T&Tセクターのネットゼロへの移行にも役立ちます。
持続可能な旅行商品への投資の意義を示すため、アクセンチュアとフォーラムは、言行の隔たりをさらに調査し、既存の持続可能な旅行商品とその構成を概観し、持続可能な商品の開発に向けた提言をまとめ、業界に行動を呼びかける取り組みを進めています。このテーマに関する報告書全文は12月に発表される予定です。
