エデルマンの最新報告によると、医療企業への信頼は2022年に62%となり、2020年5月の73%から低下しました。
では、解決策は何でしょうか。
エデルマンによると、製薬業界は、人々がより健康的な生活を送れるよう積極的に支援することで、社会との契約を強化できます。
今日私たちが理解している社会契約という考え方は、啓蒙時代に初めて根付きました。自然権と法的権利の関係を検討したジャン=ジャック・ルソーの1762年の著書に、その考えが記されています。今日では、企業と社会の間の「社会契約」について語ります。企業は社会の許可を得て存在し、その許可は企業が社会に利益をもたらす形で行動することを条件としている、という考え方です。
病気を治し、人々の健康を守ることを目的とする業界なのだから、医療は当然、善の側に立つと思うかもしれません。主に健康を促進する製品の開発・製造を目的とする製薬業界は、本質的に社会に利益をもたらしており、揺るぎない社会契約を結んでいるはずです。
医療への社会的信頼に関するエデルマンの最新報告
当社の2022年信頼度バロメーター特別報告書:信頼と健康は、今年2月に実施され、より複雑な状況を描き出しています。調査対象9か国の世界平均を追跡した調査では、医療企業への信頼は62%となり、COVID-19パンデミックの初期段階だった2020年5月の73%から低下しました。一方、製薬分野への信頼は61%と、わずかに低い水準です。これは、パンデミック直前の2020年1月の55%から上昇したもので、明るい兆しです。しかし、命を救うワクチンや治療法の開発、製造、流通に製薬企業が果たした役割にもかかわらず、製薬業界は消費者向けヘルスケアと並び、調査対象となった各分野の中で最も信頼されていません。最も信頼度が高い分野は病院と地域の薬局で、いずれも76%です。
世界経済フォーラムは、包摂的なグローバルヘルス・エコシステムをどのように実現しているのでしょうか。
「ヘルスケアセンター」は、アクセス、公平性、レジリエンス、備えなど、世界各地の医療システムが直面する課題を理解するため、リーダーたちを結び付けています。
信頼に基づく対話と官民連携を通じて、同センターはパートナーが共通の優先事項について足並みをそろえ、健康の成果を向上させるための集団的な取り組みを進められるよう支援します。
製薬業界が、その中核的な使命を果たし、世界全体を助ける目立った形で取り組んでも広範な信頼を築けないのなら、どうすれば信頼を築けるのでしょうか。公衆衛生と個人の健康に関する幅広い課題を追跡した私たちの新たな調査は、いくつかの手掛かりを示しています。
回答者の65%が、自分の健康管理の現状と、本来あるべき水準との間に隔たりがあると答えています。この個人の健康格差を埋める妨げとして最も多く挙げられた理由は費用で、50%が回答しました。次に多かった理由(47%)は情報に関するものです。健康情報の不足に加え、推奨事項が頻繁に変わることや、異なる健康専門家の見解が食い違うことによって混乱が生じています。
この報告書は、製薬業界を含むヘルスケア企業が、より広範なヘルス・エコシステムに関わる重要課題について公に取り組むべきだという社会的合意が広がっていることを示しています。平均すると、73%が、質の高い医療へのアクセス確保にヘルスケア企業が役割を果たすことは、信頼を得る、または維持するうえで重要だと答えています。71%は、信頼を得る、または維持するには、ヘルスケア企業が自国の医療制度への信頼を築き、維持しなければならないと回答しました。また69%は、信頼を得る、または維持するために、ヘルスケア企業は汚染問題に対処すべきだと答えています。
製薬業界が社会契約を更新し、さらには強化する方法はここにあるのかもしれません。今日、社会が最も懸念している健康関連の課題への取り組みを深め、多くの人々が健康的な生活を送る妨げとなっているさまざまな課題の克服を支援することです。たとえば、信頼でき、一貫性のある情報の不足が、人々が望む健康状態に到達する妨げとなっているなら、製薬企業は豊富なリソースを活用して支援できます。健康状態や治療法について、信頼でき、正確で確かな情報を提供することもその一つです。
一部の製薬企業は、すでにこうした分野のいくつかに取り組んでいると言うでしょう。しかし、その多くは恵まれない地域への医薬品寄付など、ESG関連の取り組みです。こうしたプロジェクトは比較的小規模で、事業の中核的な活動には含まれていません。中核的な役割の範囲を超えることへの懸念や、従来の事業領域を踏み越えた場合の否定的な反応への恐れが、その理由かもしれません。
しかし社会は、2年間にわたる苦難の余波に揺れ、心身の健康が大きな注目を集めています。世界各地の医療制度と、その中で働く人々は、かつてないほど過重な負担を強いられてきました。立ち直るための支援が切実に求められています。新たな調査結果から明らかなのは、これまで予想されていなかった方面からのものであっても、解決策は大いに歓迎されるということです。

