コネクテッドカーからスマート製造まで、5Gがもたらす新たな魅力的なサービスについては、私たちも皆耳にしてきました。一部の高度な産業向けサービスが本格的に登場するまでには5年から10年かかりますが、5Gは短期的にも多くの価値をもたらします。
しかし、このことはあまり知られていません。GSMAが最近実施した調査によると、消費者の多くは5Gを単なる4Gの高速版だと考えています。実際、5Gがもたらす本当の価値を理解している人はわずか25%です。きっと良い意味で驚かれることでしょう。
より良い体験、より低いコスト
第一に、5Gはモバイルユーザーの体験を大幅に向上させます。たとえば、クラウドベースの仮想現実(もはや重たいヘッドセットは不要に)、クラウドPC(スマートフォンにノートパソコンと同等の処理能力をもたらします)、超高精細動画などの新しいサービスを、どこにいても利用できるようになります。
2018年11月、英国最大の通信事業者であるBT/EEは、ウェンブリー・カップ決勝戦をライブ放送しました。商用5Gネットワーク上で高精細映像を配信したのです。5Gは非常に高速で信号伝送の遅延がほとんどないため、BTは試合をより面白く見せる複雑な演出を実現できたうえ、重い機材を試合会場に運び込む必要もなく、すべての制作作業を遠隔で行うことができました。
テレビ画面の枠を超えて、5G対応の仮想現実(VR)アプリケーションにより、スポーツファンはお気に入りの選手の視点や、ボール自体の視点から試合を観戦することも可能になります。これによりスポーツの楽しみ方は大きく変わるとともに、通信事業者やバリューチェーン上のその他の企業にとって新たな収益源が生まれます。
第二に、5Gは電波利用効率を10倍に高め、ネットワーク容量を20〜30倍に拡大することで、事業者がより低価格で優れたサービスを消費者に提供できるようにします。5Gはすでに消費者、通信事業者、垂直産業に経済的価値をもたらしていることは疑いありません。GSMAによれば、2025年までに約110の市場で5Gが導入される見込みです。ファーウェイだけでも、今後1年間に20カ国以上で商用5Gネットワークを展開する予定です。
車輪付きの病院
5Gはまた、社会をより包摂的で持続可能なものにもします。たとえば、新興市場にも先進市場にも、農村部で医療を提供するという長年の課題があります。一次医療へのアクセス、距離と交通手段、健康リテラシー、医師や看護師の不足――これらはいずれも、5Gが解決に貢献できる課題です。
中国移動は5Gを活用し、救急車を移動式病院へと変えることを支援してきました。中国の浙江大学医学院の医師は、VRグラスを通じて超音波機器を遠隔操作し、ロボットアームを使って救急車内やその他の場所にいる患者を診察することができます。信号伝送の遅延は患者にとって致命的になりかねないため、ここでは5Gが極めて重要です。また、このような繊細な処置を遠隔で行うには、安定性の高い5Gネットワークしか対応できません。
2019年1月、中国南東部の福建省の医師が、5Gネットワーク伝送を用いて世界初の遠隔手術を実施しました。この手術(豚に対して実施)の成功は、5Gによる遠隔手術の到来を告げるものであり、将来の多様な革新的な臨床応用への基盤を築くものです。
いつの日か、5Gネットワークは遠隔地の患者と世界中の医師をつなぐようになるでしょう。ゴビ砂漠や北極圏の人々も、ロンドンやドバイで受けられるのと同等の医療を利用できるようになります。
中国の通信事業者は、貧しい地域の学生と世界有数の教師をつなぐ5Gパイロットプロジェクトも開始しています。4Gネットワークでは高精細動画やVRを安定して配信することはできませんが、高性能な5G接続により、中国の発展が遅れた地域の子どもたちのほぼ60%が恩恵を受け、2億2,000万人の学生が良質な教育を受ける機会を得られる可能性があります。
善のためのテクノロジー
私は、技術革新は人々の生活をより良くしてこそ意味を持つと考えています。それこそが社会的価値であり、結局のところ、それが私たちの業界を重要なものにしているのです。もちろん、優れた技術を生み出すことは私たちの責任ですが、その技術は社会的価値を生み出さなければなりません。
2019年は5Gが大きく飛躍する年になるでしょう。私は技術業界のすべての同僚に対し、協力して技術の恩恵をより迅速に届け、より広く利用可能にし、その経済的・社会的影響を深めていくことを呼びかけます。
