「植樹銀行」とは何か――インドのこの村がネットゼロを達成するうえで、どう役立っているのか?

A farmer looking across a field, while resting his arm on a garden tool
Farmers in a village in Kerala, India, are trialling a new 'tree banking' scheme to reach net zero.Image: Unsplash/Nandhu Kumar
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  • インドのケーララ州では、20年にわたる干ばつと洪水で収穫量が激減し、農家の経営が苦境に陥っている。

  • しかし、インド南部の同州にあるある村が、2025年までにカーボンニュートラルを達成するためのキャンペーンを始めた。この取り組みは地元農家にも恩恵をもたらしている。

  • 「植樹銀行」制度では、農家に35万本の木を植え、手入れをする対価が支払われる。

  • 他の地域もこれに続き、独自のネットゼロ計画を進めている。

P・K・マダヴァンは、インド南部ケーララ州ワヤナード県にある農場で、3年前に植えた100本のうちの1本である、若くて丈夫なマホガニーの木のそばに誇らしげに立っていた。

ミーナンガディ村にあるマダヴァンの2エーカー(0.8ヘクタール)の土地は、かつてコーヒー、黒コショウ、ビンロウなどの換金作物が豊かに実っていた。しかし、20年にわたる干ばつと季節外れの豪雨で収穫量は激減した。

今ではマホガニーの植林地が、彼の数少ない安定した収入源の一つとなっている。木を立ったままにしておくだけで、年間最大5,000ルピー(67ドル)を得られる。

84歳の農家である彼は、ミーナンガディがインド初のカーボンニュートラルな村を2025年までに実現するためのキャンペーンの中核事業、「植樹銀行」制度を通じて、木を植え、保護する対価を受け取っている。

マダヴァンはミーナンガディのパンチャーヤト(村議会)から苗木を無料で受け取った。2031年まで木を伐採しなければ、木1本につき毎年50ルピーを融資してもらえる。

その時点で融資は免除され、木材として売るために伐採することも含め、木をどうするかは自由になる。

「毎朝、木の手入れに時間をかけています。3本(自然に枯れた木)を除き、どの木も着実に育っていると言えて、本当にうれしいです」とマダヴァンはトムソン・ロイター財団に語った。

「いつか、私の土地は緑にあふれた小さな森になるでしょう。」

この10年、ケーララ州の農家は、気温上昇と不規則な雨に苦しむ経営難に直面してきた。一方、森林破壊によって土壌が劣化し、農地はさらに洪水や土砂崩れの被害を受けやすくなっている。

ワヤナード県の被害は特に深刻で、ケーララ州気候変動行動計画は、同県を州内4つの気候変動ホットスポットの一つに挙げている。

植樹の取り組みは世界各地で根を下ろしつつある。各国政府や企業は、地球温暖化を加速させる排出を削減し、汚染や土地の劣化に対処する方法を模索している。また、単に自らの炭素排出を相殺するクレジットを得ることを目的とする場合もある。

ミーナンガディのネットゼロ計画をきっかけに、他の地域も後に続くようになった。Image: Unsplash/Guru Moorthy Gokul

しかし、新たに植えた木の手入れに時間や資金をほとんど割けない地元の人々に頼る多くの事業は、失敗に終わっている。

ミーナンガディの「植樹銀行」事業は、農家に木を保護する継続的な動機を与えることで、そうした落とし穴を避けていると、村のカーボンニュートラル計画の実施を支援する地元環境団体タナルの事務局長、C・ジャヤクマールは語った。

「ここで伝えたいのは、気候変動が気候正義と結び付けられているということです」と彼は述べた。

「通常、木材用の苗木を植えても、農家が経済的な恩恵を得るまでには10年から20年かかります。この事業では、農家は最初から収入を得られます。」

木にお金が実る

ミーナンガディが2016年に炭素排出削減に取り組み始めた際、エネルギー監査で、人口33,450人の村が毎日15,000トンの余剰炭素を排出していることが示された。

今後4年以内にその数値をゼロにするため、大気中の二酸化炭素を吸収する木を少なくとも35万本植えることを目指していると、村議会議長のK・E・ヴィナヤンは語った。

参加する農家には、村議会の苗木場で育てた苗木か、ケーララ州森林局から寄贈された苗木が渡される。

材木用や果樹用の木から竹まで、ほとんどは在来種で、大量の炭素を吸収し、極端に変動する気象に耐える能力に加え、成長後に農家の収入源となることを考慮して選ばれていると、ヴィナヤンは述べた。

植樹から3年後、農家は木を担保に村議会から10年間の無利子融資を受けられる。木を伐採した場合に限り、返済が必要となる。

病気、大雨、干ばつで木が枯れても、農家はその木に対する支払いを引き続き受けられると、ヴィナヤンは付け加えた。

これまでに780人の農家が制度に登録し、村では17万2,000本の苗木を植えた。その中には空き地に植えたものや、ネットゼロの取り組みを支持しながら「植樹銀行」事業への参加を望まない農家に配布したものも含まれる。

融資の第1回分としてすでに35万ルピーを支給しており、ケーララ州からの1億ルピーの助成金を受けて、まもなく第2回分を支給する。

初回の調査はまだ進行中だが、知る限り木は1本も伐採されていないとヴィナヤンは述べた。

ただし、融資期間終了後は農家が木を自由に利用できることが不可欠だ。なぜなら「木の真の所有者であり、管理者でもあるのは農家だからだ」と彼は指摘した。

「農家の権利を永久に侵害するつもりはありません」と彼は述べた。

村議会は事業を定期的に見直し、融資期間の延長や、農家が植林地を維持する動機となる新たな制度の導入を検討する予定だと、彼は付け加えた。

村から広がる取り組み

ミーナンガディの事業に参加する農家の大半が木を立ったままにすることを決めたとしても、多くの環境活動家は、植樹運動だけでは地球温暖化を抑えるにはまったく不十分だと警告している。

環境活動家で、科学団体ケーララ・サストラ・サヒティヤ・パリシャドの委員でもあるG・バラゴパルは、「植樹銀行」制度を支持する一方、限界もあると述べた。

「気候変動は地球規模の現象です。特定の地域で大規模な植樹をしても、緩和することはできません」と彼は語った。

木が大気中から吸収する炭素が、自動車、家庭の暖房、電力源から排出される温室効果ガスで置き換えられれば、植樹の恩恵は相殺されると彼は述べた。

「今、必要なのは太陽光発電のような新しい(グリーン)技術です」と彼は付け加えた。

ミーナンガディの村議会議員らは、太陽光照明や電気自動車への切り替え、高効率ストーブの使用など、炭素排出を減らす他の方法も検討していると述べた。

村の気候変動対策への意欲は広がっている。ミーナンガディが位置する地区の行政区画、スルタン・バテリ・ブロックの統治評議会は、1月に独自のネットゼロ計画を開始した。

「ミーナンガディのカーボンニュートラルの取り組みには、本当に感銘を受けました」と、スルタン・バテリ・ブロック・パンチャーヤト議長のC・アサイナーは語った。

ミーナンガディのマダヴァンにとって、村の計画は、農業の先進地だったワヤナード県を危機に陥れた不規則な天候を、自分や仲間の農家が和らげる助けになれるという希望を与えている。

「続いているカーボンニュートラル・キャンペーンが、かつての栄光を取り戻す助けになることを願っています」と彼は述べた。

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