長寿の鍵となる可能性がある遺伝子

An old couple sitting on a bench looking at a mountain range
Species that live longer tend to have low expression of genes involved in energy metabolism and inflammation.Image: Unsplash/Matt Bennett
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  • ロチェスター大学の生物学者によると、遺伝子発現を制御する2つの調節システムが、寿命の長さを左右する重要な要因とみられています。

  • 長寿の種では、エネルギー代謝や炎症に関わる遺伝子の発現が低く、DNA修復やRNA輸送に関わる遺伝子の発現が高い傾向があります。

  • 規則正しい睡眠習慣を保ち、夜間の光への曝露を避けることで、エネルギー代謝や炎症に関わる遺伝子の発現が抑えられ、寿命が延びる可能性があります。

自然選択によって、老化の速度が大きく異なる哺乳類が生まれてきました。例えば、ハダカデバネズミとマウスを比べてみましょう。前者は最長41年生きることができ、マウスのような同程度の大きさのげっ歯類のほぼ10倍の長寿です。

寿命が長いのはなぜでしょうか。ロチェスター大学の生物学者による新たな研究によると、その謎を解く鍵の一つは、遺伝子発現を調節する仕組みにあります。

研究者らは、Cell Metabolism誌に発表した論文で、寿命に関係する遺伝子を調査しました。その結果、これらの遺伝子に特有の性質を明らかにし、遺伝子発現を制御する2つの調節システム、すなわち概日ネットワークと多能性ネットワークが、長寿にとって重要であることを示しました。

この発見は、長寿がどのように進化するかの理解に役立つとともに、老化や加齢関連疾患に対抗するための新たな標的を示すものです。

研究者らは、最長寿命が多様な26種の哺乳類について遺伝子発現パターンを比較しました。対象は、寿命が2年のトガリネズミから41年のハダカデバネズミまでに及びます。種の最長寿命に関連し、長寿と正または負の相関を示す遺伝子を数千個特定しました。

長寿の種では、エネルギー代謝や炎症に関わる遺伝子の発現が低く、DNA修復、RNA輸送、細胞骨格(微小管)の構成に関わる遺伝子の発現が高い傾向があることが分かりました。

研究者らによる以前の研究では、DNA修復の効率が高いことや炎症反応が弱いことなどが、寿命の長い哺乳類の特徴であることが示されています。

寿命の短い種では逆の傾向が見られ、エネルギー代謝や炎症に関わる遺伝子の発現が高く、DNA修復、RNA輸送、微小管の構成に関わる遺伝子の発現が低い傾向がありました。

研究者らがこれらの遺伝子の発現を調節する仕組みを分析したところ、主に2つのシステムが関与していることが分かりました。寿命に負の影響を与える遺伝子、すなわちエネルギー代謝や炎症に関わる遺伝子は、概日ネットワークによって制御されています。つまり、これらの遺伝子の発現は一日の特定の時間帯に限られており、それによって長寿の種では遺伝子全体の発現が抑えられている可能性があります。

つまり、寿命に負の影響を与える遺伝子については、少なくともある程度、私たちが制御できるということです。

「長生きするには、規則正しい睡眠習慣を保ち、夜間の光への曝露を避ける必要があります。そうしないと、寿命に負の影響を与える遺伝子の発現が増える可能性があるからです」と、ロチェスター大学の生物学・医学教授、ベラ・ゴルブノワ氏は述べています。

一方、寿命に正の影響を与える遺伝子、すなわちDNA修復、RNA輸送、微小管に関わる遺伝子は、多能性ネットワークと呼ばれる仕組みによって制御されています。多能性ネットワークは、加齢に伴って無秩序になるDNAを再編成することで、体細胞(生殖細胞以外のすべての細胞)を、より容易に若返りや再生を行える胚細胞へとリプログラミングする働きに関わっています。

「進化が多能性ネットワークを活性化させ、寿命を延ばしてきたことを発見しました」とゴルブノワ氏は述べています。

多能性ネットワークと寿命に正の影響を与える遺伝子との関係は、「長寿がどのように進化するかを理解するうえで重要な発見です」と、生物学・医学教授のアンドレイ・セルアノフ氏は述べています。

「さらに、この発見は、寿命に正の影響を与える重要な遺伝子を活性化する、新たな老化対策の道を開く可能性があります」とセルアノフ氏は述べています。「効果的な老化対策では、寿命に正の影響を与える遺伝子の発現を高め、負の影響を与える遺伝子の発現を抑えることが必要になると考えられます。」

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