観光はニュージーランド最大級の経済部門の一つであり、最大の輸出収入源でもある。2018年3月までの12か月間に、海外からの旅行者はニュージーランド・ドルで162億(約110億ドル)を南太平洋の島国にもたらした。

しかし、圧倒的多数のニュージーランド国民の95%が、国際観光は良いことだと考えている一方で、歯止めがかからなければ問題につながりかねないとの懸念もある。
ニュージーランド政府観光局が12月に発表した最新の「国民の意識」調査について、同局の最高経営責任者スティーブン・イングランド=ホール氏は次のように述べた。「調査結果から、ニュージーランドの人々は観光が国にとって良いものだと認める一方で、一部地域に及ぼす影響を懸念していることが分かります。地域によっては負担が生じており、観光が環境や地域社会、そこに暮らす人々を豊かにするための支援が必要なことは周知の事実です。その一方で、海外からの旅行者をさらに呼び込みたいと考えている地域もあります。
「政府と観光業界は、訪問者と地域社会に将来にわたって良質な観光体験を提供し続けるため、この課題に懸命に取り組んでいます。」
同国の首相ジャシンダ・アーダーン氏は先ごろ、世界経済フォーラム年次総会で、初めてとなる「ウェルビーイング予算」について語った。この予算では、ニュージーランドの経済状況に加え、環境や人々の心の健康も考慮される。
同氏はこう述べた。「気候変動が今もたらしている脅威以上に、私たちのウェルビーイングを脅かすものがあるでしょうか。GDPは国が繁栄していると示すかもしれません。しかし、環境を損ない、二酸化炭素の排出に加担しているのなら、繁栄しているとは言えません。」
「国民の意識」調査報告書
調査結果には、次のような項目が含まれていた。
ニュージーランド国民の58%は、観光が企業の成長機会を生み出すと考えている
58%は、観光が住民の雇用機会を生み出すと考えている
57%は、観光が地域の経済成長をもたらすと考えている
観光が同国最大の輸出収入源だと知っていたニュージーランド国民は、わずか10%だった
観光客による悪影響を防ぐため、ニュージーランドは「ティアキの約束」を開始した。訪問者に思いやりと敬意を持って行動するよう求め、次のように掲げている。
「ニュージーランドを旅するにあたり、土地、海、自然を大切にし、足跡をできるだけ残さず、何も置き去りにしません。誰に対しても思いやりと配慮を持ち、安全に旅をします。心を開き、敬意を持って文化に接します。」
マオリ語の「ティアキ」は、人と場所を大切にすることを意味する。この心構えは、ある旅行者一家にこそ役立ったかもしれない。
ある英国人観光客の一家は、一連の事件を受けて大きく報道された。それらの事件には、ニュージーランド・ヘラルド紙によると、オークランドのタカプナ・ビーチにごみを散乱させたこと、レストランで食事代の支払いを拒んだこと、脅迫的な振る舞いを見せたことが含まれていた。
一家は疑惑を否定したものの、その後、移民当局から国外退去通知を受けた。
規模も重要だが、マナーも大切
ニュージーランドのように小さな国では、人口はわずか490万人であり、毎年大勢の観光客が押し寄せれば負担が生じかねない。昨年は、380万人が訪れた。
ほかの人気観光地でも、訪問者の影響をめぐって地元住民の反発が起きている。バルセロナでは反観光客の落書きが相次ぎ、ベネチアでは観光税を導入する。観光シーズンのピークには日帰り旅行者に11ドル、比較的閑散とした時期には約3ドルの税金が課される。
現時点で、ニュージーランドが同様の措置を検討している兆候はない。昨年、訪問者数は3.6%増加し、地元経済にとってさらに重要な旅行者による総支出額も、前年比で6.3%増加した。
世界各地から訪れる観光客と前向きで持続可能な関係を築くことを目指す同国は、昨年、ジャシンダ・アーダーン首相自ら観光キャンペーンの広告に出演した。
