願望だけでは世界の問題は解決しない。しかし、工学なら解決できるかもしれない

A temporary waste-collection point in Okayama Prefecture, Japan.
A waste-collection point in Japan, where the concept of "mottainai" encourages good resource management.Image: REUTERS/Issei Kato
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世界はいま、かつてない変化の時代のただ中にあります。それは刺激的であると同時に、困難でもあります。

各国政府は、脱炭素経済の実現から、人口増加や都市化によって生じる問題への対処まで、多くの喫緊の課題に直面しています。

多くの企業にとって、第4次産業革命は、すべての人々の利益となる革新的な製品を開発する新たな機会をもたらしています。

私たちが直面する問題を解決する万能薬はないと認識することが重要です。持続的な変化を可能にするのは、むしろ複数の解決策が連携することです。実践的かつ現実的な解決策を見いだすには、科学に基づく工学、たゆまぬ努力、そして事実を重んじる姿勢にしっかりと焦点を当てる必要があります。

現実に根差したエネルギー戦略

例えば環境について考えてみましょう。これまでの議論では、低炭素エネルギーの未来に向けた主要な道筋として、再生可能エネルギーに焦点が当てられてきました。再生可能エネルギー源の開発を後押しする一方で、低炭素またはゼロ炭素の未来を実現するには、多角的なアプローチが必要だと認識しています。

例えば、風力や太陽光の発電設備は、発電量が過剰になったり不足したりすることがあります。太陽が照る時間や風が吹く時間を調整することはできないためです。したがって、再生可能エネルギー源への転換には、出力変動への対応やエネルギー安全保障の確保、経済性の均衡など、慎重な検討が必要です。

余剰エネルギーを貯蔵する手段として電池が大きく注目されてきましたが、貯蔵の課題を解決する方法はほかにもあります。Power-to-X技術を活用すれば、再生可能エネルギーで生み出された余剰電力を貯蔵し、必要なときに必要な場所で再び利用できます。例えば、Power-to-Mobilityシステムは、この余剰エネルギーを電気自動車の充電に利用でき、さらに余った分を貯蔵して電力網に戻すこともできます。

再生可能エネルギーが世界の発電能力において重要性を増している一方で、世界の一次エネルギー需要の74%は、2050年になってもなお石炭、石油、ガスで賄われると予測されています。

つまり、化石燃料をよりクリーンで効率的に利用する新たな方法を見つける必要があります。

二酸化炭素回収・貯留技術は、その優れた一例です。工場などの排出源でCO2を分離し、有害な排出物が地球の大気に放出されるのを防ぎます。回収したCO2は貯留することも、石油採掘やドライアイスなどの化学物質の製造といった産業用途に利用することもできます。

しかし、イノベーションの波はそこで終わりません。現状を受け入れるだけでは不十分です。将来のエネルギーの姿を変える力となる、信頼できる再生可能エネルギーの解決策を絶えず探し、実現していく必要もあります。

この文脈における水素の利用は、科学がエネルギー産業のイノベーションを推進していることを示す力強い例です。

燃料源に水素を混合すれば、発電能力を損なうことなく排出量を大幅に削減できます。今年、水素を30%混合した燃料を使用する新たな大規模ガスタービンの試験が成功し、CO2排出量を10%削減しました。また、実証試験として、既存のガス火力発電所を水素対応に転換する取り組みが現在、オランダで進められています。

変革に向けた複数の道筋

世界の将来のエネルギー需要を満たすには、これらすべての技術を並行して開発する必要があります。

同じことは運輸部門、特に電動モビリティにも当てはまります。

現在、電気自動車の普及が世界のメディアの見出しを席巻し、大気汚染への単独の解決策であるかのように見えます。個々の自動車をよりクリーンにすることは確かに前向きなイノベーションですが、それだけが解決策ではありません。

空飛ぶタクシー、バス、高度交通システム、リージョナルジェット機の一層の活用、自動運転の交通システムは、いずれも渋滞の緩和に役割を果たします。

未来の巨大都市で利便性と持続可能性を実現するのは、さまざまな技術が連携して奏でる複雑なシンフォニーです。

廃棄物問題に日本の考え方を生かす

世界各国の政府が直面するもう一つの地球規模の課題は、家庭ごみや産業廃棄物の増加に伴うコストと環境負荷です。

日本の概念である「もったいない」を取り入れることは、この問題に対処するうえで理想的な考え方です。もったいないとは、資源を尊重し、感謝の気持ちをもって使い、無駄にしないことです。専門家は、現在の増加率が続けば、2100年までに人類が毎日1,100万トンの固形廃棄物を生み出す可能性があると予測しています。

ここでも、科学が実践的な答えを示すことができます。廃棄物発電技術を使えば、固形廃棄物、都市の焼却施設や工場から排出される半固形廃棄物、家庭下水のような液体廃棄物、そして製油所で生じるガス状廃棄物からエネルギーを生み出せます。

産業工程では、熱もまたしばしば無駄になっています。ここには、排出量を削減しながら効率を高める大きな機会があります。

これらは、科学と工学が世界の喫緊の課題のいくつかに、誠実かつ実践的な方法で取り組んでいる例のほんの一部です。

明らかなことが一つあります。あらゆる答えを備えた単一の解決策はありません。世界が必要とする実践的な解決策を実現するには、数多くのイノベーションが互いに連携して機能する必要があります。

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