未来の衣服はテクノロジーと融合する

Sewing cotton in different colours are seen in the shoemaker Koppitz workshop in Grafing, Germany January 24, 2018. REUTERS/Michaela Rehle
Technologies are now being woven into fabrics as 'e-threads'.Image: REUTERS/Michaela Rehle
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考古学的な証拠によると、人類が衣服を着るようになったのは約17万年前で、最後から2番目の氷河期が終わる頃に近い。今でも、現代人の大半が着ている衣服は、最初期の衣服とほとんど変わらない。しかし、柔軟な電子部品が「スマートファブリック」と呼ばれる素材に織り込まれるようになり、まもなく変化が訪れようとしている。

すでに購入できる製品も多い。たとえば、心地よい振動でヨガをしやすくするレギンス、選手のパフォーマンスを追跡するTシャツ、心拍数をモニタリングするスポーツブラなどだ。スマートファブリックは、医療(患者の心拍数や血圧の測定)、防衛(兵士の健康状態や活動レベルのモニタリング)、自動車(乗員の快適性を高めるためのシート温度の調整)、さらにはスマートシティ(標識が通行人とやり取りすること)など、幅広い用途が期待されている。

理想的には、こうした衣服の電子部品、すなわちセンサー、データ送信用アンテナ、電力供給用バッテリーは、小型で柔軟性があり、着用者がほとんど意識しないものになるだろう。センサーはすでにその条件を満たしており、洗濯機で洗えるものも多い。しかし、アンテナやバッテリーの多くは硬く、防水性もないため、洗濯前に衣服から取り外す必要がある。

私がオハイオ州立大学の電波科学研究所で進めている研究は、同じように柔軟で洗濯可能なアンテナと電源の実現を目指している。具体的には、導電性の糸を使って、電子部品を「eスレッド」と呼ぶ糸で布地に直接刺繍している。

アンテナの刺繍

私たちが使っているeスレッドは、強度を持たせるために、撚り合わせたポリマー繊維の束でできており、それぞれに電気を通す金属系のコーティングが施されている。各繊維のポリマー芯材には通常、ケブラーまたはザイロンが使われ、周囲のコーティングには銀が使われる。こうした繊維を数十本、あるいは数百本撚り合わせて1本のeスレッドを作る。その直径は通常、0.5ミリ未満だ。

これらのeスレッドは、一般的な業務用刺繍機器で簡単に使える。スポーツジャケットやスウェットシャツに名前を入れるため、日常的に使われている、コンピューター接続型の刺繍機と同じものだ。刺繍したアンテナは軽量で、硬い銅製アンテナと同等の性能を持ち、最先端のプリント基板に匹敵するほど精巧に作ることができる。

eスレッドアンテナは、通常の糸と組み合わせて、より複雑なデザインにすることもできる。たとえば、企業ロゴにアンテナを組み込むなどだ。オーガンジーのような薄い布地からケブラーのような厚い布地まで、アンテナを刺繍できている。刺繍後のワイヤーは、従来のはんだ付けや、部品同士を接続する柔軟なコネクターを使って、センサーやバッテリーに接続できる。

これまでに、脳の深部信号を読み取るスマート帽子を、パーキンソン病やてんかんの患者向けに作製した。また、アンテナを刺繍したTシャツも作った。このアンテナは、着用者の携帯電話まで届くWi-Fi信号の範囲を広げる。さらに、乳幼児のさまざまな疾患を早期に検出するため、身長をモニタリングするマットやシーツも作製した。また、布地を載せた面がどれだけ曲がったり持ち上がったりしたかを測る、折りたたみ式アンテナも開発した。

アンテナの先へ

私の研究室は、化学者のアン・コーや医師のチャンダン・センをはじめとするオハイオ州立大学の研究者とともに、柔軟な布地ベースの小型発電装置の開発にも取り組んでいる。

インクジェット印刷によく似た方法で、布地に銀と亜鉛のドットを交互に配置する。これらの金属が汗、生理食塩水、あるいは傷口から出る浸出液に触れると、銀が正極、亜鉛が負極として働き、その間に電流が流れる。

布地を湿らせるだけで、追加の回路や部品を使わずに少量の電力を生み出すことができた。完全に柔軟で洗濯可能なこの電源は、ほかのウェアラブル電子機器に接続でき、従来型バッテリーを不要にする。

これらの柔軟なウェアラブル電子機器は、組み合わせても個別に使っても、衣服をネットワークにつながり、感知し、通信するデバイスへと変え、相互接続された21世紀の社会に自然に溶け込んでいくだろう。

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