世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症の流行について市民に最新情報を伝えるため、メディア向けブリーフィングを開催した。4月10日(金)にライブ配信された。
一部の国では、医療従事者の10人に1人が新型コロナウイルスに感染している。
研修や支援などの対策により、感染率の上昇から医療従事者とより広い市民社会を守ることができる。
新型コロナウイルスの感染は拡大を続け、それに伴い医療従事者も病に倒れている。一部の国では、医療従事者の最大10%が新型コロナウイルスに感染していると、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は述べた。
こうした感染は地域全体の感染率を高め、欠かせない医療従事者を現場から離脱させるおそれがある。「これは憂慮すべき傾向です」と事務局長は述べた。事務局長は他の機関幹部とともに、医療従事者を守る方法について、本日のWHOブリーフィングで指針を共有した。
WHO当局者の説明によると、医療従事者は二つの面でリスクにさらされている。個人用防護具が不足しているため、病院内で感染する人がいる。一方で、病院の外、自宅や地域社会で感染する人もいる。
「医療従事者は残念ながら、常に流行への対応における炭鉱のカナリアの役割を果たしてきました。特に、強固なサーベイランス体制がない地域ではそうです」と、WHO健康危機プログラムの最高責任者、マイケル・J・ライアン氏は述べた。
各国から得られた証拠は、この傾向の背景を明らかにしつつある。その一因として、次の点が挙げられる。
新型コロナウイルス感染症の症状の認識が遅れること、呼吸器病原体への対応経験が不足していること。
休息時間が不十分な長時間勤務のなかで、多数の患者に接すること。
個人用防護具の不足。
病院内での感染拡大を防ぐ対策の不足。
こうした問題への対処に向け、WHO当局者は以下を推奨した。
1. 医療従事者に呼吸器疾患の識別方法を研修する
WHOのテクニカルリードであるマリア・ヴァン・ケルコフ博士によると、医療従事者の感染例のなかには、長期療養病棟や高齢者向け病棟など、通常は感染症を扱わない病棟で発生したものもある。
そのため、すべての医療従事者に、新型コロナウイルスやその感染経路、自分自身を守る方法について教育しなければならないと、ヴァン・ケルコフ氏は述べた。また、WHOは公開プラットフォーム「OpenWHO」で、医療従事者がウイルスについて学び、個人用防護具を安全に着脱する方法を習得できるよう、さまざまな双方向型研修を提供していると説明した。
「医療従事者が危険にさらされるとき、私たち全員が危険にさらされます。」
テドロス・アダノム・ゲブレイェスス博士、世界保健機関事務局長
2. 個人用防護具へのアクセス拡大
アクセスの確保が鍵となる。世界的な個人用防護具の不足により、医療従事者を感染から守る取り組みが難しくなっている。
国連のタスクフォースが、個人用防護具の調達と配布を調整し、その規模を拡大する。タスクフォースは毎月、医療用マスクと手袋を推定5億個、さらに臨床ケアに用いる人工呼吸器や酸素濃縮器などの機器を届ける必要がある。
さらにWHOは、病院の管理者や計画担当者が、患者に必要となる機器を算出するのに役立つツール集を公開した。
「最前線で働く医療従事者には大きな恩義があります」とライアン氏は述べた。「彼らが求めたのは、仕事をするための研修と防護具だけでした。」
3. 医療従事者への支援
多くの医療従事者が休憩なしで長時間勤務を続けている。疲労し、ストレスを抱えた医療従事者は、本人に落ち度がなくても、個人用防護具を使う際の注意が行き届かなくなる可能性があると、ヴァン・ケルコフ氏は述べた。
「長時間の連続勤務を避け、十分な休息を取れるよう、休憩時間を確保する方法を見つける必要があります。疲労が蓄積するのは、まさにそのときだからです。」
新型コロナウイルス感染症の流行に対し、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのか?
4. 病院における強固なサーベイランス体制
病院内での感染拡大を防ぐため、将来に向けたサーベイランス体制も整備しなければならない。ライアン氏によると、エボラ出血熱の流行時には、ある時点で症例のほぼ70%が医療体制内で実際に感染していた。
「医療環境は、人々を救い、治療できる場所です」とライアン氏は説明した。「しかし、ウイルスが存在する場所でもあります。患者を守り、医療従事者を守る必要があります。」
5. すべての医療体制に弱点があると認識する
あらゆる医療体制が脆弱であると理解することは、既存の弱点を見つけ、医療従事者と市民全体の双方を確実に守るうえで重要だ。
世界で最も強固な医療体制の一部でさえ、パンデミックに不意を突かれたと事務局長は述べた。「医療体制全体の備えが不足していることが分かります」と述べた。
「どのような体制にも弱点があり得ます。自分たちの体制がどの程度備えられているかを謙虚に見つめ、将来に向けてどう改善できるか考えるべきです。」

