IMFとGoogleの移動および行動に関するデータによると、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中、身体的または社会的距離の確保は減少している。
その理由としては、パンデミック疲れのほか、家族や友人に会いたいという思いなどが挙げられる。
人口統計学的集団によって順守状況に違いがあり、女性は男性よりも一貫して身体的距離の確保をより多く実践していると報告している。
今年初めには、厳格なロックダウンと、新型コロナウイルス感染症の深刻度や感染経路に関する不確実性から、身体的距離の確保策が世界中で広く採用された。しかし、夏にかけて感染拡大が収まり、ロックダウンが緩和されると、人の移動を追跡する指標の例として、Google コミュニティ モビリティ レポートなどでは、他者との距離を保つ行動の順守が緩み始めたことが示された。当研究チームが継続的に実施している調査によると、移動の増加に伴い、多くの先進国および新興国において、新型コロナウイルス感染症への推奨行動の多くについて、自己申告による順守率が大幅に低下したことが明らかになっている。
多くの人々は、ウイルスの拡散を抑えるために推奨される行動と、職場復帰の必要性とのバランスを取ろうとしていた。
Era Dabla-Norris、Frederico Lima、Hibah Khan
9月までのデータを見ると、新型コロナウイルス感染症の推奨行動の順守率のこうした緩やかな低下は、夏の初めに各国政府が制限的なロックダウンを緩和し、小売店、飲食店、サービス業のその他の事業者の再開を認めた後に続いて起きたようだ。また、順守率の低下は、新型コロナウイルス感染症の規制に対する疲労感や慢心を反映している可能性もある。特に、低下の大部分が若年層およびその他のリスクの低い層で報告されていることからもそれがうかがえる。
しかし、証拠によると、多くの人々は、ウイルスの拡散を抑えるために推奨される行動と、職場復帰、家族の世話、社会的接触の維持の必要性とのバランスを取ろうとしていた。この傾向は、自己申告による行動の動向の違いにも表れている。例えば、平均して、3月および4月と比べて9月には、小規模な社交的集まりに参加したと報告する人が増え、在宅勤務をした人は減少していることがわかった。これに伴い、特に公共の場でのマスク着用が当初一般的ではなかった国々において、マスク着用率が大幅に上昇したと報告されている。
興味深いことに、新型コロナウイルス感染症への推奨行動の順守には、人口統計学的集団によって大きな違いがある。例えば、女性は、就業状況、世帯人数、子どもの数を考慮しても、男性よりも一貫して身体的距離の確保を多く実践していると報告している。これは、女性は男性よりもリスク回避的であるという調査結果とも一致する。高齢者やその他のリスクの高い集団も同様であった。新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応を信頼している人々も、推奨行動を採用する傾向がより高かった。
政府の対応に対する信頼は、複数の国で低下しているようだ。特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大がより深刻だった国々でその傾向が顕著である。信頼の低下と順守率の低下が重なると、今後数か月間、多くの国が新たな感染拡大の可能性(一部の国では既に現実となっている)に直面する中で、課題が生じる可能性が高い。


