プラスチックごみが蚊の増加や人間の病気に直接結びついていることが、研究で明らかになっています。
マクロプラスチック汚染は、私たちの健康と地球に測定可能な大きな影響を及ぼします。
では、どれほど心配すべきなのでしょうか。私たちにできることは何でしょうか。感染症専門医が解説します。
近年の研究では、血流や肺を含む人体内にマイクロプラスチックが存在する証拠が見つかっています。しかし、プラスチックが人間の健康に影響を及ぼす経路はそれだけではありません。
ケニアで蚊が媒介するウイルス感染症(アルボウイルス感染症)を研究するなかで、デジレ・ラボー氏と共同研究者たちは、蚊がプラスチックごみから発生していることに気づきました。
「この研究は私を永遠に変えました」と、スタンフォード大学の感染症専門医、グローバルヘルス研究者、疫学者であるラボー氏は語ります。
「私たちは最近、非営利団体HERI-Kenyaを立ち上げました。プラスチック汚染危機への取り組みを目指し、地域社会への教育、新たな研究、政策の変更、そしてプラスチック汚染危機のような環境衛生問題に関する草の根の活動を促進しています」
ここでは、ラボー氏が、実際にどれほど心配すべきか、一人ひとりにできることなどを語ります。
質問:プラスチックが健康に及ぼす可能性のある影響を、実際にどれほど心配すべきでしょうか?
回答:大いに心配すべきです。現時点では、体内のマイクロプラスチックと特定の健康影響を結びつける直接的な証拠はありませんが、そうした影響は存在する可能性が高いでしょう。プラスチックは自然のものではありません。そもそも私たちの体の一部となることを想定して作られたものではないのです。
さらに、マクロプラスチック汚染が健康に及ぼす影響は測定可能で、重大です。私は、調査地でプラスチック廃棄物が病気を媒介する蚊を発生させる仕組みを研究しています。私たちは、プラスチックごみと蚊の増加や人間の病気との直接的な関連を確認できます。これに加えて、プラスチックは海洋の食物連鎖や持続可能性にも大きな影響を及ぼしています。
最後に、低所得国および低中所得国では、廃棄物の大半が焼却されています(サハラ以南のアフリカでは75%超)。したがってプラスチックは有害な大気汚染の一因にもなり、それが人間の健康を直接損なっています。
質問:プラスチックと健康の関連について、なぜ今になってようやく学び始めているのでしょうか?
回答:プラスチックが大量に使われるようになったのは、1950年代以降にすぎません。今では、あまりにも大量に存在し、地球に及ぼしている影響を無視することはできません。私たちの健康は地球の健康と深く結びついています。地球が病めば人も病み、地球が健やかなら人も健やかです。プラスチックはかけがえのない地球を傷つけ、その結果、私たち自身も傷つけています。
質問:この問題に対処するために、一人ひとりにできることは何でしょうか?
回答:プラスチックが浸透した世界で、できる限りプラスチックを使わない生活を目指しています。自分と家族のために、小さな選択をしています。密封用のプラスチック袋は使わない、ペットボトルの水は決して買わない、使い捨てプラスチックを使わない、プラスチックの使用を減らす、プラスチック製品は可能な限り何度も再利用する、プラスチック廃棄物を別の用途に活用する。こうした行動は時間とともに積み重なり、ほかの人にも同じように行動するよう促します。
同じように感じ、考える人たちと協力することには、大きな力があります。そうして、世界をより良くする変革を起こせるのです。私の好きな言葉の一つに、マーガレット・ミードの次の言葉があります。「思慮深く、献身的な市民の小さな集団が世界を変えられることを、決して疑ってはならない。実際、世界を変えてきたのは常にそのような人々なのだから」
質問:このニュースにひどく動揺している人にとって、パニックにならなくてもよい理由はあるでしょうか?
回答:恐怖をあおるのは嫌ですが、答えは「いいえ」と言わざるを得ません。使い捨てプラスチックを使うことに、決して安心しないでください。
最近、あるポッドキャストで、石油会社がプラスチックをリサイクル可能だと宣伝して私たちに売り込んだ際の嘘について聞きました。新品を作るほうが儲かるため、実際にはリサイクルするつもりなどなかったというのです。そのポッドキャストによると、こうした企業は今、より多くのプラスチックを選別して「リサイクル」するために、ある程度の取り組みを行う計画です。しかし、それでは問題は解決しません。
何十億ドル規模の産業に、もっと責任を果たすよう求め、自らの廃棄物を処理させる必要があります。これはプラスチック廃棄物にも電子廃棄物にも当てはまる問題です。拡大生産者責任をさらに強化しなければなりません。何十億ドルもの利益を上げている企業に、自らの後始末を強いる政策変更が必要です。私たちには変革が必要です。

