アフリカ全域で新型コロナウイルス感染症の症例が増加しており、冬の到来とともに拡大する可能性があります。
アフリカでは、水道が通っていない密集した環境で暮らす人々がいるため、特有の課題があります。
この大陸は、感染症の大流行への対応経験を有しています。
登壇者:
マチシディソ・モエティ博士、WHOアフリカ地域事務局長
ルシル・インボア=ニアヴァ博士、WHOセネガル代表
オーウェン・カルワ博士、WHO南アフリカ代表
アフリカでは、地域内での感染伝播が拡大し、冬が近づくなか、新型コロナウイルスの症例が急増する可能性に備えています。
3月19日時点で、33のアフリカ諸国が、新型コロナウイルス感染症による600件超の症例と17人の死亡を報告しています。WHOアフリカ地域事務局長のマチシディソ・モエティ博士は、このウイルスが北半球ほどの速さでアフリカに広がっていない理由は、まだ明らかになっていないと述べました。
世界経済フォーラムが支援する、WHOアフリカメディアリーダー向け新型コロナウイルス感染症ブリーフィングにおいて、モエティ博士は、南米でも症例が比較的少ないことにも言及しました。「この現象が気温と関係している可能性があるかどうか、理解に努めているところです。確かに、この大陸の南部では、明確なインフルエンザの流行期があることはわかっています。」もしそれが当てはまるのであれば、冬が訪れるとウイルスの感染が増加すると予想されると、同博士は述べました。
WHOセネガル代表のルシル・インボア=ニアヴァ博士は、アフリカの多くの地域における生活様式、特に人々が密集して暮らしている状況が、この病気の急速な感染拡大を招きかねないと述べました。
WHOは、アフリカ大陸向けに、この病気の拡大を抑えるために推奨する対策を調整しています。モエティ博士は次のように述べました。「家族が、水道が通っていない住居で、何人もが同じ空間で寝なければならないことがあります。そのため、頻繁に石けんで手を洗うことは困難です。」
同博士は、WHOが保健施設や家庭で手指消毒剤が利用できるよう、パートナーと協力していると述べました。「人々が密集した環境で暮らしている場合に、ソーシャルディスタンスを確保するとはどういうことかを考える必要があります。マスクの使用についても、従来とは異なる考え方が必要になるかもしれません。」
WHOは、新型コロナウイルス感染症を疑う症状のある全ての人を対象に、重点的な検査を行うことを推奨しています。モエティ博士は次のように述べました。「これにより各国は、感染者がどこにいるかをできるだけ早く把握し、感染拡大を防ごうえで極めて重要な、ソーシャルディスタンス、自己隔離、衛生対策を開始できるようになります。」
しかしながら同博士は、この規模の検査に必要な検査キットは、アフリカにも世界のどこにも十分にはないことを認めました。WHOはこの分野に引き続き注力しており、モエティ博士は、これには「集中的な取り組み、国際協力、官民パートナーシップ」がより一層必要だと述べました。

この大陸全体で集中治療室が十分にないことが懸念されています。モエティ博士は、医療制度が最も発達している国の一つである南アフリカでさえ、「状況が急激に悪化した場合」には、多数の重症患者への対応に苦労するだろうと述べました。
アフリカには、戦争や人道危機によって避難を余儀なくされた人々が多く暮らす地域があります。WHOカントリーオフィス責任者のミシェル・ヤオ氏は、そのためWHOは、過去にコレラの大流行時に行ったように、NGOパートナーと協力して水と衛生へのアクセスを改善する必要があったと述べました。
アフリカの若い人口は、この病気が若年層にとって重症化しにくいという点で有利に働いています。しかしながらモエティ博士は、HIVや栄養失調など、他の要因によって人口がこの病気に対して脆弱になるだろうと述べました。
アフリカは大陸全体として、感染症の大流行への対応において豊富な経験を有しています。モエティ博士は、それが強みであり、WHOが新型コロナウイルスへの対策として行っている取り組みの一部は、エボラ出血熱の大流行に対応するために構築された地域のプラットフォーム、知見、仕組みに基づいていると述べました。

