欧州と米国では、プラスチック業界がコロナウイルス汚染の脅威を利用し、使い捨てプラスチックの禁止に反対する動きを強めてきました。
持続可能な行動を促すうえで最大の課題の一つは、古い習慣を断ち、新たな習慣を身につけることだと研究で示されています。
米国の環境活動家でソーシャルメディアのスターでもあるローレン・シンガーは、8年間、ごみを一度も埋め立て処分に出したことがありませんでした。しかし先月、熱のこもった投稿をInstagramのフォロワー38万3,000人に向けて発信し、COVID-19の現実によって状況が変わったと認めました。
自分の価値観を曲げて、プラスチック包装の商品を買ってしまいました。それも大量に。ニューヨーク市(NYC)のリサイクルでは再資源化できない、あるいはどこでも再資源化できないと分かっているプラスチックです……自分が積極的に優先し、広めてきたことに、なぜ反することをしてしまったのでしょうか。
シンガーは、COVID-19の深刻さが明らかになるにつれ、長期間自宅に閉じこもることになった場合に必要なものを買いだめしたと書いています。その多くはプラスチック包装でした。
彼女の告白は、廃棄物を減らそうとしている私たちがパンデミックによってどのような難題に直面しているかをよく表しています。持続可能性を重視する多くの人も今や、手指消毒剤のプラスチックボトル、使い捨てワイプ、テイクアウト用食品容器を戸棚いっぱいに抱えているかもしれません。
なぜこうしたことが起きているのか、そしてどう対処すればよいのかを考えてみましょう。
持続可能性への配慮が後回しに
私たちは、消費者が変化にどう反応するかを研究しています。たとえば、使い捨てプラスチック製レジ袋の禁止に消費者の多くが強く抵抗した理由などです。最近は、コロナウイルスによってレジ袋や容器、その他の使い捨て製品の使用がどう変わったかを調べてきました。
パンデミック中の健康と衛生への懸念はもっともなものですが、そのなかで使い捨てプラスチックの問題は後回しになっています。
たとえば、Colesの宅配サービスでは、商品をプラスチック袋に入れて届けています(再利用可能な袋ではあります)。また、多くのコーヒーショップが再利用可能なマグカップの使用を禁止しており、世界各地のスターバックス店舗も含まれます。
レストランなどの飲食店が提供できるのは、現在、宅配かテイクアウトに限られています。多くの店は客の持参容器を認めず、使い捨て容器を標準としているため、プラスチック廃棄物が発生します。そのため、プラスチック廃棄物を減らしたいと思っていても、減らせない消費者が大勢います。
使い捨てワイプ、洗剤、手指消毒剤、使い捨て手袋、マスクなどの需要は過去最高に達しています。残念ながら、これらも前例のない量が廃棄されています。
さらに、コロナウイルスの感染拡大を防ぐ必要があるため、大量の医療廃棄物が発生しています。たとえば、病院や高齢者介護施設には、COVID-19患者の医療廃棄物を二重に袋詰めするよう助言されています。これは必要な措置ですが、プラスチック廃棄物の問題を悪化させます。
希望の兆し
持続可能性やリサイクルへの取り組みは続いています。軟質プラスチックのリサイクル業者Red Cycleは引き続き稼働しています。しかし、学校や自治体の建物など、軟質プラスチックの回収拠点の多くは閉鎖され、一部のスーパーマーケットは回収ボックスを撤去しました。
ブーメラン・アライアンスのPlastic Free Placesプログラムは、COVID-19下のカフェやレストラン向けガイドを公開しました。使い捨てプラスチックを避ける方法や、利用できる堆肥化可能な包装の代替品を紹介しています。
このガイドが指摘するように、「来年には新型コロナウイルスが過去のものになっていることを願いますが、プラスチック汚染はなくなりません。それまでの間に、プラスチック廃棄物やごみを増やさないことが大切です。」
古い習慣を変えるのは難しい
米国では、プラスチック業界のロビイストが健康への不安につけ込み、使い捨てプラスチック袋は再利用可能な袋より衛生的だと主張しています。その後、米国やその他の地域ではレジ袋禁止措置が撤回されました。
しかし、レジ袋のほうが安全だと示す証拠はほとんどなく、少なくとも再利用可能な布袋は洗うことができます。
たとえ一時的であっても、レジ袋禁止措置を緩和すれば、消費者の行動に長期的な影響を及ぼす可能性があります。持続可能な行動を促すうえで最大の課題の一つは、古い習慣を断ち、新たな習慣を身につけることだと研究で示されています。人々が再びレジ袋を使い始めると、その習慣はまた当たり前になってしまいます。
欧州では、プラスチック業界がコロナウイルス汚染の脅威を利用し、使い捨てプラスチックの禁止に反対する動きを強めています。対象には食品容器やカトラリーなどがあります。
プラスチックを「保護的な」衛生用品として捉え直すと、環境に及ぼす危険から注意がそれる可能性があります。先行研究と私たちの予備的な調査結果は、環境に配慮した行動を促すうえで、こうした意味づけが重要であることを示唆しています。
多くの人が自宅で過ごす時間を使って、不要になった品物を整理しています。しかし、中古品店や慈善団体の店の大半は閉まっているため、次の人に使われるはずだった品物が埋め立て地行きになっています。
同様に、多くの工具、本、おもちゃの貸し出し施設も閉鎖されており、本来なら借りられたはずの品物を購入する人もいるでしょう。
できること
COVID-19危機が過ぎれば、環境問題への関心は再び前面に戻るでしょう。それまでの間は、手元にあるものを再利用し、寄付やリサイクルに回せる品物は捨てずに保管するようにしましょう。
テイクアウト店に自分の容器を使えるか相談し、配達時には使い捨てカトラリーやナプキンを断りましょう。持ち帰り用カップでコーヒーを買う代わりに、自宅でコーヒーをいれる腕を磨く時間にしましょう。また、段ボール箱や生分解性の袋など、より持続可能な配達用包装を提供する食料品販売業者を探しましょう。
何よりも、パンデミック中にレジ袋禁止などの環境保護策が骨抜きにされる動きがないか注意し、懸念を政治家に伝えましょう。




