個別化医療と、より良好な集団の健康状態を実現するには?デジタル技術が果たす役割

A doctor uses a smartphone to take a photo of a child with facial deformity before surgery at the Vietnam Cuba hospital in Hanoi November 18, 2014. As many as 300 multinational medical volunteers from Operational Smile, a worldwide children's charity, will provide free cleft surgery to over 1,000 children from November 17 to November 25, according to its press release. The charity will also commemorate its 25th anniversary mission to Vietnam in November at six sites simultaneously in Hanoi, Ho Chi Minh City, Hue, Da Nang, Nha Trang and Bac Lieu, it said in a statement. REUTERS/Kham (VIETNAM - Tags: HEALTH SOCIETY) - GM1EABI1JZ101
Cutting-edge technologies can transform the way we reach and treat patients around the globeImage: REUTERS/Kham
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  • テクノロジーの進歩により、個別化医療と集団の健康状態の最適化が近づいています。

  • しかし、医療における新興技術やデジタルイノベーションの活用には、戦略性が求められます。

  • 研究開発から製造、製薬企業の経営幹部に至るまで、医療のあらゆる分野が「人間+機械」の現実を受け入れ、イノベーションに向けて協力しなければなりません。

2019年11月、イタリア人外科医が仮想現実ヘッドセットを使い、ローマにいる自身の場所から100キロメートル以上離れたテルニの手術室へと移動しました。目的は何だったのでしょうか。リアルタイムで行われている腹腔鏡手術を見守ることでした。5Gの低遅延のおかげで、医師は患者の臓器のライブ映像を見て拡大し、手術室にいる医師たちにリアルタイムで解説することができました。これは現代医療にとって画期的な出来事であり、最先端技術が世界中の患者に医療を届け、治療する方法を変える可能性を示しました。

このようなイノベーションはますます一般的になっており、予防や診断から治療、その先に至るまで、テクノロジーが世界中の患者をケアする方法を変えることは明らかです。業界として、私たちは個別化医療と集団の健康状態の最適化という、非常に野心的でありながら重要な二つの目標に近づいています。しかし、この目標に向かうなかで、事業のあらゆる側面にデジタルイノベーションを戦略的に適用するよう注意を払わなければなりません。

例えば、デジタル技術は研究開発と製造のあり方を根本から変える可能性を秘めています。

絶え間なく進化する研究開発:先日、マサチューセッツ州ケンブリッジの研究所を訪れました。そこではロボットが24時間稼働し、一度に200種類のタンパク質を合成していました。少し前までは、人間がすべてのタンパク質の合成を担当し、はるかに多くの時間を要し、ミスが起きる機会も増えていたでしょう。テクノロジーを取り入れて時間のかかる反復作業を担わせ、人間がより複雑で付加価値の高い仕事に取り組めるようにする。こうした光景は、創薬の研究開発段階でますます一般的になっています。世界中の科学者がデジタル化を活用し、その結果、病気への理解を深め、画期的な発見により早く到達できるようになっています。最終的に、その恩恵を受けるのは患者です。

スマート製造:もちろん、治療法をより迅速かつ効率的に開発することは、必要とする患者に適切な医薬品を届けるための第一歩にすぎません。現在私たちは、需要量や複雑さの要件に対応しきれないことが多い既存の製造システムを改善する動きの、まさに始まりにいます。最先端技術を活用し、データを利用して効率性を高め、急速に変化する患者のニーズに応えるために必要な俊敏性を向上させることで、「スマート」工場は製造・流通プロセスを研究開発と結びつけます。同様に、工場では製造工程を迅速に切り替えられるため、製品間の移行時間が大幅に短縮され、命を救う治療法の商業化をより効率的に進める道が開かれます。こうした施設の生産性は最大で160%向上し、工場の生産量を200%増加させ、コストを最大40%削減できます。同じく注目すべき重要な点として、スマート工場は排出量を削減し、汚染を抑え、環境への損害を軽減することで、エネルギー効率を50%高めています。

この二つの分野で卓越性を実現するには、製薬業界がデジタル技術の成功に必要な基盤を築かなければなりません。これには、市場で最も目を引く技術を個別に導入するのではなく、全社的なデジタル化を進めることが含まれます。その基盤を築くために、四つの取り組みが必要です。第一に、製造部門や研究室だけでなく、あらゆる部門の従業員を再訓練し、新しいテクノロジーとともに働くためのスキルを身につけてもらう必要があります。これと並行して、工場の現場から経営幹部に至るまで、従業員が従来の働き方を「手放し」、「人間+機械」の現実を受け入れられるよう支援しなければなりません。

第三に、これら二つの取り組みには、従業員に変化についての情報を伝え続け、第四次産業革命への不安を払拭するための、強力な従業員エンゲージメント活動が必要です。最後に、協働をイノベーションへの新たな道筋として評価する、業界全体の考え方を受け入れる必要があります。イノベーションの場において、新たなオープンな対話とパートナーシップを築かなければなりません。データなどの重要なツール、新しいツール、スタートアップ企業による試験導入から得られた教訓を共有し、協力することができなければ、誰もが損をします。反対に、これらすべてを実行すれば、患者をはじめ、皆が恩恵を受けます。

もちろん、こうした取り組みは、医療の未来に向かう道のりで業界として直面する課題の表面をなぞるにすぎません。しかし、社員が成功するための力を身につけ、デジタルを活用する企業の基盤を築くことに注力すれば、デジタル化は患者を支援する方法に革命をもたらし、業界を変革するでしょう。

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