希少疾患治療の未来

We need new medicines to respond to unmet needs
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今年のダボスでの世界経済フォーラム年次総会の中心テーマは、状況に応じた責任あるリーダーシップです。バイオ医薬品業界が果たすべき中核的な貢献はイノベーションだと私は考えます。満たされていない医療ニーズに応え、影響を受けるすべての人々に価値をもたらす新薬の開発に注力しなければなりません。

希少疾患は、患者や地域社会、医療制度に大きな医学的・経済的負担をもたらします。希少疾患は、オーファン疾患とも呼ばれることがあり、一般人口のごく一部に影響を及ぼす疾患を指します。米国では、患者数が20万人未満の疾患が希少疾患とみなされます。希少疾患の国際的な定義はさまざまで、たとえば英国では、患者数が5万人未満の疾患が希少疾患とみなされます。希少疾患の多くは遺伝性で、症状がすぐに現れない場合でも、生涯にわたって続きます。

血友病、ゴーシェ病、ハンター症候群、さまざまな希少がんを含め、7,000を超える希少疾患が知られています。希少疾患の患者数は世界で3億5,000万人と推定されています。さらに数百万人が、専門的な対応を要する疾患を抱えています。こうした数字に表れないのは、多くの場合、今日の医療では十分に対処できない健康上の課題を抱えて暮らす大切な人を見守る、数えきれないほどの母親、父親、友人、家族の存在です。そうした大切な人の約50%は子どもです。

さらに、希少疾患の患者には診断の遅れがよく見られ、健康に深刻な影響を及ぼすだけでなく、医療制度全体にも影響を与えることがあります。たとえば英国と米国では、正しい診断を受けるまでに平均5~7年かかります。さらに長引くこともあり、多くの患者と家族が長期にわたる不確実性と負担を強いられます。

この分野には非常に大きな未充足ニーズがあるにもかかわらず、進展は限られています。その理由はさまざまです。希少疾患や専門的な対応を要する疾患の創薬・開発プロセスは複雑です。「一般的な」疾患の治療薬開発でさえ、数百万ドルと10年以上にわたる継続的な研究開発を要する、リスクの高い困難な取り組みです。失敗に終わり、行き詰まることも少なくありません。しかし、患者数の少ない希少疾患の治療法を開発する場合、乗り越えるべき障壁はさらに高くなります。たとえば、患者数の少ない集団を対象とする国際治験には、大きな運営上の課題があります。ハンター症候群の治療薬であるイデュルスルファーゼの臨床試験では、シャイアー社は96人の患者を募集し、当時、希少疾患を対象とした試験として過去最大規模となりました。十分な患者数を確保するため、シャイアー社は世界各地に15か所の試験施設を開設する必要がありました。15か所を設けても、家族全員が移住を余儀なくされることがあり、時には国境を越える必要もありました。

「臨床試験には前例がない」

持続的な進展には、官民連携が鍵となります。希少疾患の研究開発を困難にしている課題により効果的に取り組み、新たな治療法を患者に届ける体制を整えるため、医療エコシステム全体の関係者と協力する必要があります。たとえば、規制当局、主要なオピニオンリーダー、患者支援団体、テクノロジー企業などの従来とは異なる関係者と連携し、希少疾患の研究に特有の事情を考慮した、より効果的な臨床試験デザインを作る必要があります。現在、臨床試験のデザインにも、臨床研究が満たすべき評価項目にも前例がありません。こうした疾患の患者集団が小規模であること、またその規模ゆえに地域社会から得られるデータが限られることを踏まえた、革新的な試験デザインを開発しなければなりません。

希少疾患に特化した規制上の承認プロセスを設計する大きな機会もあります。業界として、政策立案者や、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)などの規制当局との継続的な取り組みを支援し、早期の承認申請、当局との協議、画期的治療薬の指定、迅速な承認を可能にするプロセスを設計する必要があります。

業界が新たな治療法の開発を続けるなか、患者がアクセスできるよう、各国はインフラを整備する必要があります。希少疾患の治療薬には、温度管理されたサプライチェーンであるコールドチェーンが必要となることが多く、すべての国で容易に利用できるわけではありません。各国の政府やNGOと協力し、希少疾患の患者のために、インフラと専門的な医療へのアクセスを強化できます。

最後に、そしておそらく最も重要なのが、教育と認知向上です。医療従事者の間でも、希少疾患に関する専門知識は限られています。患者に支援を届けるには、医療従事者、NGO、世界血友病連盟のような患者支援団体と緊密に連携し、希少疾患への認知を高め、社会に及ぼす影響を広く伝える必要があります。

個々の希少疾患の患者コミュニティは小規模でも、力を合わせれば、患者や家族、介護者から成る大きな希少疾患の患者集団となります。誰もが解決策を必要としており、私たちには支援する責任があります。だからこそ、医療エコシステム全体の関係者に、希少疾患患者がたどる道のりについて理解を深めるよう呼びかけています。治療法、あるいは少なくとも人生を最大限に生きる力を待ち望む何百万人もの患者と家族を支援するため、私たちとともに取り組むようお願いしています。

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