次世代医薬品を患者に届けるには、より進化した医療システムが必要な理由

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  • 世界各地で、科学、データ、テクノロジーの進歩が医療の可能性を塗り替えています。

  • しかし、医療システムへの強固な投資がなければ、科学の進歩がもたらす恩恵は、世界の多くの人々に届かないままでしょう。

  • 勇気と協力があれば、科学のあらゆるブレークスルーが誰かの人生のブレークスルーにつながる、より健康で公平な未来を築くことができます。

医薬品イノベーションは、最も期待に満ちた新たな局面を迎えています。世界各地で、科学、データ、テクノロジーの進歩が医療の可能性を塗り替えています。「万人に同じ治療」を提供する世界から、患者一人ひとりに合わせた医薬品を提供する世界へと移りつつあります。データやデジタルツールによって、病気をより早期に予測・検知し、新たな、より的を絞った方法でケアを提供できるようになっています。

この変化は患者に大きな希望をもたらし、慢性疾患の経過を変え、生活の質を高め、さらには病気そのものを予防できる可能性を秘めています。しかし、こうした目覚ましいブレークスルーがあるにもかかわらず、新たな治療法が届くまで長く待たされる患者があまりにも多く、そもそも治療を受けられるかどうかも定かではありません。

イノベーションだけでは十分ではありません。医療システムへの強固な投資がなければ、科学の進歩がもたらす恩恵は、世界の多くの人々に届かないままでしょう。

科学とシステムの間で広がる隔たり

東南アジアとインドでは、科学の進歩のペースが、医療システムがそれを受け入れる能力を大きく上回っています。病気の分子レベルの根本に働きかける次世代医薬品の開発が進む一方、多くの規制枠組み、償還への道筋、資金調達モデルは遅れをとり、目の前で起きている医療イノベーションの波に対応できていません。こうした仕組みは、より単純な医薬品と、より予測しやすいエビデンス要件を前提に構築されました。現在、治療法はますます複雑になり、遺伝子データ、バイオマーカー、デジタルヘルスツールに依存することも少なくありません。こうした進歩を受け、価値を評価する新たな方法と、規制当局、支払者、医療提供者、製薬業界の新たな協力モデルが求められています。

革新的な治療法は前例のないペースで登場しています。これまで目覚ましい進歩を遂げてきましたが、医療システムも今、そのペースに追いつけるよう進化しなければなりません。医療システムのイノベーションには多額の投資が必要ですが、こうした投資は不可欠です。 投資によってすでに達成した目覚ましい進歩が、その証拠です。

世界経済フォーラムは、医療システムの改善に向けて何をしているのでしょうか?

健康・医療センターは、アクセス、公平性、レジリエンス、備えなど、世界各地の医療システムが直面する課題への理解を深めるため、リーダーたちをつなぎます。

信頼に基づく対話と官民連携を通じて、センターはパートナーが共通の優先課題について足並みをそろえ、健康アウトカムの改善に向けた集団的な行動を前進させられるよう支援します。

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システム全体の変革が必要

画期的な治療法へのアクセスを加速するには、医療のバリューチェーン全体を見直す必要があり、規制改革はその重要な要素です。安全性と品質の基準を維持しながら、革新的な治療法を効率的に評価できる、より迅速で柔軟な規制システムが求められています。多くの国ですでに、承認期間を短縮するため、共同審査、他国の審査結果を活用する制度、リアルワールドエビデンスの導入が試みられていますが、こうした取り組みには、より強い地域連携と投資が必要です。

重要な提言の一つは、複数の国や地域で規制承認を得る際に「単一申請書類」方式を導入することです。この調和された方式により、製薬企業は同一の申請書類一式を複数の規制当局に同時に提出でき、重複作業と事務負担を大幅に減らせます。共通の科学的評価を活用しつつ、各地域の事情を尊重することで、単一申請書類制度は承認までの期間を数か月、場合によっては数年短縮し、安全基準を損なうことなく、人生を変える治療法をより早く患者に届けることができます。この調和に向けた地域的な取り組みは、患者のアクセスを大きく前進させるでしょう。

患者のニーズに応えるため、市場アクセス、価格設定、償還のモデルも進化しなければなりません。多くの医療システムでは、コストと便益を狭い範囲で測る枠組みが用いられています。しかし、イノベーションの真の価値は、目先の臨床アウトカムをはるかに超えることが少なくありません。入院を防ぐ治療法、患者の職場復帰を可能にする治療法、あるいは家族の身体的・精神的負担を軽減する治療法は、長期的な経済的・社会的価値をもたらします。その価値は認識され、報われるべきです。

患者報告アウトカム、間接的な経済的便益、長期的な医療利用への影響を価値評価の枠組みに取り入れることで、より包括的な投資判断が可能になります。こうした包括的な枠組みは、成果連動型契約やリスク分担の仕組みなど、医療エコシステム全体のインセンティブを整合させながら、画期的な医薬品への持続可能なアクセスを確保する革新的な資金調達モデルを可能にします。

プロセスのあらゆる段階に患者を参加させる

おそらく、必要な変化のうち最も重要なのは、構造面ではなく文化面の変化です。あまりにも長い間、医療システムは個人ではなく、機関を中心に築かれてきました。真の進歩には、プロセスのあらゆる段階に患者を参加させることが欠かせません。患者は、どのデータセットからも得られない洞察をもたらすからです。患者の声と実体験は、何が最も重要なアウトカムなのか、どこに障壁があるのか、ケアをより公平にするにはどうすればよいのかを理解する助けになります。患者の声を力づけることは、より良い政策につながり、最終的には、より持続可能で意義のある健康アウトカムをもたらします。

デジタル変革は、ここで大きな力を発揮します。適切な投資があれば、AIと高度な分析技術によって医療エコシステム全体のデータをつなぎ、臨床試験、リアルワールドエビデンス、患者報告アウトカムを結びつけることができます。例えば希少疾患では、デジタルイノベーションによって診断までの時間を大幅に短縮できます。包括的な疾患登録データベースは、機械学習アルゴリズムと組み合わせることで、臨床医が複雑な疾患パターンを特定し、より正確な診断を行う助けになります。デジタルモニタリングツールは、病気の進行を継続的に追跡することも可能にします。その結果、希少疾患の患者がしばしば経験する診断までの長い道のりが短縮され、ケアの経路全体が改善されます。

大手製薬企業は、AIを活用した創薬プラットフォームを導入し、有望な治療標的の特定を加速させると同時に、臨床開発と現実の患者ケアとの隔たりを埋めるデジタルヘルス分野のパートナーシップを築いています。

次世代の医療に向けた準備を整える

東南アジアとインドは重要な転換点を迎えています。この地域には、世界でも特に急速に成長する経済と、多様性に富んだ人々が暮らしています。同時に、非感染性疾患の増加、高齢化の進行、医療需要の拡大にも直面しています。デジタルヘルスの導入や、政府、学術界、産業界の連携促進において見られる機敏さとイノベーションを認識することは重要です。しかし、革新的な医薬品を最も必要とする人々に届けるため、政策、規制、財政、テクノロジー、地域社会の参画を足並みをそろえて進めるには、まだ長い道のりがあります。

規制当局の能力構築に投資し、地域のデータ基盤を拡充するとともに、イノベーションを実際の成果につなげるマルチステークホルダー・パートナーシップを促進しなければなりません。また、アクセスと負担可能性は密接に結びついていることも認識する必要があります。真にスマートな医療システムは、所得や居住地域にかかわらず、すべての患者に価値をもたらします。

共有すべき責任

医療の未来は、一つの主体だけで築くことはできません。イノベーションを促すエコシステムを形づくり、誰一人取り残さないために、産業界、政府、医療従事者、患者が協力しなければなりません。

共同臨床試験、デジタルヘルス・パートナーシップ、患者の能力構築に向けた取り組みなどを通じて、サノフィは東南アジアとインドの医療システムが次世代のケアに備えられるよう支援することに尽力しています。

勇気と協力が必要です。それが実現すれば、科学のあらゆるブレークスルーが誰かの人生のブレークスルーにつながる、より健康で公平な未来という大きな成果が得られます。

科学の準備は整っています。今問われているのは、私たちのシステムも準備できているのか、そして投資をしないで済ませられるのか、ということです。

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