自然は復活するのか? いや、新型コロナウイルスのパンデミックが世界の野生生物を脅かしている

Lemurs of Madagascar live in an easily exploitable habitat.Image: Photo by Juan Camilo Guarin P on Unsplash
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  • 人間の活動が減り、世界各地で野生生物が繁栄しているという明るい兆しが見られる一方、収入の減少により、環境を搾取する人々も出ている。

  • 野生動物や魚、森林の樹木は、所有者がいないことが多く、警察による取り締まりが難しい農村部に生息・分布している。

新型コロナウイルスのパンデミックには明るい話題があまりないが、その一つは、現代生活の慌ただしいペースが落ちるなか、自然が戻ってきたように見えることだ。澄んだ水が戻ったベネチアでは魚を食べる鳥が見られ、ベルガモの街路ではイノシシが歩き回っている。もちろん、野生化したランドゥドノーのヤギもいる。

英国では、野生生物にとって豊かな春と夏になりそうだ。道路を走る車が減れば、ロードキルも減り、飼い主が猫を屋内で飼うと決めれば、多くの鳥やハタネズミが命を救われる。町や都市では、自治体も公園や道路脇の草刈りがそれほど必要ではないと気づき、野花がきっと咲き誇るだろう。自然は復活しつつあるようだ。

残念ながら、これは全体像の一部にすぎず、工業化された国々という少数派の世界に限られた話だ。世界の生物多様性の大半は、グローバル・サウスの低所得国や新興経済国に集中しており、そうした場所では、パンデミックの経済的影響が自然界に壊滅的な打撃を与える可能性が高い。

違いを生むのは、人々が生計を失うという経済的ショックにどう対応するかだ。多くの先進工業国の経済には社会的セーフティーネットが広く整備され、貧困層や弱い立場にある人々が困窮しないよう支えている。パンデミックのさなか、福祉国家の重要性はかつてないほど明らかになった。たとえば英国では、政府の一時帰休制度により、働けない人々は所得の80%を受け取れる。一方、低所得国の多くの市民には、政府からのこうした支援がなく、きわめて脆弱な立場に置かれている。多くの人にとって、森と海がセーフティーネットとなる。

野生化したヤギがウェールズの町、ランドゥドノーに戻ってきた。Image: ロイター/カール・レシーン

天然資源の搾取は、困窮した人々にとって唯一の選択肢であることが多い。野生動物や魚、森林の樹木は、所有者がいないことが多く、警察による取り締まりが難しい農村部に生息・分布している。さらに、それらを利用するうえで技術的な障壁はほとんどない。斧を振るうのに学位は必要ないのだ。だから、何もかも失った人々も、森で食べ物や売るものを見つけることができる。

私は、キツネザルをはじめとする独特な生き物が豊富である一方、世界でも最貧国の一つでもあるマダガスカルで、10年間暮らしながらこの状況を目の当たりにした。私の研究によると、気候変動に起因する自然災害でマダガスカルの人々が収入源を失うと、生計を立てるために天然資源に頼ることが多い。干ばつに苦しむ農家は、森林に入り、木炭を生産したり、「焼畑農業」を行ったりする。また、海岸へ出て漁をする人々もいるが、必要な技能や設備がないため、毒を使った漁など、環境を破壊する手法に頼っている。その影響は生物多様性にとって壊滅的なものになりかねない。

少なくとも短期的には、新型コロナウイルスのパンデミックは気候変動以上に人々の生計を脅かしている。2008年の前回の金融危機後、カメルーンでは失業した労働者が収入を維持しようと必死になり、密猟や森林破壊に走った。同じことが今、世界中で起きているだろう。

ここインドでは、都市で職を失った何百万人もの出稼ぎ労働者が家族の暮らす村に戻った。これは1947年の分離独立以来、見られなかった規模の人々の移動だ。同様のことはマダガスカルでも起きており、アフリカ全土、そしておそらく熱帯地域の大部分でも起きている。前例のない農村への大移動がどのような影響をもたらすかは誰にも分からない。しかし、数週間前よりも貧しく、空腹で、利用可能な野生生物の近くにいる人が大幅に増えることは明らかだ。

同時に、かけがえのない自然地域の監視と管理も大きく弱まっている。政府が公衆衛生への対応に追われるのは当然であり、そのため農村部では法執行が弱まっている。さらに、世界的な観光の停止により、何千もの保護区で資金源が断たれ、密猟を防ぐための監視やその他の活動に必要な運営予算がなくなっている。

さらに深刻なのは、観光収入が長期にわたり減少すれば、野生生物の近くに暮らす人々の行動を促す動機が大きく変わる可能性があることだ。アフリカの公園や保護区の周辺では、何百万人もの人々が動物と共存しているが、常に調和が保たれているわけではない。野生動物は、農作物を荒らし、家畜を襲い、人を殺すことさえある。観光収入は、地元住民が負担する費用の一部を補い、自然保護に取り組む動機を与えることができる。しかし、訪問客が戻らなければ、この脆弱な共存関係は続かないかもしれない。

西洋の都市で大胆になった野生生物が、この暗い時期に喜びをもたらし、自然の回復力を思い起こさせてくれるとしても、一時的な経済活動の停滞によって世界の野生生物が救われるわけではない。それを実現するには、パンデミック後の世界で自然保護を最優先課題にする必要がある。

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