ケア部門を改革し、労働者を中心に据える必要がある

Care workers and residents of the Scisset Mount Care Home react during the last day of the Clap for our Carers campaign in support of the NHS, following the outbreak of the coronavirus disease (COVID-19), Huddersfield, Britain, May 28, 2020
The pandemic has underlined the need for reform in the care sectorImage: REUTERS/Molly Darlington
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  • ケアサービスの需要は今後も拡大する一方、投資不足と低賃金により、職員の採用と定着は困難になっています。

  • パンデミックによって、この部門が抱えていた問題があらわになりました。

  • 今こそ改革のときです。必要な取り組みを紹介します。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、医療制度に長年存在してきた機能不全を露呈させ、政府、雇用主、労働組合に、市民があらゆる場所で期待するケアの質を再評価し、再考し、向上させるよう迫っています。政策立案者は、極めて脆弱なケア制度の改革を長年求めてきた労働者の声に耳を傾け始める必要があります。これは特に、長期ケアや在宅ケアに当てはまります。

人口の高齢化に伴い、長期ケアとその担い手の需要が急速に拡大することは周知の事実です。OECDが発表した報告書は先月、2040年までに世界のこの労働力を1,350万人増やす必要があると指摘しました。韓国やルクセンブルクなど一部の国では、高齢化する人口の需要に応えるだけでも、労働者数を少なくとも100%増やさなければなりません。

しかし現在、この部門への投資不足が劣悪な労働環境を生み、身体的にも精神的にも負担の大きいこの職業で、職員の定着や新たな人材の採用を極めて困難にしています。

米国では、在宅医療従事者の時給中央値はおよそ10ドルです。この低賃金に加え、勤務時間の保証がなく、パートタイム勤務が多いなど雇用が不安定なため、在宅ケア従事者の4人に1人が連邦政府の貧困ラインを下回る生活を余儀なくされています。米国の長期ケア従事者の半数は、政府の貧困対策支援制度に頼っています。欧州では、長期ケア従事者の賃金は、同じ仕事をする急性期医療部門の従事者より35%低くなっています。

さらに、多くの国では労働者に有給の病気休暇がなく、家族の経済的な生活を守るか、自分の健康を守るかという選択を頻繁に迫られています。給料ぎりぎりで暮らす人にとって、それは不可能な選択です。

パンデミックの間、個人用防護具(PPE)の不足は、世界各地の長期ケアで特に深刻な問題となりました。例えば、オーストリアの介護施設職員は、パンデミック初期に適切な防護具を入手するのに苦労しました。ニュージーランドでは、在宅ケア従事者が十分なPPEを受け取れたのは、労働組合が政府や雇用主に働きかけた後でした。米国の介護施設では、国内で最初の新型コロナウイルス感染拡大が起きてから数カ月後も、全国的なPPE不足が報告されました。アフリカ各地では、マスクや手洗い用品が極めて限られていました。

この重大な局面で、防護策の遅れは壊滅的な結果をもたらしました。欧州の死者のほぼ半数が介護施設で発生し、その多くはケア従事者でした。英国では、死亡した医療従事者の約半数が長期ケアまたは在宅ケアに従事していました。感染被害が深刻だった米国のニューヨーク州では、2020年3月から6月初旬までに、介護施設職員37,500人、すなわち州内の介護施設職員158,000人の4人に1人が新型コロナウイルスに感染しました。

患者が自立した生活を続けられるよう支え、外の世界とのつながりとなり、重要な医療処置を行う長期ケアの仕事には、大きなやりがいがあります。しかし患者の生活の質を高めても、多くの長期ケア従事者はまともな生計を立てられません。生活に必要な収入を得るため、複数の施設や利用者のもとで長時間働かざるを得ない人も多く、施設間や世帯間でのウイルス感染拡大を早めるおそれがあります。問題を報告すれば職を失うのではないかと恐れる労働者もいます。雇用が保障されていないため、経験している問題を報告することに不安を感じており、労働組合に加入していない人では特にその傾向が強くなっています。

5月下旬時点での、介護施設における新型コロナウイルス感染症による死者の割合(国別)Image: エコノミスト

この労働力の大半は女性で、多くの場合、移民や人種・民族的マイノリティで構成されています。こうしたコミュニティの多くは、ウイルスによって経済面でも健康面でも特に大きな影響を受けており、労働条件と賃金の改善がいっそう急務となっています。

こうした根本的な欠陥に対処しなければ、持続可能な変化は実現できないことは明らかです。

長期ケア制度に存在する構造的な問題は、労働者の報酬、職員配置、健康・安全の手順を改善する必要性を認識しない限り解決しません。労働者を中心に据えた改革がなければ、高齢者人口の増加に応じた適切なケアを提供するにも、将来のパンデミックに対応するにも、この部門はまったく準備が整わないでしょう。それは私たち全員にとってのリスクです。

ケアを提供する人にも受ける人にも、今すぐ解決策が必要です。エッセンシャルワーカーの労働条件を改善するために、パンデミックの終息を待つことはできません。命を中心に据えるこの部門には、適正な賃金、十分な人員配置、安全な職場、労働組合による代表が不可欠です。それは、社会において最前線のケア従事者が果たす重要な役割を認めることにもなります。

世界各地の政府と雇用主には今、長期ケアの労働条件を改善する機会があります。ケア労働組合と連携すれば、何百万人もの高齢者や病気の患者にとって、新型コロナウイルス感染症や今後の危機に対する最前線として機能するこの部門に、新たな人間性と尊厳をもたらすことができます。

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