市民科学はデータ危機の解決に役立つ

A cyclist checks her phone as police stand guard on the Plains of Abraham during a march at the G7 Summit in Quebec City, Quebec, Canada, June 8, 2018. REUTERS/Mathieu Belanger - HP1EE681K0J50
Citizen science has its roots in environmental and ecological activism.Image: REUTERS/Mathieu Belanger
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最近のニュース記事が、グローブ・アンド・メール紙でカナダのデータ危機を取り上げ、少なくとも28の重大な不足分を特定しました。こうした不足は、医療や教育から環境、司法、先住民問題まで複数の分野にまたがっており、研究者や政策立案者を暗闇に置き去りにしています。この記事は、この問題に取り組めない原因として政府の無気力を挙げました。

3つの行政レベルすべての政府が、既存のデータ不足を予見し、デジタル時代に備えることができなかったのは、驚くことではありません。カナダ統計局のような政府機関や政府資金で運営される組織は、新たに生じるデータ需要への適応の速さや柔軟性で知られているわけではありません。

政府から権限を与えられた機関だけに責任のすべてを負わせるのは賢明ではないかもしれません。動きの遅い官僚機構は、本質的にこうした機関を不利な立場に置くからです。データを収集し、活用し、一般の人々に示す方法の枠組みを再考する時期なのかもしれません。私は人口保健政策の研究者として、市民や地域社会を巻き込み、保健政策に情報を提供するためのデジタルツールの活用を専門としています。

誤情報への対処

私たちは誤情報の時代に生きており、「もう一つの事実」が科学的厳密性や確立された事実に異議を唱えています。

科学的に確かな証拠を生み出す究極の目的が、一般の人々や政策立案者に十分な情報に基づく意思決定を促すことだとすれば、私たちはそれを達成できていません。この信頼の失墜は、科学的証拠への信頼に関するものであり、その根底には世界的な政治システムの動揺があります。

Image: eMarketer

データの不足と事実に対する公衆の信頼の欠如が交わるところに、研究者が市民と協力し、人々が主導し、人々のために役立つデータを集める機会があります。

これが市民科学です。その起源は環境保護や生態系保全の運動にあります。市民科学は、政府や産業界の資金による研究の厳格な枠組みの外で、人々がデータを収集し提供するための基盤となります。スマートフォンなどインターネットに接続する機器がコミュニケーションのあり方を変えている21世紀に、この科学的アプローチは新たな意味を帯びています。

60億台のデバイス

2020年末までに、スマートフォンは60億台が流通すると推定されています。こうした機器のない日常生活を想像するのは難しいでしょう。私たちが使うインターネット接続機器のなかで、スマートフォンは最も多用途で広く普及したツールです。そこで問われるのは、重大なデータ不足への対処に役立つ、市民が主導する効果的なデータ収集ツールへとスマートフォンをどう変えられるか、ということです。

その答えは、市民科学と地域主導型参加型研究を統合することにあります。この研究手法では、研究プロセス全体を通じて地域社会を公平に包摂します。市民科学を、政策に情報を与え影響を及ぼし得る地域社会の声へとつなげるには、地域主導型参加型研究の原則を適用することが不可欠です。市民は研究者とともに、研究を共同で設計し、知識を共創し、研究プロセスのあらゆる側面に貢献します。

地域主導型参加型研究は、能力構築と知識の活用・普及を組み合わせることで、健康格差に対処できます。市民科学は、地域主導型参加型研究の枠組みを活用し、地域に根ざした問題解決の取り組みを世界規模へと広げることができます。

市民科学のためのツール

しかし、市民科学と地域主導型参加型研究を真に統合するには、ほぼ誰もが持ち、私たち全員をつなぐ一つのツール、スマートフォンの力を認識しなければなりません。さらに、市民がデータ収集を主導すれば、意思決定者はおそらくより注目するでしょう。市民科学者は本質的に有権者だからです。

ソーシャルメディアの時代に生きる市民として、私たち全員がデータへの向き合い方を見直す必要があると認識すべき時です。市場の動向を踏まえれば、スマートフォンがあまねく普及していることを活用し、具体的な用途に役立てることが求められるでしょう。

プラットフォームと可能性

市民科学の新たなプラットフォームとして、SMARTなどが登場しています。これらは、13歳以上の市民がスマートフォンを通じて参加し、集団健康の監視、知識の統合的な活用・普及、政策介入に役立つデータの不足を解消する方法を模索しています。SMARTプラットフォームでは、横断研究や縦断研究から準実験研究、地域試験まで、さまざまな研究デザインの調査が実施され、リアルタイムで市民と関わりながらスマートフォンを活用して市民科学を革新する方法が検討されています。変化するデータ需要に迅速に対応できるため、SMARTプラットフォームは、たとえば大麻の合法化前・最中・後の使用といった問題について、市民科学者の見解を捉えることができました。

それでも、データ不足への対処に市民科学と地域主導型参加型研究を統合する取り組みは、まだ始まったばかりです。既存の研究体制では革新が十分に評価されないため、研究者はこの取り組みを進める力を得られていません。この統合を実現するには、ビッグデータを感知し、共有し、結びつける私たちの能力を一変させた、市民が所有する通信機器を活用する必要があります。テクノロジー企業の倫理面での実績の乏しさを考えると、これは懸念を招きます。したがって、重要な信頼を得るだけでなく、データのプライバシーと機密性について前向きな議論を始めるためにも、市民をデータ収集に参加させ、人々に力を取り戻すことが不可欠です。

データのプライバシーと機密性は、この科学を推進するうえで明らかな障壁です。しかし、2016年のカナダ国勢調査の長形式調査の回答率が示すように、回答者の68.3%がインターネットで調査を完了しました。このことから、市民はテクノロジーを使ってカナダのデータ不足への対処に参加する意思があると考えられます。

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