災害時に役立つオンラインツール、すべての人を代表しているのか?

An aerial view shows the path of destruction caused by a tornado that touched down in Washington, Illinois, November 18, 2013. A fast-moving storm system triggered multiple tornadoes on Sunday that killed at least six people and flattened large parts of a town in Illinois as it tore across the Midwest, authorities said. REUTERS/Jim Young (UNITED STATES - Tags: DISASTER ENVIRONMENT TPX IMAGES OF THE DAY) - GM1E9BJ0EK201
We need to ensure that new forms of disaster mitigation tools help everyone.Image: REUTERS/Jim Young
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自然災害や気候関連の災害が増加するなか、クラウドソーシングによる地図作成などやソーシャルメディアといったオンラインツールは、人々が危機を理解し、対応するのに役立つ。位置情報を共有したり、情報を提供したりできる。

しかし、こうしたツールはすべての人に役立つのだろうか。それとも、一部の人々を周縁化してしまうのだろうか。リスクにさらされているコミュニティのあらゆる層から寄せられた情報を、ツールに反映させることが不可欠だ。

現在のエビデンスは、必ずしもそうなっていないことを示している。

オンラインツールで災害時に人々が支援に参加

ソーシャルメディアは、2019年のクイーンズランド州洪水や2013年のタスマニア州森林火災への対応を調整するうえで重要な役割を果たした。地域住民はFacebookを使い、食料や水などの物資を分け合うための調整を行った。

クラウドソーシングによる地図作成は、2010年のハイチ地震後の人道危機への対応に役立った。最も有用な情報の一部は、一般の人々から寄せられたものだった。

2017年、南フロリダを襲ったハリケーン・イルマの際にも、Twitterは同様に重要な知見をもたらした。

研究によると、こうした一般の人々からの情報提供は災害リスクの軽減に役立つ一方、限界もある。

新たな災害軽減ツールの開発を急ぐなかで、災害時に最も脆弱な人々にとって、それが助けとなるのか、害となるのかを考えることが重要だ。

脆弱な立場にあるのは誰か?

地震や森林火災などの極端な自然現象は、脆弱な人々が危険にさらされるまでは災害とはみなされない。

人々の脆弱性の度合いを判断するには、次の点を把握する必要がある。

1.個人とコミュニティが物理的脅威にさらされる度合い

2.脅威が現実になった際の対処能力を左右するリソースへのアクセス状況。

社会のなかには、他の人々よりも災害に対して脆弱な集団がある。これには、移動に困難を抱える人、介護やケアを担う人、資金、情報、支援ネットワークなどのリソースへのアクセスが限られている人が含まれる。

災害が起きると、負担が一部の集団にのしかかり、状況がさらに悪化することが多い。

2005年のハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズや、2017年のハリケーン・マリア後のプエルトリコで目の当たりにした惨状は、こうした災害における子どもの脆弱性を浮き彫りにした。

Image: ピッツバーグ大学、ライス大学

残念ながら、緊急事態への対応は、周縁化された集団の脆弱性をさらに強めることがある。たとえば、昨年発表された米国の研究では、災害後の数年間に白人の富は増加した一方、有色人種の富は減少したことが示された。著者らは、緊急支援や復興支援が公平に分配されていないことと関連していると指摘している。

近年まで、政策や実務指針は主に、最も多数を占める集団のなかでも私たちの社会における、とりわけ異性愛者の白人男性によって作られ、彼らを対象としてきた。

研究は、こうした状況がジェンダーの不平等を生み、あるいは次の人々のニーズを顧みないことにつながり得ると示している。LGBTIQコミュニティ、元難民や移民、またはドメスティック・バイオレンスの被害者である。

問うべきなのは、新たな災害対応の形がコミュニティの全員を助けるのか、それとも既存の力の不均衡を再生産するのかということだ。

デジタル技術への不平等なアクセス

研究では、災害管理のためにオンラインツールで情報を共有する人々に見られる「テクノロジー楽観主義」が検証されている。これは、テクノロジーが問題を解決してくれるという考え方だ。

アクセスに格差があるなら、こうした技術も本質的に差別を生む。

オーストラリアでは、デジタル・ディバイドは近年、ほとんど変わっていない。2016~17年には、約130万世帯がインターネットに接続していなかった。

失業者、移民、高齢者など、もともと脆弱な立場にある集団では、デジタル包摂の度合いが低い。

世界のインターネット普及率を見ると、アフリカやアジアなど経済的に貧しい地域と、より豊かな西洋地域との間でアクセスに偏りがある。

インターネット上では、コミュニティの表象が偏っている。ソーシャルメディアやクラウドソーシング活動への参加度は、集団によって異なる。たとえば、一部の民族的マイノリティは、同じ国内でも他の集団よりインターネットへのアクセスが限られている。

OpenStreetMapなどのプラットフォームでクラウドソーシングによる地図作成を行う場合、研究ではジェンダーに関連した参加の偏りが見られる。男性は女性よりはるかに多く地図を作成しており、その傾向は地域レベルでも世界レベルでも見られる。

研究によると、コミュニティの地図作成活動では、年齢が高く、比較的裕福な男性に参加が偏っている。

脆弱な人々を守る

迫害を受けるマイノリティは、LGBTIQコミュニティや宗教的マイノリティなど、災害時により脆弱な立場に置かれることが多い。人々の身元を明らかにし、プライバシーを守れないデジタル技術は、その脆弱性を高めるおそれがある。

参加の不平等によって、参加できる人々は情報やリソースにより多くアクセスできるようになり、さらに力を得る可能性がある。その結果、恵まれた人々と周縁化された人々の間の格差は広がる。

たとえば、貧困地域に暮らす地元のクレオール語話者であるハイチ人は、2010年のハイチ地震への対応に際し、クラウドソーシングによる地図に使う情報をSMSで提供した。

しかし、その情報は西側の人道支援関係者向けに英語に翻訳され、地図に反映された。英語を話さない脆弱な立場のハイチ人は、自分たちの貢献から生まれた地図を直接利用し、その恩恵を受けることができず、さらに周縁化された。

地図作成への参加の傾向は、私たちの多様な社会の実際の構成を反映していない。しかし、権力がどこにあるかは反映している。通常、それは支配的な集団にある。

オンライン参加の不平等から生じる力の不均衡は、災害リスクの軽減にとって重要な課題だ。コミュニティ内の緊張、社会の分断、周縁化を助長し、脆弱性とリスクを深刻化させる可能性がある。

オンラインツールの恩恵により多くの人がアクセスでき、多様な人々や周縁化された人々がより適切に反映されれば、社会への理解を深め、災害の影響を軽減できる。

デジタル・ディバイドや参加の偏りを常に強く意識しなければならない。こうした技術に周縁化された集団をより包摂し、その価値を認め、声を高める方法を、継続的に考える必要がある。

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