パンデミックによって障害のある人々の前進を頓挫させてはならない

Paralympics - London 2012 Paralympic Games - Aquatics Centre - 31/8/12 Swimming - Women's 50m Butterfly - S7 - Great Britain's Susannah Rodgers in action during the final Mandatory Credit: Action Images / Matthew Childs Livepic PLEASE NOTE: FOR EDITORIAL USE ONLY - MT1ACI9932566
Powering ahead: The author Susannah Rodgers competing at the London 2012 Paralympic GamesImage: Action Images
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  • 新型コロナウイルス感染症は、手術の中止に直面したり、一人で自主隔離をしたりしている障害のある人々に壊滅的な打撃を与えてきました。

  • 社会がインクルージョンに向かって進んでいる一方で、パンデミックによって進展が逆戻りするおそれがあります。

  • 2020年12月3日は国際障害者デーです。

よりインクルーシブな社会に向けた機運は、世界的に高まっています。人権活動家や社会運動に後押しされ、私たちは、個人のさまざまなアイデンティティが交差する中で、構造的な差別によって生じる有害な不平等にますます気づくようになっています。

障害も例外ではなく、ビジネスや社会のさまざまな分野で、変化が少しずつ広がっています。いわゆる「先進国」であっても、まだ道のりは長いのです。私が現在活動の中心としている低・中所得国では、不平等はさらに顕著になることがあります。こうした状況では、根強い偏見や差別が障害のある人々の経験を特徴づけることが多く、貧困の罠をいっそう深めています。

障害のインクルージョンに関するアドバイザリー業務では、分野を問わず、「優良事例はどこにあるのか。どのようなエビデンスが存在し、どのようなデータがあるのか」という同じ質問によく直面します。これは依然として、前進に向けた大きな課題です。政府、企業、慈善団体、その他の分野が、主流のプロジェクトやプログラムにおいて定量的・定性的データのいずれも収集していなければ、現在および将来において、どのような介入や是正措置が必要になるかを把握することは困難です。前進は、公平かつあらゆる場所で実現される場合にのみ可能になります。

「障害は、あまりにもしばしば後回しにされている」

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、これまでに得られた前進を覆すおそれもあります。障害のある女性である私の立場は、かなり恵まれたものだと考えています。私は自立しており、ある程度の範囲であれば比較的自由に移動でき、仕事をし、義肢や支援技術を利用できます。これらがなければ、自立した生活を送ることはできません。

しかし、恵まれていることには困難も伴います。つい最近、病院で故障した膝関節を交換する予定だった診察が、出席予定の わずか1日前に中止されたときにそれを経験しました。幸い、このような場合に備えて予備の義肢があり、生命に関わる問題ではありませんでした。それでも、自分に必要な技術を確実に受けられ、安全に、そして最大限に充実した生活を送ることができるという安心感は、やはり大きなものです。

今年は、手術や必要な診察の中止、自主隔離中で一人でいる人々、あるいはパンデミックが猛威を振るい甚大な被害をもたらした施設に入所している人々に関する報告が数多く出てきました。このパンデミックが多くの人々の生活に及ぼした影響の全容や影響の大きさを、私たちが十分に把握しているとは思いません。私自身も、小規模かつ軽微な形ではありますが、これを経験しました。そして、はるかに深刻な状況に直面している障害のある人々が多くいることも知っています。障害は、あまりにもしばしば後回しにされており、業界を問わず、思考や計画の中に十分に主流化されていません。

介入、プログラム、資金提供の機会、教育、技術(そのほかのものも含む)が、世界中の障害のある人々の生活に与える変革的な影響を、人々が本当に理解しているのかはわかりません。

この点を個人的な例で示すと、今年の夏、私は英国での国内滞在旅行で、初めて海に足を踏み入れました。完全防水の義足を装着し、砂や塩水に耐え、完全に水に沈められる膝関節を備えていたため、直立したまま水の中へ歩いて入ることができました。30代となった私の人生において、他者の補助を受けずに直立したまま海へ歩いて入るという感覚を味わったことはありませんでした。私は泳ぐことや水の中にいることが大好きで、それはプロのスポーツキャリアを選んだことからも明らかです。しかし、海岸まで車で行き、ひざまずくことなく、首まで水に入り、誰かに支えられながら跳ねたり足を引きずったりして、波や潮流と格闘しながら進むことなく歩いて入れたことは、私にとって解放であり、初めての経験でした。この後の写真をツイッターに投稿したところ、その投稿は大きく拡散されました。

多くのインフルエンサーやソーシャルメディア愛好家は、どうすれば投稿が拡散されるのかを考えています。必要だったのは、変革をもたらす技術、自分が観察されることを承知の上で、あえて傷つきやすい立場に身を置く勇気、そしてこの人生を変える経験を他者と分かち合う姿勢だけでした。私は「いいね」やコメントを得るためにこの投稿をしたわけではありません。ただ、他の人々が自分の経験を共有し、自分にも使える同様の技術について問い合わせる気持ちになってくれること、そして製品がどれほど人生を変える力を持つかについて人々が考えるきっかけになることを願っていました。

この国際障害者デーに、私は改めて同じことを求めます。政府には、意思決定において人々の多様な経験を理解し、受け入れること。社会におけるあらゆる側面やアイデンティティを包含すること。企業や産業界には、ユニバーサルデザインの価値と、経済的機会や多様なスキルがもたらす変革を考慮すること。社会には、異なる視点や意見を受け入れられるほど開かれていることを求めます。

インクルージョンの解決策を一つの分野だけで提供することはできません。持続可能性や気候変動の場合と同様に、協働と集団的な努力が必要です。私たちは旅の途上にあり、もしかすると始まったばかりかもしれませんが、今後も前進が続くことを願っています。

執筆:サンナ・ロジャーズMBE(2018年ヤング・グローバル・リーダー、パラリンピック金メダリスト・複数メダル獲得者(水泳)、英国外務・英連邦・開発省障害インクルージョン技術顧問)。免責事項:本稿の見解は筆者個人のものであり、所属組織の見解ではありません

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