ワクチン接種を受けても、ウイルスを広める可能性はある?専門家の見解

A medical worker prepares a dose of a vaccine for the coronavirus disease (COVID-19)
Vaccines will very soon reduce the rate of severe disease and death worldwide.Image: REUTERS/Lim Huey Teng
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  • 世界各地でCOVID-19の予防接種が続くなか、ワクチンが感染伝播にどう関わるのか、まだよく分からない人は多い。

  • 微生物学者のデボラ・フラー氏が、ワクチン接種後の感染伝播と、新たな変異株がこれに影響する可能性について、3つの質問に答える。

  • ワクチン接種で感染を100%防げるわけではないが、感染する可能性や重症化する可能性は低くなる。

  • ワクチン接種を受けた人がCOVID-19に感染した場合、体外に排出されるウイルス量が減るため、他者にうつす可能性は低くなる。

新型コロナウイルスのワクチンを接種し、免疫系が注射に反応するまで2週間待って、今では完全に接種を終えたとします。これで、ウイルスを広める心配なく、昔のように世界を行き来できるのでしょうか?デボラ・フラー氏は微生物学者で、ワシントン大学医学部でコロナウイルスワクチンの研究に取り組んでいる。ワクチン接種後の感染伝播について科学的知見が示すこと、そして新たな変異株によって状況が変わる可能性を解説する。

1. ワクチン接種で感染を完全に防げる?

端的に言えば、いいえ。ワクチン接種後も感染する可能性はある。しかし、重症化する可能性はほぼゼロだ。

ワクチンは盾のように働き、ウイルスが細胞に感染するのを完全に防ぐと考える人は多い。しかし、ほとんどの場合、ワクチン接種を受けた人は感染そのものとは限らないが、発症からは守られる。

免疫系の働きには個人差があるため、ワクチンの有効率が95%というのは、接種を受けた人の95%が発症しないという意味にすぎない。この人たちは感染を完全に防げている場合もあれば、感染していても免疫系がウイルスをすばやく排除するため、症状が出ない場合もある。残る5%の接種者は感染して発症することがあるが、入院に至る可能性は極めて低い。

ワクチン接種で感染を100%防げるわけではないが、いずれの場合も、免疫系はコロナウイルスに対して大きな優位を得る。感染を完全に防げたか、ある程度発症したかにかかわらず、接種を受けていれば、ウイルスに接触した後の状態は未接種の場合より良くなる。

ワクチンは感染ではなく、発症を防ぐ。Image: 米国国立アレルギー・感染症研究所、CC BY

2. 感染すれば必ず他者にうつる?

感染者のウイルス粒子が十分な量、感染していない人の体内に入ると、感染伝播が起きる。理論上、コロナウイルスに感染した人は誰でも、他者にうつす可能性がある。しかし、ワクチンによってその可能性は低くなる。

一般に、ワクチン接種で感染を完全に防げない場合でも、鼻や口から排出されるウイルス量は大幅に減り、ウイルスを排出する期間も短くなる。この過程は「ウイルス排出」と呼ばれる。これは大きな意味を持つ。排出するウイルス量が少ない人は、他者にうつす可能性が低い。

コロナウイルスワクチンでも、同じことが起きているようだ。最近発表されたプレプリント研究では、まだ査読を受けていないが、イスラエルの研究者がワクチン接種者2,897人を対象に、コロナウイルス感染の兆候を調べた。大半からウイルスは検出されなかったが、感染していた人の体内のウイルス量は、感染後の同じ時期に検査した未接種者の4分の1だった。

コロナウイルスの量が少なければ、広がる可能性も低くなる。体内のウイルス量が十分に少なければ、他者にうつす確率はほぼゼロに達することもある。ただし、コロナウイルスではどの量がその境目になるのか、研究者はまだ把握していない。また、ワクチンは感染を100%防ぐものではないため、米国疾病予防管理センターは、ワクチン接種後もマスクの着用とソーシャルディスタンスの確保を続けるよう勧めている。

感染力と伝播力がさらに強い新たなコロナウイルス変異株は、現在のワクチンの有効性を損なう可能性がある。Image: AP通信/ジョン・ラウ

3. 新たなコロナウイルス変異株については?

ここ数カ月で新たなコロナウイルス変異株が出現している。最近の研究によると、ワクチンは一部の変異株、たとえば南アフリカで最初に確認されたB1351変異株に対して効果が低い。

SARS-CoV-2は複製するたびに新たな変異を起こす。ここ数カ月で研究者は、感染力がより強い新たな変異株を確認した。つまり、感染するのに必要なウイルスの吸入量が少なくて済む。また、伝播力がより強い変異株もあり、これは人が排出するウイルス量を増やす。さらに、初期データによると、少なくとも1つの新たな変異株は、免疫系をより巧みに回避するようだ。

では、ワクチンと感染伝播にはどのような関係があるのだろうか?

南アフリカの変異株に対しても、ワクチンはCOVID-19による重症化を85%超防ぐ効果がある。しかし、軽症や中等症も含めると、その効果は最大でもおよそ50~60%にとどまる。つまり、ワクチン接種者の少なくとも40%は、中等症以上を引き起こすだけの強さの感染を起こし、体内に十分な量のウイルスが残ることになる。

ワクチン接種者の体内により多くのウイルスがあり、他者への感染に必要なウイルス量が少なくなるなら、接種者がこうした新たなコロナウイルス株を他者にうつす可能性は高まる。

順調に進めば、ワクチンによって世界の重症化率と死亡率はまもなく低下するだろう。確かに、重症化を抑えるワクチンはどれも、集団全体で見れば、排出されるウイルス量を減らす。しかし、新たな変異株が出現したため、ワクチン接種者も依然としてウイルスを排出し、接種の有無にかかわらず他者に広める可能性がある。そのため、変異株が出現しなかった場合に比べて、ワクチンによる感染伝播の抑制にははるかに長い時間がかかるだろう。また、集団免疫の獲得にもより長い時間がかかる。どの程度の時間が必要かは、新たな株に対するワクチンの有効性と、その株の伝播力や感染力の強さとの兼ね合いで決まる。

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