Vocktailと呼ばれる対話型飲用デバイスを使えば、研究者によると香りも味も見た目も本物そっくりの「バーチャルカクテル」をユーザーがカスタマイズできる。
Vocktailは味、香り、色をデジタルで個別に再現し、飲料や材料を実際に混ぜることなく、新たなバーチャルフレーバーを作ったり、既存のフレーバーを強めたりして、理想的な味わいを実現する。
Vocktailは、電子制御モジュールと3つの香料カートリッジにつながった3つのマイクロエアポンプを収めた3Dプリント製の台座に、カクテルグラスを一体化した構造だ。このデバイスはモバイルアプリと連携しており、Bluetooth経由で味、香り、色の刺激を遠隔設定することで、ユーザーは好みのバーチャルフレーバーを作れる。
グラスの縁にある2つの銀電極が、強さや周波数の異なる電流を制御して舌先に流し、飲んでいる間に塩味や酸味の感覚を再現する。これによって飲料の味が変わる。
香りを変えるには、エアポンプが選択した香料カートリッジから分子を放出し、飲むときにユーザーの鼻に近づく飲料の表面に直接届ける。ユーザーは望む香りに応じてカートリッジを追加したり交換したりできる。プリンターのインクカートリッジを交換するように、簡単に補充もできる。
最後に、視覚刺激は味わう前の印象を形づくるため、ユーザーはモバイルアプリで好みの色を選べる。アプリは飲料にLEDの光を照射する。
研究者によると、この3つの刺激を組み合わせることで、豊かなバーチャルフレーバー体験が得られる。
「バーに入ってモヒートを注文し、モバイルアプリを使って、たとえばチョコレートの香りと、バナナやマンゴーの風味を少し加えるなど、自分の好みに合わせてカスタマイズできます。あるいは、水を好みのフレーバー飲料のような味にして、お金を節約することもできます」と語るのは、慶應義塾大学・NUSのConnective Ubiquitous Technology for Embodiments(CUTE)センターでチームを率いた研究員、ニメシャ・ラナシンゲ氏だ。
モバイルアプリではユーザーがすべてを自由に調整できるため、個々の創作をプリセットとして保存すれば、正確に再現したり、ソーシャルネットワークを通じて友人と共有したりできる。
Vocktailは、高血圧や心臓病などの健康上の理由で食事制限をしている高齢者にも役立つ可能性がある。
「この技術を使えば、健康への悪影響を伴わずに、仮想的な形で塩味を加えられます。同様に、糖尿病患者は味わう喜びを損なうことなく、糖分の摂取量を大幅に減らせます。また、味覚が低下した化学療法中の患者の生活の質を高めることもできるでしょう。応用できる分野は数多くあります」とラナシンゲ氏は付け加える。
チームは現在、より現実に近い体験を作るため、飲料の炭酸の強さや質感など、ほかの要素のカスタマイズにも取り組んでおり、企業と量産について協議している。
