あなたのソーシャルネットワークが自然災害からあなたを救うかもしれない

A resident watches news about the earthquake as she takes shelter at a local stadium in Hualien, Taiwan February 7, 2018. Picture taken February 7, 2018. REUTERS/Tyrone Siu
Social networks influence decisions to leave or stay in place during disasters.Image: REUTERS/Tyrone Siu
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2017年11月初旬、カリフォルニア州ソノマに住むブルックス・フィッシャーの隣人が午前2時に彼のドアを激しくたたき、呼び鈴を鳴らして叫んだ。「火が迫っている、今すぐ逃げないと!木が爆発する音が聞こえる!」

空はオレンジ色で、煙のにおいが立ちこめていた。フィッシャーと妻は車に飛び乗り、道路の両側の家々が炎に包まれるなか、車で避難した。ブルックスが911に電話すると、オペレーターはロロ・ロードで火災の通報をすでに受けていると伝えたが、彼と妻は公的な救助隊員を見かけなかった。地域の避難を助けようとしていたのは、家々を一軒ずつ訪ねて回る近隣住民だけだった。

ブルックスと妻がようやく自宅に戻ると、そこに残っていたのは灰だけだった。それでも、二人は無事だった。

ブルックス一家は、心配した隣人の働きかけのおかげで生き延びた。洪水、火災、ハリケーン、土石流などの災害で起きる多くの死は、危険にさらされている地域から避難すれば防げる可能性がある。しかし、避難命令や差し迫った危険を知らせる警告を受けても、人々が必ず移動するとは限らない。

その理由を理解するため、私たちはFacebookと協力し、ハリケーンの前・最中・後に人々がソーシャルメディアで公開した情報をもとに、避難のパターンを調べた。その結果、ソーシャルネットワーク、とりわけ肉親以外とのつながりが、災害前に避難するか、その場にとどまるかの判断に影響することがわかった。

ソーシャルメディアから得られる知見

災害に弱い多くの地域社会は、住民に早期警報を届けるために多くの資源を投じている。たとえばカリフォルニア州モンテシトでは、2018年1月の土石流の際、自治体当局や災害対応担当者は、住民に警告しようとした。その手段には、メール、ソーシャルメディアの警報、報道発表、保安官代理による戸別訪問が含まれていた。こうした取り組みにもかかわらず、全住民が避難したわけではなく、20人近くが命を落とした。

従来、危機に備えるうえでは、物理的なインフラの役割が大きく重視されてきた。しかし、危機におけるソーシャル・キャピタルの重要性に関する知見を踏まえ、私たちのチームは、こうした事態における人々の行動をより明らかにしたいと考えた。

避難行動を理解するため、社会科学者は通常、災害から数週間、あるいは数年たってから生存者に、何をしたのか、なぜそうしたのかを思い出してもらう。別の研究者たちは、避難経路沿いの休憩所で待ち、迫り来るハリケーンや嵐から避難する人々に直接インタビューしてきた。私たちは、記憶に頼ったり、給油やコーヒー休憩で立ち寄った人を捕まえたりせずに、人々の行動の細かな違いをよりよく捉えたいと考えた。

そこで、Facebookの研究者たちと協力し、災害の前・最中・後における都市単位のデータを、高水準で集計・匿名化した概要を用いて、「避難しましたか」「避難した場合、災害後どれくらいで戻りましたか」という結果指標を作成した。Facebookは、工学、ビジネス、研究の各分野にまたがる数多くの学術連携を行っている。私たちの研究チームは、位置情報データを使い、複数の災害にわたってこれほど多くの人々の移動を調べた最初期のチームの一つだと考えている。

ユーザーのプライバシーを守るため、私たちはデータサイエンス、法律、プライバシー、セキュリティの専門家による厳格な社内審査に研究計画を提出した。研究対象者全体に見られた関連性のみを報告し、位置情報は市レベルより細かくないデータを使用した。また、モデルに組み込んだ特徴量は幅広いカテゴリーにまとめた。たとえば、個人の正確な年齢ではなく、「35~44歳の年齢層」とした。

地域の結びつきが強いと、その場にとどまりやすくなる可能性がある

危機の際に社会的なつながりが人々のレジリエンスを高めることを示す研究を踏まえ、ソーシャル・キャピタルが、人々がとどまるか避難するかを決める重要な要因かもしれないと考えた。ここでいうソーシャル・キャピタルとは、人々の他者とのつながりや、情報や支援など、社会的なコミュニティを通じて利用できる資源を指す。

こうした資源の一部は、ソーシャルメディアにも表れている。そこで私たちは、人々のソーシャルネットワークの特徴が避難行動に影響するかどうかを調べることにした。

ハリケーン「イルマ」が上陸する数日前の、マイアミ地域の住民の避難状況を可視化したもの。各点は、緯度・経度0.5度の範囲内にいるユーザーを集計したグループを表し、避難した人(青)と避難しなかった人(赤)を色分けしている。Image: The Conversation

私たちは、社会的なつながりを次の3種類に分けて調べた。

・結束型のつながり:親しい家族や友人と人々を結びつけるもの

・橋渡し型のつながり:共通の関心事、職場、礼拝所などを通じて人々を結びつけるもの

・連結型のつながり:権力を持つ立場の人々と人々を結びつけるもの。

私たちの研究は現在、査読付き学術誌への再投稿に向けて改訂中だが、他のさまざまな要因を考慮しても、橋渡し型と連結型のつながりが多い人、つまり、肉親や親しい友人以外とのつながりが多い人は、ハリケーンが来る数日前に、危険な地域から避難する可能性が高かったと主張できると考えている。

これにはいくつかの理由があると考えられる。第一に、橋渡し型のつながりが多い人は、広範なソーシャルネットワークを持ち、災害の直接的な影響を受ける地域の外から支援を得られる可能性がある。第二に、引っ越しや旅行をより多く経験するなかでそうしたネットワークを築いてきたため、災害時に自宅から遠く離れて避難することに抵抗が少ない可能性がある。

連結型のつながりも重要だ。私たちのデータでは、ソーシャルネットワーク上で政治家や政治関係者をフォローしているユーザーは、避難する可能性が高かった。警告情報を受け取る機会が多く、その情報を発信する権威ある人々を信頼しやすいためかもしれない。

一方、結束型のつながり、つまり家族や友人とのつながりが強い人は、ハリケーンが来る前に避難する可能性が低いことがわかった。これは重要な知見だと私たちは考える。身近な人々とのつながりが強い人は、支えられていると感じ、嵐を乗り切る備えがより整っていると考えるかもしれない。また、その場にとどまることで、既存の地域で再建する可能性が高まるなど、良い結果につながることもある。

しかし、親族や親しい友人、近隣住民が避難しないと決めたのを見て、差し迫った災害の深刻さを過小評価するようになる可能性もある。こうした誤った認識は、人々を直近の危険にさらし、命や財産への被害を拡大させかねない。結束型のつながりが強いためにとどまる人々が、他の人々より良い結果を得るのか悪い結果を招くのかは、今後の研究課題である。

気候変動と沿岸部の開発により、災害はより頻繁に起き、被害も拡大している。社会科学とソーシャルメディアは、災害対応の手段に欠かせない要素であり、地域社会や社会全体の災害・危機へのレジリエンスを高める要因について、重要な問いに取り組む機会をもたらす。

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