ペットのがん治療が人間の医療に革命をもたらす仕組み

A person stroking a dog's face.
Pets are 'almost perfect models' to investigate the effectiveness of new disease treatments.Image: Unsplash/Veronika Jorjobert
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  • 新たな研究によると、伴侶動物は現代医学のさらなる進歩に欠かせない存在となる可能性があります。

  • 研究によると、マウスを使って開発されたがん治療法の94%は、人への効果が確認されていません。

  • 伴侶動物の腫瘍の遺伝子検査から、マウスには見られない遺伝的多様性があることが分かりました。

  • 研究者によると、これはペットが新たな病気の治療法の有効性を調べるモデルとしてほぼ理想的であることを意味します。

動物の仲間は私たちに喜びをもたらし、無条件の愛を注いでくれます。ペットの犬や猫が伴侶として私たちの暮らしで重要な役割を果たしていることに、疑いの余地はありません。

意外に思われるかもしれませんが、ペットはがんを含む人間の病気の治療法を見つける鍵を握っている可能性があります。飼い犬や飼い猫に自然発生する病気の臨床研究は、人と動物の健康に役立つ治療法の開発を加速させる可能性があります。

進行性の病に立ち向かう新たな方法

がんは世界の主な死因の一つであり、カナダでは毎日230人の命を奪っています。従来、研究者ががん治療法を開発すると、まず培養したがん細胞で試験し、腫瘍に対する効果があるかどうかを調べます。

次に、病気を人工的に発症させたマウスで治療法を試し、がんを死滅させる効果があるかを評価します。効果がありそうであれば、初期の安全性・有効性試験として、人の患者を対象に臨床試験を行います。

この方法には欠陥があることが、ますます明らかになっています。驚くべきことに、マウスを使って開発されたがん治療法の94%は、人に対する臨床的な効果を示せません。その結果、病気の人々は切実に必要としている有効な治療を受けられません。患者は治療がうまくいかないため、病気のままで、命を落としています。

さらに、実験段階の治療法を一つ人を対象とした臨床試験に進めるだけで、数百万ドルかかることがあります。その資金の大半は、政府の研究助成という形で納税者が負担しています。持続可能で効果的な道筋が必要です。

マウスで試験されたがん治療法の圧倒的多数は、人間の治療法へと結びついていません。Image: Unsplash/Alexandr Gusev

伴侶動物

ゲルフ大学オンタリオ獣医学部には、非常に多忙な動物がんセンターがあり、年間5,000匹を超える伴侶動物のがんを治療しています。研究室で作り出すげっ歯類モデルとは異なり、犬や猫などの伴侶動物は人間と同じように自然にがんを発症します。さらに、ペットの犬や猫は私たちと同じ環境で暮らし、同様の環境要因にさらされています。そのため、がんの種類によっては発症率も似ているのかもしれません。

伴侶動物の腫瘍の遺伝子検査から、人間と同様の遺伝的多様性があることが分かりました。これは、マウスに見られる遺伝的均一性とは対照的です。ペットの犬や猫は、新たな病気の治療法の有効性を調べるモデルとしてほぼ理想的です。

私たちのチームには、がん研究者、獣医外科腫瘍医、腫瘍内科医が揃い、伴侶動物を対象とするがん臨床試験で豊富な経験を積んでいます。こうした試験では、従来のがん治療に加え、チームが開発した新しい最先端の治療法も用います。たとえば、抗がんウイルス、腫瘍への血流を抑える治療法、免疫系を活性化する治療法があります。

治療法の特定

私たちは最近、積極的な取り組みを始め、がん患者を治療する臨床医と連携しています。こうした連携により、がん細胞やマウスでの試験から、伴侶動物を対象とするがん臨床試験、そして最終的には人へと、治療法を進めることができます。これはトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)と呼ばれます。

トランスレーショナル・リサーチによって、臨床的な効果が見込めない治療法を特定し、開発を中止できます。これにより、人を対象とするがん治療の臨床試験で現在見られる高い失敗率を大幅に下げられる可能性があります。有望な治療法については、伴侶動物の臨床試験と前臨床のげっ歯類モデルの双方で、治療法を見直し、改良し、改善できます。

伴侶動物のがん治療を研究することで、人間の治療法の発見に近づけます。Image: Unsplash/Karsten Winegeart

改良した治療法は、伴侶動物を対象とする臨床試験でさらに検証した後、人を対象とする臨床試験へ進められます。私たちのチームは、前臨床試験と伴侶動物のがん患者で十分に検証・改良した新しい治療法を提供できます。

治療法の発見に向けて

伴侶動物モデルを用いるトランスレーショナル・アプローチは、がん治療法の開発方法に変化をもたらし、人とペット双方に有効な治療法を開発するまたとない機会となります。このアプローチは、がん以外の病気にも可能性を広げます。

人間と伴侶動物で原因が似ている病気はほかにもいくつかあり、たとえば膝や股関節の変形性関節症、強迫性障害などの精神疾患があります。

犬舎から治療法の発見へ。トランスレーショナル・リサーチは、カナダの病気治療のあり方を変え、カナダの人々とそのペットの暮らしを大きく改善する可能性があります。

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