LGBTの女性はがん治療において格差に直面している。その理由とは

Huang sits on a bed in her room at the accommodation where patients and their family members stay while seeking medical treatment in Beijing, China, June 22, 2016. Huang, who suffers from rectal cancer, came from Inner Mongolia to seek treatment at a specialist hospital in Beijing. REUTERS/Kim Kyung-Hoon SEARCH "HOSPITAL ACCOMMODATION" FOR THIS STORY. SEARCH "WIDER IMAGE" FOR ALL STORIES. - D1BEUEBQCLAA
Cancer poses a particularly dangerous threat for members of the LGBT community.Image: REUTERS/Kim Kyung-Hoon
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アメリカ人の3人に1人は、生涯のうちにがんと診断されることになる。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人々の健康格差を研究しているボストン大学公衆衛生大学院の研究者、ウルリケ・ボーマー氏は、がんはLGBTコミュニティの人々、特に女性にとって、とりわけ危険な脅威となると指摘する。

ボーマー氏は、コミュニティ保健学の准教授として、がん治療後のケアは再発の防止、初期の警告兆候の発見、がん治療による長期的な影響のスクリーニングのために極めて重要であり、これらの調査結果は特に憂慮すべきものだと述べる。その結果はどうか。LGBの女性は、がん治療後の身体的および精神的な生活の質が低いのだ。

ボーマー氏の研究は、学術誌Cancerに掲載されたものである。LGBTの人々は医療現場で数多くの課題に直面し、スティグマ、差別、無神経な扱いを受けることも少なくないことを示す証拠が増えつつあり、本研究はそれを裏付けるものである。特にLGBTコミュニティにとって、がんは数多くの脅威をもたらす。全国平均と比べて、LGBTを自認する人々は肥満、喫煙、飲酒の割合が著しく高く、いずれもがんの既知のリスク要因である。さらに、生物学的な子どもを一度も持たない女性は乳がんのリスクが高まる。異性愛者の女性と比べて、レズビアンの女性は3倍、バイセクシャルの女性は2倍、生物学的な子どもを持たない可能性が高い。

これらのがんリスクが重なっているにもかかわらず、LGBTの人々とがんに関するデータは著しく不足しており、ボーマー氏は1990年代初頭からこの問題を研究している。

「とても若くして乳がんと診断された、レズビアンの親友がいました」とボーマー氏は話す。HIV/エイズと乳がんの啓発運動が最盛期を迎えていた時期に、ボーマー氏はLGBTの健康に研究の焦点を定めるようになった。

ケアへのアクセス

最新の研究でボーマー氏は、米国疾病対策センターの行動危険因子サーベイランスシステムの調査データを分析したが、そのデータは2014年から2017年の間に収集されたものである。

研究対象者は、次の2つの調査質問に「はい」と答えた人を選び出して抽出した。「皮膚がん以外のがんと診断されたことがありますか」、そして「あなたは異性愛者、ゲイ、レズビアン、バイセクシャルのいずれだと自認していますか」。研究は、シスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と自認する性別が一致する人)に焦点を当てた。トランスジェンダーやジェンダー非適合の人々は、研究基準を満たす人数が適切な分析を行うには不十分だったためである。

この基準を用いて、ボーマー氏は70,524人のがんサバイバーを特定した。その内訳は、米国35州とグアムのLGBの参加者1,931人を含み、LGBの男性782人、LGBの女性1,149人であった。LGBグループの結果を他の調査参加者と比較したところ、ボーマー氏はLGBの女性と男性の両方がケアへのアクセスが乏しく、その結果、身体的および精神的な生活の質が低下していること、特に女性においてその傾向が顕著であることを確認した。

結果の分析についてボーマー氏は、「LGBの女性が最も不利な立場に置かれていた」と述べる。さらに、「このデータは、医療へのアクセスと保護の恩恵が得られるようになった時期に収集されたものである」にもかかわらず、という状況にあることも指摘する。これは、医療費負担適正化法(オバマケア)と婚姻の平等の成立を指している。

格差の理由は?

ボーマー氏によれば、LGBTの女性(男性も同様である)は、健康保険を提供しない仕事に就いている可能性が高く、保険に加入していても、自己負担金を支払えないなど、他の経済的障壁に直面している可能性が高い。自己負担金が払えないことで、がん患者が医師のフォローアップを受けられなくなることもある。

また、ボーマー氏は、LGBTの経験に関するがん専門医の知識不足もあり、そのために患者が医療制度に再び関わることをためらうことがあると述べる。さらに、医師は通常、患者に性的指向について尋ねないため、その情報は完全に欠落するか、患者が自ら開示しなければならない状況にある。性的指向に関するこのようなコミュニケーションの欠如は、LGBTの患者を不利な立場に置くことになる。医療提供者が患者のニーズや、意思決定に影響を与える価値観について十分な情報を持っていないため、患者中心のケアを受けられていないからである。「患者中心のケアこそ、質の高い医療を提供するという目標である」と同氏は説明する。

「今日に至るまで、性的指向のデータは一貫して収集されていない」とボーマー氏は述べる。

過去と現在の政治

ボーマー氏の友人は最終的にがんを克服したが、他の多くのLGBTの女性はそうではなかった。「乳がん運動には、この問題に注目を集めた多くのレズビアンの活動家が参加していた」と同氏は話す。

黒人フェミニストであり、レズビアンで、受賞歴のある詩人であり、The Cancer Journalsの著者であるオードリー・ロード氏は、LGBTの乳がんサバイバーの初期の擁護者であった。ボーマー氏が研究を始めたのと同時期に、ロード氏は乳がんに対する政治的対応の枠組みを示し、1992年にがんで死去する前に政治的行動を求めた。ボーマー氏は、ロード氏の考えと、それが数十年経った今も重要である理由について、2016年に社説として、LGBT Health誌に寄稿した。

過去20年間で、性的指向を含む国の健康データはわずかに改善したものの、ボーマー氏は、多くの点で米国は今この問題で後退していると述べる。宗教を理由に治療を拒否することを医師に認める考えを支持する医療政策によって、LGBTの人々へのケアの障壁はさらに悪化している。

「宗教的信条を理由に医師がLGBTの人々の治療を[拒否する]ことが可能であれば、LGBTの人々が医療制度の中で安心して過ごすことは、さらに難しくなるかもしれない」と同氏は話す。

トランプ政権も、個人の性的指向や性自認を含むデータ収集を縮小しようとしてきた。

「LGBTコミュニティにおけるがんの発症率とがんによる死亡率の実態を示すデータが必要である」とボーマー氏は述べる。「レズビアンやバイセクシャルの女性の間で乳がんの発症率が高く、ゲイやバイセクシャルの男性の間でもがんの発症率が高いことを示す証拠が増えつつある」。

データの欠如についてどの程度懸念しているか。「私たちが認識していない流行が起きている可能性がある」と同氏は話す。

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