科学者は細胞工学を用いて、どのように病気を克服しようとしているのか

A Thai doctor performs an experimental stem cell procedure on a patient at Bangkok Heart Hospital in Bangkok December 19, 2005. That involves injecting the patient's heart with cells cultivated from his own blood. Stem cell therapies have spawned controversy because very early human embryos are considered by many to be the most promising for treating human diseases. REUTERS/Chaiwat SubprasomAlso see GF2DXCNWLPAA - RTR18EHX
Cell-engineering is creating a new generation of therapies to target intractable diseases, including cancerImage: REUTERS/Chaiwat Subprasom
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今日の医薬品は一般に単一の有効分子で構成され、投与されると疾患関連経路に作用して臨床的な有益性をもたらす。

生物学的な仕組みは複雑であるため、これは疾患治療として比較的単純なアプローチであり、有効性が限られ、副作用を引き起こす可能性がある。

現在、生きた細胞を改変して治療薬として用いる、新しい種類の医薬品が登場しつつある。

ほとんどの医薬品の有効分子は、体内の病変部と健康な部位を見分けられない。その結果、望ましくない副作用が生じ、ときには新たな病気や死を招くほど深刻になることもある。たとえば、化学療法によるがん治療は、薬が患者の命を奪う前に、がん細胞をすべて死滅させるという綱渡りである。

驚異的な免疫システム

このような粗雑で非特異的な医薬品と比べ、免疫システムは複雑で非常に効果的な仕組みであり、ほとんどの病気から私たちを守り、生涯にわたって健康を保つ役割を担っている。

免疫システムは、連携して病気と闘う多種多様な細胞で構成されている。問題の疑いがあると警報を発する免疫細胞もあれば、病気に固有の特徴を検知し、キラー細胞の働きや抗体反応を促す細胞もある。

免疫システムは、病気が再び現れた場合により迅速に反応できるよう、その病気に特化した長期的な記憶を形成することもできる。驚くべき能力を備えているものの、免疫システムだけでは対処できない病気もある。

自然の防御機能を活用する

医薬品と自然の生体防御機能との有効性や特異性の違いを受け、多くの科学者が免疫システムの研究に取り組むようになった。免疫システムは、実に精密に機能するよう進化してきた。

このアプローチにより、科学者は免疫システム由来の細胞を改変し、「薬」として用いる細胞治療を開発できる。

適切に改変された免疫細胞を使えば、病気に対して特異性が高く、長く続く免疫応答の仕組みを科学者が誘導できる可能性がある。

個々の分子は機能に限界があるが、細胞治療なら、病気と闘うために自然の防御機能を幅広く活用できる。

検知して破壊する

細胞治療における近年の進歩の一つは、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法が飛躍的に進展し、特定の血液がんの治療に用いられていることだ。CAR-T細胞は、がんに関連する特定のタンパク質(抗原)を標的とするよう人工的に改変された、ヒトのキラーT細胞である。

この人工的な標的化システムを手がかりとして、CAR-T細胞はがん細胞を非常に効果的に検知し、破壊できる。

一部の血液がんを対象とする臨床試験では、従来の化学療法を何度も受けても効果がなかった患者にとって、こうして改変されたキラーCAR-T細胞が治癒につながる可能性が示されている。

CAR-T細胞などの初期の成功は、細胞治療が現在の難治性疾患に対処する大きな可能性を秘めていることを示している。

複数の課題

しかし、これまでの細胞工学分野の進展は、多くの課題によって制限されてきた。

課題の一つは、細胞機能を変えるために必要な分子構成要素を細胞内へ確実に届けることである。

個々の細胞には、細胞膜や多種多様な細胞内酵素など、細胞への介入を防ぐ複数の障壁がある。したがって、重要な細胞機能を維持しながら、細胞工学の材料を届けるためにこうした障壁を効果的に乗り越える技術の開発が成功の鍵となる。

SQZ Biotechは、たとえば、幅広い種類の細胞に、ほぼあらゆる目的の材料を届けられるプラットフォームを開発した。

このマイクロ流体プラットフォームにより、これまで実現できなかった細胞機能の調節が可能になった。

新世代の治療法

SQZのアプローチは、正常な細胞機能や生存能力への影響を最小限に抑え、細胞を改変する能力を大幅に広げる。

こうした技術の進歩により、科学者は、これまで治療が極めて困難だったがん、自己免疫疾患、感染症などに対処する新世代の治療法を生み出せる。

細胞治療への移行は、患者自身が持つ高度な防御機能を活用して病気とより効果的に闘うという、疾患治療のアプローチにおける重要な進展である。

より多くの細胞治療が臨床試験に進むにつれ、患者の治療成績に本当に大きな改善が見られると期待できる。

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