双子研究は、重要な謎へのさまざまな洞察をもたらしてきた。環境と遺伝子は、私たちの健康にどう影響するのかという、生まれか育ちかの問題だ。
「双子を調べれば、健康に関わる主要な要因の一つである遺伝を完全に統制できます。そうすれば、環境要因が果たす役割を詳しく調べられます」と、メルボルン大学のオーストラリア双子研究所長、ジョン・ホッパー氏は話す。
「たとえば、一方が喫煙し、もう一方が喫煙しなかった双子のペアを調べたところ、喫煙が骨粗しょう症の主な原因であることが明らかになりました。」
1982年に開設されたこの研究機関のデータベースには、双子3万5,000組以上が登録されており、世界最大のボランティア双子登録機関となっている。
「1980年代初頭以降、DNA技術は飛躍的に進歩しました。特にヒトゲノム計画や、新たな分野であるエピジェネティクスが挙げられます」とホッパー氏は言う。「こうした新しいゲノム知識を公衆衛生に生かすうえで、双子研究は非常に重要です。」
この研究機関が230件以上の双子研究から得た、主な発見をいくつか紹介する。
1. 乳がんのリスク
「双子のペアを研究し、マンモグラフィー画像に写る白い領域の量である乳房濃度と、乳がんリスクの両方に影響する最初の遺伝子、LSP1を特定しました」とホッパー氏は言う。
研究者たちは、一卵性双生児の乳房濃度が非常によく似ていることを発見した。乳房濃度は将来の乳がんリスクを予測する指標となる。二卵性双生児では類似度がその半分であり、このリスク要因に遺伝が大きく関わることが示唆された。
「驚くべきことに、子宮内で決まる乳がんの新たなエピジェネティックなリスク要因も発見しました。これは双子のペアを研究して初めて明らかにできたものです」とホッパー氏は言う。次の課題は、子宮内の環境が乳がんリスクに影響する理由を解明することだ。
最終的には、この研究によって世界中の乳がん検診や予防が変わる可能性がある。ホッパー氏らは、年齢だけでなく個人のリスクに基づいて検診時期を決める個別化検診の計画を策定するため、ブレスト・スクリーン・ビクトリアと協力している。
2. 遺伝子とてんかん
20年前、専門家たちは、てんかんは頭部外傷や難産によって起きる後天性の病気だと考えていた。
しかし科学者たちは、特定の種類のてんかんに遺伝的な基盤があることを発見し、てんかんの定義や治療法を変えた。
「こうした発見には、双子研究が本質的な役割を果たしました」とホッパー氏は言う。「多数あるてんかんの種類のうち、どれに遺伝的な基盤があり、どれにないのかを明らかにし、遺伝子発見研究の対象をより適切に絞り込めるようにしました。」
研究者たちは、一方の双子にてんかんがあり、もう一方にはない事例も調べ、けがや出生時の合併症に関するデータを分析した。「産科的合併症がてんかんを引き起こしたという証拠はありませんでした。多くの親にとって、大きな安心につながりました。」
3. 子宮内での暮らし
比較的新しい分野であるエピジェネティクスは、環境が遺伝子の働きに及ぼす影響を研究する。重要な研究領域の一つがメチル化で、遺伝子のスイッチをオン・オフにする仕組みだ。
この分野の研究は、食事やストレスなどの生活習慣要因が健康に及ぼす影響や、そうした影響が世代を超えて受け継がれる可能性について、研究者の理解を深めている。
一卵性双生児と二卵性双生児のエピジェネティックな違いを比較したところ、子宮内での経験が、生まれたときに備わっているエピジェネティックなプロフィールを決める一助となることが分かった。このことは、同じDNAを持つ一卵性双生児が、しばしば異なる健康状態を経験する理由を説明する可能性がある。
「双子研究は、受胎の時点から、そして特に幼少期に、環境が私たちの健康を形作ることを改めて示しています」とホッパー氏は言う。
4. 脳の老化
縦断研究である「高齢オーストラリア人双子研究」では、健康な脳の老化を調べるため、65歳を超える双子を追跡している。
一卵性双生児と二卵性双生児を比較することで、後年の認知機能の低下や認知機能の維持に、どの遺伝子や生活習慣要因が関わるのかを知る手がかりが得られる。
「高齢の双子を研究することで、運動、食事、喫煙など、生涯にわたる経験を比較し、脳の老化を速めたり遅らせたりする要因について、研究者たちは新たな知見を得ています」とホッパー氏は言う。
「遺伝的要因を完全に統制しているため、一般人口から無作為に抽出した人々を調べるよりも、はるかに説得力のある結果が得られます。認知機能低下の遺伝的リスクには、人によって大きな差があるからです。」
5. 数学と読解の能力
研究者たちは、3、5、7、9年生の双子約3,000組のテスト得点を分析し、子どもの数学、読解、綴りの能力の差の最大75%、文章を書く能力の差の最大50%は、遺伝的な違いによる可能性があると明らかにした。
「遺伝子が重要なら環境は関係ない、という主張がよくあります」とホッパー氏は言う。「実際はその逆です。環境要因と遺伝的要因は互いに作用し合います。子どもが学業に向いている遺伝的傾向を持つかどうかにかかわらず、その才能を最大限に伸ばすには、子どもを支える環境が必要です。」

