寿司など、さまざまな食品の食材として海藻の人気が高まっています。
しかし、「海の野菜」の消費量は、欧米諸国の大半で比較的少ないのが現状です。
海藻は食物繊維が豊富で、ビタミンやミネラルを多く含む、栄養価が高く気候にも優しい食材であるにもかかわらずです。
高価格、一般の小売店での取り扱いの少なさ、新しい食品への消費者の抵抗感が、普及を妨げている可能性があります。
食用の海藻や藻類、つまり「海の野菜」は、海に生息する水生植物の一群です。昆布、ダルス、ワカメ、海ぶどうはいずれも、海藻を使った料理に用いられる海藻の一種です。
海藻を食べる習慣は主にアジア諸国で一般的ですが、現在ではさまざまな食品や飲料の食材として海藻の人気が広く高まっています。特に、寿司では、ノリが野菜、魚、米を使った具材を包む食用のシートとして使われています。
私たちの研究によると、英国の人々は他の欧米諸国の消費者と同様、食材としての海藻にあまりなじみがありません。これは重要な点です。新しい食品を避けたいという「フード・ネオフォビア(新奇食品への忌避)」によって、消費者が新商品を試さなくなる可能性があるからです。
特に海藻は、海岸に打ち上げられた姿を思い浮かべると、第一印象があまり好ましくないかもしれません。たとえば、研究で尋ねたところ、多くの参加者が海藻を「臭い」「塩辛い」「ぬるぬるしている」と想像していました。
それでも、多くのヨーロッパ諸国には海藻を食べる歴史があります。たとえば、ラバーブレッドがあります。これはラバー(アマノリ類)から作る塩味のペーストで、ウェールズ料理の一部として、ほかの魚介類と一緒に食べられます。甘いものとしては、カラギーン・プディングがあります。カラギーン(別名アイリッシュモス)から作る、ゼリーのようなデザートです。
しかし、今日ではこうした伝統的な海藻の食べ方は、いくらか限られたものにとどまっています。寿司を除けば、欧米諸国の大半で海藻の消費量は比較的少ないのが現状です。
最近の研究では、海藻を食べることを想定したとき、消費者が海藻や、海藻を加えた食品の可能性をどのように評価するかを調べました。その結果、一般的な食材としての海藻よりも、海藻バーガーなどの海藻を使った食品のほうが魅力的だと受け止められていることが分かりました。
注目すべきことに、参加者は海藻製品を健康的で持続可能だとすでに考えていたため、こうした特性は海藻を受け入れるうえでそれほど重要ではありませんでした。海藻を使った食品を試し、購入したいという参加者の意向に最も大きく影響したのは、味と親しみやすさでした。
これは、海藻が用途の幅広い栄養価の高い食材であり、食生活に役立つ可能性があるため有益です。海藻には食物繊維が豊富なものが多く、ビタミンやミネラルも多く含まれます。たとえば、ヨウ素やビタミンB12は、ベジタリアンやヴィーガンの食事で不足することがあります。
海藻は風味を加える目的でさまざまな製品に使えるほか、スープにとろみをつけたり、アイスクリームの食感を安定させたりするのにも使えます。海藻にはうま味があるため、多くの料理人が料理の味わいに深みを加えるためにも海藻を好んで使います。
気候に優しい食材
何を食べるかということは、重要な環境関連の話題になっています。肉や乳製品を食べる量を減らそうとする人が増えるにつれて、植物由来製品(バーガーパティ、ナゲット、ソーセージなど)、植物性ミルク(大豆、アーモンド、米、オーツ麦のミルク)、その他の乳製品代替品(乳製品不使用のヨーグルトやチーズなど)の消費が増加しています。
現在の市場では、植物由来の「肉」は一般に大豆から作られています。ほかの植物性タンパク源には、エンドウ豆、キノコ、小麦などがあります。
注目すべきことに、海藻や藻類も、このリストに加える価値があるかもしれません。ただし、海藻のタンパク質含有量は種類によって異なり(特に生産工程を経る過程で変化します)、乾燥重量に占めるタンパク質の割合は、緑藻類で最大25%、紅藻類で47%に達します。
つまり、海藻をタンパク質代替食品の栄養価を補うために使える可能性があります。特に、海藻はナトリウムが少ないものが多くあります。植物由来の肉製品は、類似製品より塩分含有量が高い場合があるため、海藻を塩に代わる調味料として使えば、風味を高めながら製品の健康面を改善できる可能性があります。
海藻には、英国沿岸で持続可能な養殖を行う可能性もあります。他の植物由来の代替品と比べると、海藻は淡水や肥料を使わずに育ち、土地をめぐって競合しない点が際立っています。
将来、海藻製品が新たな消費者層に広がるには、パッケージに味を想起させる表現(「おいしい」「温かみのある」「濃厚な」など)を増やし、レシピのアイデア(海藻を副菜として提供するなど)を消費者に示すことが重要なマーケティング戦略になる可能性があると、私たちの研究は示しています。
考慮すべき障壁もほかにあります。たとえば、ほかの植物由来の代替食品と同様、海藻は価格が高くなることがあり、一般の小売店での取り扱いはオンラインに比べて限られています。また、海藻の栄養成分は生育する水域の影響を受けるため、食べ過ぎたり、規制されていない供給元の海藻を食べたりすると、食品の安全性に影響する可能性があります。
総じて、海藻が未来の優れた食材である理由は数多くあります。
