ブタからヒトへの腎臓移植が成功。知っておきたいこと

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What are the ethics and efficacy of pig to human transplants?Image: via REUTERS
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  • ニューヨーク大学ランゴン移植研究所の外科医が、遺伝子改変ブタをドナーとして用いたブタの腎臓移植手術に成功した。

  • これは、移植を待つ数万人の命を救うための画期的な一歩だ。

  • しかし、異種移植の倫理と有効性をめぐっては、未解決の問題が依然として数多くある。より大規模で長期にわたる臨床試験が必要となる。

今週初め、 ニューヨーク大学ランゴン移植研究所の外科医が、ブタの腎臓移植手術に成功した。このこと自体は特筆すべきことではない。何がこの成果を前例のないものにしているのかといえば、ドナーが遺伝子改変ブタであることだ。

手術から数日が経過した時点で、実験的な処置に家族が同意した脳死患者である移植を受けた人は腎臓を拒絶しておらず、検査では正常に機能していることが示されている。この驚くべき成果は、生物システムを科学的に制御できることを示すとともに、移植を待つ人々に希望の光をもたらす点でも重要だ。

異種間の臓器移植:ブタ、CRISPR、免疫

臓器移植に他の種を用いるという考えは新しいものではない。ブタの心臓弁は50年以上にわたり使われてきた。しかし、臓器全体の移植にはいくつもの課題があり、なかでも拒絶反応のリスクが大きい。体が移植臓器を破壊すべき侵入者とみなし、その臓器を攻撃する免疫反応が起きるためだ。拒絶反応の引き金は完全には解明されていないが、異種移植における最大の障壁の一つは、α-Galと呼ばれる分子だ。これは、直ちに大規模な免疫反応を引き起こす糖質である。

これに対処するため、科学者たちは強力な遺伝子工学ツールであるCRISPRを使い、ブタのゲノムを改変してα-Galを生成しないようにした。CRISPRが登場してから10年も経っていないが、ゲノムの特定の部分を正確に「切り貼り」できるその能力は、COVID-19ワクチンの開発を含む生物学の多くの分野ですでに画期的な進展をもたらしている。

臓器ドナー:需要が供給を上回る

現在、米国では10万人を超える人々が臓器提供を待っており、そのうち83%、約9万1,000人が腎臓を必要としている。米国民の54%が臓器ドナーとして登録しているものの、臓器を利用できるのは死亡例の1%未満であり、供給は常に需要を下回る。

そのため、腎臓移植を待つ期間は、血液型、地理的な場所、病状の重さ、免疫系の活動などによって、4カ月から6年に及ぶことがある。待機リストに載る人の多くは、血液透析によって血液を浄化しなければならない。生きるためだけに、透析施設へ通い、週3回、1日4時間、機械につながれることになる。透析を受ける期間が長くなるほど、腎臓移植が成功する可能性は低くなる。透析では損傷した臓器の機能を部分的にしか補えないためだ。

ドナー不足は世界的な健康課題

毎年、移植を待つ間に5,000人が死亡し、さらに5,000人が健康状態の悪化により移植を受けられなくなって待機リストから外される。その結果、移植リストに登録された人のうち、適時に腎臓移植を受けられるのはわずか65%だ。今回の進展は、大きな転機となる可能性がある。

ブタの腎臓移植の倫理と有効性

しかし、私たちの必要に合わせて他の種を改変することの倫理について、難しい問いが浮上するだろう。また今回の出来事をきっかけに、ブタや他の動物が現在どのような環境で飼育されているのかについて、議論がさらに深まる可能性もある。異種移植の有効性をめぐっても、未解決の問題は依然として数多くある。ブタの腎臓をヒトに移植することで、人命を救えるのだろうか。答えを出すには、より大規模で長期にわたる臨床試験が必要となる。

とはいえ、このブタの腎臓移植の実証が持つ意義を過小評価すべきではない。移植を待つ数万人の命を救うための画期的な一歩であり、臓器不足のために移植の対象にすらなれない腎不全患者50万人のことも忘れてはならない。また、バイオテクノロジーがより広く活用されれば、数百万人の健康状態を改善できる可能性も示している。

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