今週の「世界抗菌薬耐性啓発週間」は、薬剤耐性(AMR)の現実的かつ深刻化する脅威に光を当てます。
薬剤耐性感染症により、毎年推定75万人が死亡しています。
医薬品への適切なアクセスが欠如すると、病原体がより多くの人々に感染し、耐性を獲得する機会が生まれます。
あらゆる関係者の危機感を高め、連携を強化するとともに、ヘルスセキュリティの取り組みに薬剤耐性を確実に組み込むことが必要です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が予想を超える速さで世界中に拡大したことで、世界は、世界的な健康上の脅威により早く備える必要性について多くの教訓を得ました。今日、世界の人々の健康は相互につながっており、疾病の拡大に対処するには官民の連携が必要であることを、私たちは以前にも増して認識しています。そうでなければ、個々の取り組みがすべて危機にさらされます。
薬剤耐性:深刻化する脅威
今週の「世界抗菌薬耐性啓発週間」は、薬剤耐性(AMR)の現実的かつ深刻化する脅威に光を当てます。世界各地で、医療制度や畜産で現在使用されている多くの抗生物質に対する細菌の耐性が高まっており、抗生物質は環境中にも流出しています。AMRの拡大に対処するには、複数の関係者が参画する統合的な「ワンヘルス」アプローチが求められます。
オランダや英国などの政府に加え、ウェルカム・トラストのような組織も、薬剤耐性の拡大への対処を早くから主導し、世界規模でこの問題に取り組むための戦略的な投資を行ってきました。しかし、民間セクターを含む、より幅広い関係者間の連携を進めれば、次の大規模な世界的健康危機を未然に食い止めることができるでしょう。
オランダの保健・福祉・スポーツ大臣兼副首相のフーゴ・デ・ヨング氏は、次のように述べています。「オランダは、ヘルスセキュリティの取り組みに薬剤耐性を組み込むことが極めて重要であると認識しています。私たちは、Access to Medicine Foundationを誇りを持って支援しています。同財団は、製薬企業に一層の取り組みを促す役割を担っています。複数のセクターが協力して取り組めば、次の大規模な世界的健康上の脅威を未然に食い止めることができます。」
複数のセクターが協力して取り組めば、次の大規模な世界的健康上の脅威(薬剤耐性)を未然に食い止めることができます。
フーゴ・デ・ヨング、オランダ保健・福祉・スポーツ大臣、同国副首相。
薬剤耐性対策に向けた民間セクターの動員
過去5年間、Access to Medicine Foundationは、抗生物質市場の大手企業が、耐性の増加と抗生物質への適切なアクセスをめぐる世界的なニーズにどのように取り組んできたかを追跡してきました。
第3回抗菌薬耐性ベンチマークでは、いくつかの分野で明るい進展が見られます。その一つは、低・中所得国(LMICs)で新薬を利用できるようにするための早期計画が大幅に増加したことです。また、研究開発(R&D)では、大手製薬企業の取り組みは、何年にもわたる後退を経て安定したようです。ただし、新製品の開発パイプラインは依然として限られており、進展は財政基盤が不安定な小規模バイオテクノロジー企業に大きく依存しています。
医薬品へのアクセスの不平等が薬剤耐性の一因に
ここまでは朗報です。一方、薬剤耐性感染症のリスクが最も高い、資源に乏しい地域の人々に、既存の抗生物質を届けられていないという業界全体の問題は、依然として広く見られます。
調査対象製品のうち、アクセス戦略を何らかの形で整えていたのはわずか3分の1でした。たとえば、医薬品をより手頃な価格にするための価格調整や、供給を増やすためのライセンス契約です。適切なアクセスが欠如すると、医師は最適とはいえない治療や治療を行わない選択を余儀なくされ、病原体がより多くの人々に感染し、耐性を獲得する機会が生まれます。その結果、世界的に耐性が高まる傾向がさらに強まります。
さらに、医薬品耐性に関するオープンで透明性の高い監視体制の改善は遅れています。AMRの拡大を追跡する世界的な研究を前進させるため、監視プログラムの生データを公開して共有している企業は、今なおファイザー1社だけです。
前回のベンチマーク報告以降、AMR対策で最も進展を遂げたファイザーのような企業は、何が可能かを示しています。ジェネリック医薬品メーカーの貢献も、以前に比べて大幅に増えました。アウロビンドやシプラなど複数の大手インド企業は、自国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るい、従業員に負担がかかり、多くの医療製品の需要急増に応えるため生産拡大が求められるなかでも、AMR対策に注力し続けました。
ヘルスセキュリティの中核に薬剤耐性対策を
今求められているのは、あらゆる関係者の危機感を高め、連携を強化するとともに、ヘルスセキュリティの取り組みにAMRを確実に組み込むことです。世界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から得た教訓を心に留めなければなりません。
世界で最も貧しい人々がワクチン接種の列の最後尾に置かれた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンへのアクセスをめぐる容認できない不平等を、抗生物質耐性の克服にあたって繰り返してはなりません。LMICsで適切なアクセスを支援するために協力することは、必要とする人々に重要かつ有効な医薬品やワクチンを届け、最終的にAMRの世界的な拡大を防ぐために欠かせません。
抗菌薬耐性は将来の問題ではありません。すでに今起きている問題であり、薬剤耐性感染症により毎年推定75万人が死亡しています。同時に、医薬品へのアクセス不足により、治療可能な感染症で年間570万人が死亡しています。スーパーバグの増加と不十分な治療が組み合わさり、薬剤耐性を急激に拡大させかねない致命的な状況が生まれています。
この脅威への対処に何が必要かは分かっています。貧しい国々で不可欠な抗生物質を現地で入手しやすくする、実績のある手段があります。製品登録の拡大、段階的な価格設定、自主的なライセンス契約、技術移転、官民パートナーシップなどです。政府や産業界を含む複数セクターのパートナーが積極的に関与し、新たな形で連携して新製品の開発を速め、既存製品をより広く利用できるようにすれば、次の世界的な健康上の脅威に効果的に対処できます。
2016年1月、80社を超える企業が集まり、AMRに関するダボス宣言に署名しました。抗生物質の安定的で持続可能な供給を確保するためのより良い方法を開発することを約束し、各国政府に協力を呼びかけました。それ以来、AMRベンチマーク・プログラムでは、業界が望ましい方向へ大きく前進したことが確認されています。しかし、これまでの慎重な歩みを、今こそより野心的な取り組みに変え、私たち全員を守らなければなりません。
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