抗菌薬耐性への解決策となりうる、意外な組み合わせ

Colonies of E. coli bacteria grown on a Hektoen enteric (HE) agar plate are seen in a microscopic image courtesy of the U.S. Centers for Disease Control (CDC). File Photo - RC12C72AE570
Anti-microbial resistance presents a major threat to human health.Image: REUTERS
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薬剤耐性菌との闘いにおいて、MITの研究者らはプロバイオティクスとして知られる有益菌の助けを借りています。

最近の研究で、研究者らは抗生物質とプロバイオティクスを組み合わせて届けることで、創傷感染によくみられる2種類の薬剤耐性菌を根絶できることを示しました。これを実現するため、研究者らはプロバイオティクス菌をアルギン酸の保護殻で包みました。アルギン酸は生体適合性のある素材で、抗生物質によってプロバイオティクスが死滅するのを防ぎます。

「現在、抗生物質に耐性を持つ細菌は非常に多く、これは人間の健康にとって深刻な問題です。その治療法の一つは、生きたプロバイオティクスをカプセル化して、その役割を果たさせることだと考えています」と、MITのコッホ統合がん研究所の研究科学者であり、本研究の上級著者の一人であるAna Jaklenec氏は述べています。

Image: MIT News

動物やヒトを対象とした今後の試験で有効性が示されれば、プロバイオティクスと抗生物質の組み合わせを創傷用ドレッシング材に組み込み、感染した慢性創傷の治癒を助けられる可能性があると、研究者らは述べています。

デイビッド・H・コッホ研究所教授であり、コッホ研究所のメンバーでもあるRobert Langer氏も、10月17日に『Advanced Materials』誌に掲載された本論文の上級著者です。MITの元客員研究員であるZhihao Li氏が、本研究の筆頭著者です。

細菌の戦い

人体には数兆個の細菌細胞が存在し、その多くは有益です。場合によっては、これらの細菌が抗菌ペプチドやその他の化合物を分泌し、病原性の菌株を死滅させることで感染の予防に役立ちます。また、栄養素やその他の重要な資源を取り込むことで、有害な菌株を競争的に排除するものもあります。

Li氏によると、科学者たちはこれまでに慢性創傷へのプロバイオティクス応用を試みており、熱傷患者を対象とした研究では一定の成功を収めています。しかし、プロバイオティクスの菌株は通常、感染創に存在するすべての細菌に対抗することはできません。これらの菌株を従来の抗生物質と組み合わせれば、より多くの病原菌を死滅させられるものの、抗生物質はプロバイオティクスの細菌も死滅させてしまう可能性が高いのです。

MITのチームは、プロバイオティクスの細菌をカプセル化して抗生物質の影響を受けないようにすることで、この問題を回避する方法を考案しました。アルギン酸を選んだ理由の一つは、慢性創傷用のドレッシング材にすでに使用されており、分泌物の吸収と創部の乾燥維持に役立っているからです。さらに研究者らは、アルギン酸が細菌の集団が抗生物質から身を守るために形成するバイオフィルムの構成成分であることも発見しました。

「バイオフィルムの分子成分を調べたところ、緑膿菌感染においては、アルギン酸が抗生物質への耐性に非常に重要であることがわかりました」とLi氏は述べています。「しかし、これまでこの能力を利用して有益な細菌を抗生物質から守ろうとした人は誰もいません。」

本研究では、研究者らは市販されているBio-K+として知られるプロバイオティクスの一種をカプセル化することにしました。これは3種類の乳酸菌属の細菌から構成されています。これらの菌株は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を死滅させることが知られています。その正確な作用機序は不明ですが、病原体がプロバイオティクスによって生成される乳酸に感受性を持つことが一つの可能性として考えられています。もう一つの可能性は、プロバイオティクスが抗菌ペプチドやその他のタンパク質を分泌し、病原体を死滅させるか、バイオフィルムを形成する能力を妨げるというものです。

研究者らは、カプセル化されたプロバイオティクスを、トブラマイシンと呼ばれる抗生物質とともに投与しました。この抗生物質は、他の試験された抗生物質の中から選ばれたもので、創傷感染によくみられるもう一つの菌株である緑膿菌を効果的に死滅させるという理由からです。実験皿で増殖させたMRSAと緑膿菌を、カプセル化されたBio-K+とトブラマイシンの組み合わせにさらしたところ、すべての病原菌が死滅しました。

「非常に劇的な効果でした」とJaklenec氏は述べています。「細菌を完全に根絶したのです。」

カプセル化されていないプロバイオティクスを用いて同じ実験を行った際には、プロバイオティクスは抗生物質によって死滅し、MRSAは生き残りました。

「抗生物質かプロバイオティクスのどちらか一方だけを使用した場合、すべての病原体を根絶することはできませんでした。これは、異なる細菌が存在する創傷があり、抗生物質だけではすべての細菌を死滅させるのに不十分な臨床現場においては、非常に重要なことになりえます」とLi氏は述べています。

創傷治癒の改善

研究者らは、このアプローチを用いて、抗生物質とアルギン酸でカプセル化されたプロバイオティクスを組み込んだ、新しいタイプの絆創膏やその他の創傷用ドレッシング材を開発できると構想しています。それが実現する前に、動物、そしておそらくはヒトを対象として、このアプローチをさらに試験する予定です。

「アルギン酸の利点は、FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けていることであり、私たちが使用しているプロバイオティクスも同様に承認されています」とLi氏は述べています。「プロバイオティクスは将来、創傷治療に革命をもたらすものになりうると考えています。本研究により、プロバイオティクスの応用の可能性が広がりました。」

2016年に発表された研究では、研究者らはプロバイオティクスを、アルギン酸と、キトサンと呼ばれる別の多糖類の層でコーティングすることで、消化管内で分解されるのを防げることを示しました。これにより、経口投与されるプロバイオティクスによる疾患の治療や消化の改善方法の開発に役立つ可能性があります。もう一つの潜在的な応用例は、抗生物質による治療後に腸内細菌叢を補充するためにこれらのプロバイオティクスを用いることです。抗生物質は感染を治療すると同時に、有益な細菌も死滅させてしまうことがあります。

本プロジェクトに対するLi氏の研究は、スイスのJanggen-Poehn財団ならびにBeatrice Beck-Schimmer氏およびHans-Ruedi Gonzenbach氏の支援を受けています。

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